MaaS・CASE関連の最新ニュース(19 / 65ページ目)

JR東日本がNFCタグ乗車実験、MaaS事業強化とSuica等よりも低コスト導入を見込む 他

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9月16日 JR東日本は 9/16(木)~11/30(火)まで、東京の品川・田町~お台場エリアを走るお台場レインボーバス(運行:kmモビリティサービス)で、NFC(近距離無線通信)タグを用いた料金の収受の実証実験を行い、MaaS事業の強化、現行のSuicaよりコスト削減を狙う。NFCは、SuicaやPASMOなどのICカードに用いられている技術で、元はソニーの「FeliCa」(非接触ICカード技術)だ。1枚のカードにICチップとアンテナを搭載し、対応するリーダー/ライターにかざすことで、カード内のデータの読み書きが出来る。カード内には、フォルダとファイルに相当する機能があり、1枚のカードに複数のサービスを盛り込むことが出来る。社員証の例を挙げるなら、入退室ID、PCログイン、電子マネーなどのサービス、公共交通などの乗車券や、飲食店や小売店などでは、ポイント・クーポンなどのサービスも付加できる。ISO/IEC 15408 EAL5+以上を取得。カード内のバリューや電子マネー、個人情報などの資産を悪質な攻撃から守る高いセキュリティーを備える。また「FeliCa」技術は、携帯電話やコイン型トークンなど、カード以外にも搭載可能でキーホルダーや腕時計などにも組み込むことが出来る。今回の実証実験では、JR東日本のMaaSアプリ「Ringo Pass」(をインストールしたスマートフォン)のNFCリーダーモードで、バスの運賃支払い箱上部に設置された「Ringo Pass」(s-Touch)マークにタッチすることで乗車が可能になる。「Ringo Pass」のアプリ地図上のバス停を選び、「タッチで乗車する」ボタンを押す。その後、乗車人数を選び、「タッチする」ボタンを押すと、前述のNFCリーダーモードが起動する。従来の交通系ICカードでは、1枚(1台)で複数人の乗車は難しかったが、本実証では1タッチ化され、乗車時間の短縮・バス運行ダイヤの定時制の確保にも貢献する。運賃の支払いは月2回、「Ringo Pass」に登録したクレジットカードから行う。NFC(近距離無線通信)技術は、6/22~1ヶ月間行われた京浜急行、京急バス、NTTドコモが横須賀・三浦エリアを訪れる観光客らを対象に行ったMaaS実証実験の「みうらよこすかMaaS」アプリ内で、デジタルチケット(「デジタルみさきまぐろきっぷ」)を購入すると、京急品川~三崎口間の全駅の改札や地域の参加店などで、非接触のキャッシュレス決済手段として採用されていた。NFCを利用したキャッシュレス化が広く、交通分野を含めた地域経済に普及してきていることを実感する。交通事業者にとっても、従来の決済システムより導入コストが削減でき、工夫次第では、地域経済との連携も視野に入れた様々なサービス付加し、自社のMaaSアプリの普及や、利用者の利用状況データなどの蓄積にも利用できる便利なツールとなるのではないだろうか。

「日本版MaaS支援事業」に見る、日本のモビリティにおける課題 他

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9月15日 昨日の記事で宮城県登米市でJR東日本が行う自動運転バスの実証実験について触れた。記事の終段で車椅子での利用者への対応を念頭に、MaaSにおけるバリアフリー設備の自動化について書かせていただいたが、概念を少し広めて、設備(ハード面)だけでなくソフト面(サービス面)も包含する「ユニバーサルMaaS」についてお話したいと思う。現在、MaaS普及のため、ここ数年全国において様々な実証実験が展開されている。その中で印象深いのが、ANA、京浜急行電鉄、横須賀市、横浜国立大学が取り組む「Universal MaaS」だ。ちなみに東京都交通局の都営バスのバリアフリー情報ページを拝見すると、平成11年度から更新する全ての車両をノンステップバス化し、平成24年度末(2012年)までに全ての車両のノンステップバス化が完了している。*ノンステップバスとは幼児、妊婦、高齢者、障害者をお持ちになる方、傷病者などの乗降がしやすいようバスの床面高さを30cmとし、乗降口の階段をなくした車両を言う。車両設備としては、優先席を含め、車いす用スロープや車いすスペース、ニーリング機能(車高調整装置)、AED装置(自動体外式除細動器)の設置、筆談具の設置などの紹介がある。京浜急行電鉄では、上記の3者と連携し「ユニバーサルマース」の社会実装に取り組む。障害者や高齢者、訪日外国人など、様々な理由で移動にためらいのあるお客様(利用者)が快適にストレスなく移動を楽しめる「移動サービス」を構築中だ。(同社のポジションからは)鉄道に繋がる公共交通機関の運賃、運行状況、バリアフリー乗り継ぎルート(車いすなどの利用者が空港や駅構内で、安全に最短で移動できる経路ナビゲーション)などの情報を利用者に提供するとともに、利用者のリアルタイムな位置情報や個人が移動中に必要とする介助の内容を交通事業者側が共有し、移動中の介助サービスで連携することにより、利用者にスムーズな移動体験を提供する。この4者は、2019年6月から羽田空港第2ターミナルから、横須賀美術館(神奈川県横須賀市、馬堀海岸駅や浦賀駅が最寄駅)までの移動について実証実験を繰り返し「Universal MaaS」のアプリを構築した実績がある。2021年5月に発表された「京急グループ総合経営計画」において、MaaS(事業)推進は鉄道会社にとって、2次交通需要の拡大と捉えられ、沿線の活性化や交通渋滞の解消といった社会的な効果をもたらす取り組みと捉えられている。その中に移動弱者をサポートする「Universal MaaS」の推進が位置付けられている。「ユニバーサルMaaS」の「情報の価値」は、移動にためらいのあるお客様(利用者)と言われる方々や鉄道会社だけが享受するものではなく、目には見えにくい部分だが、そこにつながる交通事業者や地域経済全体にとっても変わらず、経済だけに止まらない「価値」だと言える。今後も、MaaSが国内に展開される上で本実験で培われたサービス体系が、全国津々浦々に遍く実装されるよう願いたい。

JR東、自動運転バスの走行ルートを磁石で制御 宮城県のバス専用道で試乗会 他

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9月14日 JR東日本は、9/13(月)報道向けに、気仙沼線BRT 柳津駅~陸前横山駅間(専用道区間、4.8km)にて、自動運転バス試乗会を開催した。同社は次世代の公共交通機関を支える交通手段として、2018年度から自動運転バスの実証実験を重ね、これまでも地域の社会受容性を高めるため、試乗会などを通じて利用者に向けに実験の成果をアピールしてきた。今回の試乗会でも緊急時に備え、ドライバーが乗車した。一般向けの試乗会は 9/14(火)~9/19(日)まで、10:00~16:30まで(5回/日)で行われる。試乗会においては、乗車前に「JR東日本管内のバス自動運転の技術実証」の経緯や乗車の注意事項などの説明を受けた後、JR東日本が製作した「BRT専用大型自動運転バス」に乗車、最高速度 60km/h走行、正着制御(BRT専用道の柳津駅・陸前横山駅のホーム到着時)トンネル内走行、障害物検知による自動停止、対抗バスとのすれ違い(交互通行)、車内モニタリングなどを体験してもらう。「BRT専用大型自動運転バス」には、単眼カメラ、LiDAR、ミリ波レーダ、赤外線カメラ、ステレオカメラや、速度センサ、GNSSアンテナ、自動運転SW、ドライバモニタ、HMI機能、路面の磁気マーカを読み取る磁気センサや、ジャイロセンサ、地上側のRFIDタグを読むRFIDリーダーなどが搭載され、ハンドルやブレーキの作動状態も記録される。信号は信号用送受信機を用い、地上側の信号システムと通信させる。全区間に埋設されたRFIDタグ付きの磁気マーカは、車底部に設置された磁気センサで読み取られ、自車位置を正確に特定、また、GNSS(全球測位衛星システム)電波の届かないトンネルを含む専用車道上の安全走行を実現する。また、無線を用いた交互通行制御は LTE(携帯電話の通信規格)やITS(高度道路交通システム)無線を用い、自車と対向車及びクラウド信号機間のネットワークを構築、自車と対向車の位置情報をもとに信号制御を行い、BRT専用道内での交互通行を実現する。地上側には誤進入検知カメラを設置、万が一誤進入が発生した際には、対向側の信号を赤として進入を防ぐ。従来の信号灯は設置されない。見通しの悪い場所における落石など小型障害物など、バス側のセンサで検知しづらい障害物は、専用道の特定箇所においてインフラセンサ(FIRカメラ)を設置し、ITS無線路側機に有線で通信、ITS無線路側機は無線でバスに通信し、検知を補う。また、地上側に設置した風速計により、強風時にはリアルタイムでドライバーに安全に運転を引き継ぐ。また、QZSS(みちびき)、GPS(米衛星測位システム)、GLONASS(露衛星測位システム)などの信号を用いて走行車両を高精度測位し、遠隔監視システムで車内や乗客の動向を検知し、走行中に座席の移動などが起きた際には、即時に注意喚起と同時に該当する映像や発生場所なども保存することも出来る。大容量通信が難しいトンネルでは、プライベートLTE網を構築、自動運転中は常時車内のモニタリングが出来る環境を設けた。システムや運行される距離や速度に差はあるものの、自動運転バスが国内で走り始めたことは事実だ。実験は車いすでの利用者も念頭に置いている(設備内に階段が含まれるため)。自動運転による走行技術の確保と同時に、公共交通の使命を担うモビリティとして、バリアフリー設備の自動化などについても追及し、より一層利用者に「安心度の向上」をアピールしていただきたい。

ホンダとGMが国内で初めて実証する自動運転技術の中身 他

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9月13日 宇都宮ライトレールの出資団体は宇都宮市(40.8%)、芳賀町(10.2%)、宇都宮商工会議所(1.0%)、とちぎライトレール支援持株会(22.8%)、芳賀町商工会(0.2%)、関東自動車(11.0%)、東武鉄道(4.0%)、足利銀行(5.0%)、栃木銀行(5.0%)である。概算事業費は、宇都宮市域:603億円、芳賀町域:81億円だ。全長14.6km(複線)における停車場数は19ヶ所である。このうち、芳賀町には芳賀台、管理センター前、かしの森公園、本田技研北門の4駅が設置された。沿線の主な利用者は凡そJRの宇都宮駅利用者、宇都宮工業団地・清原工業団地通勤者、宇都宮テクノポリス在住者と周辺の商業地域の利用者、芳賀工業団地通勤者、芳賀・高根沢工業団地通勤者と、宇都宮大学、作新学院、清陵高校の関係者だろうか。市域の渋滞や通勤・通学の利便性向上のため、域内の工業団地を結ぶルートが敷かれている。芳賀町はJR宇都宮線側から見て鬼怒川の対岸となり、真岡鉄道の多田羅駅や市塙駅は小貝川を越えた対岸に位置するため、マイカーと自転車、加えて割合は僅かだが路線バス、タクシーなどが住民の足となっていた。平成17年度からは、デマンド交通「ふれあいタクシーひばり」の運行が開始されている(町内施設/一部長外施設において乗降可能)。同町の「都市交通マスタープラン及び都市・地域総合交通戦略(改訂版)令和3年6月」を拝見した。宇都宮ライトレールの開業(2023年3月に優先整備区間~)により、従来はマイカーとJRバス関東に依存していた町内の交通体系は、今後大きく変化しそうだ。芳賀町では①「新たな広域連携軸の形成による交通まちづくり」と②「コンパクトな都市づくりを支える安全・安心な交通基盤づくり」が二大戦略目標とされる。①はLRT整備事業とバス路線の再編事業だ。②は地域公共交通の充実・強化や自転車走行空間の整備、安心安全な交通基盤づくり、公共交通の利用促進だ。事業者にとっては運賃以外に収益をもたらす可能性があり、LRT沿線の新たな賑わいや経済活性化の触媒とも言える、トランジットセンター(交通結節点)整備事業はここに含まれる。既存の路線バス等への乗り継ぎのためトランジットセンターは、JR宇都宮駅東口、ベルモール(宇都宮大学陽東キャンパス)、新4号国道、清原工業団地、芳賀工業団地などに設けられる予定だ(参考:芳賀・宇都宮東部地域公共交通網形成計画【概要版】)。結節点にアクセスさせるのは、鉄道、バス、自動車、タクシー、サイクル&ライド等である。芳賀町域内のトランジットセンターは、芳賀町工業団地管理センター前停留所周辺が検討されている。主な機能としては、バスとの結節(芳賀町バスターミナル機能の集約、乗降場、広域路線バスやデマンド交通と接続)、デマンド交通、タクシーとの結節(同乗降場、ユニバーサルタクシー対応駐停車スペース)、自家用車との結節(駐車場、シェアサイクル。レンタルサイクル機能)、その他(待合所、トイレ、運行案内板、案内誘導、手すり・スロープ等)、短時間の休息が出来る飲食やカフェサービスが欲しいところだ。前述の①に当たる町域の「幹線バス路線の再編」については、芳賀・宇都宮東部地域公共交通網形成計画を踏まえ、令和4年度からLRT導入に合わせバス路線の再編が計画されている。LRTと重複する路線はLRTを補完する支線交通として計画される。また、トランジットセンターでLRTと接続させ、利用者の利便性向上を図る。宇都宮市や周辺の市町、バス事業者、県などと連携し調整を進める。工業団地内には循環バスの導入も計画されている。こちらもトランジットセンターで結び、通勤者や来訪者への利便性向上に繋ぐ。循環バスには「自動運転技術の将来的な活用」が検討されるようだ。いずれ、ホンダ・GM・クルーズの3社が取り組む「クルーズ・オリジン」の活躍の場となるかも知れない。

ホンダ、自動運転モビリティの実証実験をスタートへ…事業の具体的内容 他

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9月10日 コロナ禍との闘いに明け暮れた東京2020オリンピック・パラリンピックが終わった。「感無量」と一言で表現するには、あまりにも前代未聞と異例ずくめの大会だったと言える。その意味において、オリンピック史に残る大会と言えよう。この数年間日本を牽引するはずだったオリンピック経済効果は、1兆8,108億円と試算される。但し、一都三県及び北海道、福島で無観客開催となったため、チケットの払い戻しや交通や宿泊費などの減少もあり、1,337億円減少し、1兆6,771億円になったと試算されるようだ(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2021/fis/kiuchi/0730_2)。日本経済は次の成長ポイントの一つ、大阪市此花区の夢洲で開催される大阪万博(2025年 日本国際博覧会)へと向かう。建設部分を除いた万博の開催期間中の経済効果は、約1.5兆円と試算されている。東京2020大会終了を境に、国内の自動運転に関する実証も、静かに熱を帯びてきた模様だ。9/8、本田技研工業は、GMクルーズホールディングス(クルーズ)、ゼネラルモータース(GM)と3社共同で、日本で展開予定の自動運転モビリティーサービス事業に向け、自動運転技術に関する技術実証を9月中に栃木県宇都宮市にて開始すると発表した。「クルーズ・オリジン」が目指すのは、自動運転レベル4だが、この9月からの実験は、まず「高精度地図作成車両」で地図作成を行った後、「クルーズAV」により公道走行に移行する。国内の交通環境や関連法令などに合わせた自動運転技術を開発・検証する。また、日産自動車はDeNA、NTTドコモと連携して、9/21~6週間、横浜みなとみらい地区で第3回目となる実証実験を行う。今回は対応人員の削減を狙う。従来は自動運転中の「有事」に備え、手動で運転を行うセーフティドライバーの他、同乗するオペレータ、伴走車の構成で実験を行っていたが、今回はセーフティドライバーのみの運用とする。本実験はレベル2に相当するが、駐車車両や信号などを認識して自動的に運転する。政府は、9/12を期限としていた「緊急事態宣言」の解除を、19都道府県で今月30日まで延長、宮城県と岡山県はまん延防止等重点措置に移行させる方針を示した。暑さも一息つく頃であろう宣言解除後、ひょっとしたら宇都宮市や横浜みなとみらい地区で、実証実験の車両を目にすることが出来るかもしれない。こちらの経済効果は今のところ、見学者が中華街で食するランチ代ほどか?「やがて日常になる未来」に乞うご期待!

JKK東京×群馬大学 高齢者などの「距離のバリアフリー化」を目指して自動運転車両を活用した移動支援の実証実験を実施 他

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9月9日 東京都の町田市にある東京都住宅供給公社(以下、JKK東京)の町田木曽住宅地域において、JKK東京と国立大学法人群馬大学は、令和3年10月から下旬にかけ、高齢者などの「距離のバリアフリー化」を目指して、自動運転車両を活用した移動支援の実証実験を始める。町田木曽住宅は、昭和44年3月に入居が始まり、85棟4,330戸を擁する。近年、当初に入居した住民の高齢化が進み、広大な団地敷地内の商業施設やバス停留所までの、いわゆる「ラストワンマイル」の移動が移動障壁となり、住民の外出機会を減少させている。JKK初の試みとなる本実証では、そうした団地内の移動を自動運転車両でサポートするとともに、買い物で購入した食料や日用品の配送、外出機会(イベントなど)の創出に取り組む。実験に参画するのは、JKK東京(実験の進行・統括)、群馬大学・日本モビリティ(自動運転車両提供、管理)、神奈川中央交通・神奈中タクシー(自動運転車両の運行)、ヤマト運輸(生活関連サービスの提供)だ。自動運転はレベル2(システムがアクセル・ハンドル・ブレーキを自動操作)で行われる。車両にはドライバーが乗車、必要に応じ手動運転に切り替える。域内に25ヵ所の乗降場所を設定、利用者の希望する時間や乗降場所感を走行させる。乗車方法は、高齢者の利用を想定、電話か対面受付(予約制・無料)で行われる。今回、ヤマト運輸が担当する「生活関連サービス」の内容が、大規模団地ならではのサービスで興味深い。一つには車両への乗降支援。利用者の自宅と乗降場所間の移動を手荷物運搬、先導、声掛け等で支援する(*但し、乗降支援の際は、肩を貸したり手をつなぐなどの身体的接触は含まない)。コロナ感染防止対策などの配慮と思われる。二つ目は買い物サポートサービス。利用者が団地内の商店街で購入した商品を自宅まで届ける。三つ目はイベント開催だ。外出の目的となるイベントを実施する。国内各地には、UR(UR都市機構)などの大規模団地も存在する。各地で高齢な住民への移動支援策を考える意味でも、意義深い実証実験となると思う。ヤマトグループの、買い物支援や火事サポートなどを行う「ネコサポステーション」は、地域のコミュニティ拠点を目指しており、町田木曽住宅においては、令和4年度に拠点の開設が予定されている。「ネコサポステーション」は、現在、神奈川県藤沢市、千葉県松戸市などでも拠点が開設されている。今後も、新たな需要の掘り起こしやサービスの拡大に期待したい。

沖縄県でMaaSの社会実装「沖縄スマートシフトプロジェクト」を開始 他

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9月8日 北九州市の第一交通産業は、沖縄県でMaaSの社会実装「沖縄スマートシフトプロジェクト」を開始した。同社は、8/23に国交省の令和3年度「日本版MaaS推進・支援事業」に新規採択されている。沖縄県で沖縄トヨタグループ全般のメンテナンスを預かる株式会社OTM(旧オキトヨ開発(株)と(株)浦添整備センターが合併、車両の板金・修理から車両整備、車両・部品配送、給油所、レンタカー販売事業をカバー)、損害保険ジャパン、NTTドコモと共同で、令和4年1月より、バスや船舶などあらゆる交通モードを連携させ、シームレスな移動を実現する「MaaS」社会実装のための取り組みを開始する。コロナ化後の沖縄全体の観光需要回復を見据え、市内の渋滞緩和や環境問題への対策(カーボンニュートラル・感染対策)も兼ねる。MaaSアプリはトヨタグループが実績を積んできた「Myroute」だ。アプリは各交通モードへのアクセスを向上させるとともに、非交通サービス(観光施設や小売・飲食、宿泊など)も包括させ、利便性やお得感を醸成(地域経済の活性化)しながら、利用者の行動変容を促すとしている。交通モードの中に移動の期間手段である筈の沖縄都市モノレールの名が見当たらない(交通モードに包含されているのかも知れないが)。同社の主要株主(2019年3月31現在)は、県(38.39%)、沖縄振興開発金融公庫(9.99%)、浦添市(5.35%)、沖縄電力(2.10%)、琉球銀行(1.57%)、沖縄銀行(1.57%)。一方、第一交通産業の株主は、西日本シティ銀行、福岡銀行、北九州銀行、商工組合中央金庫、三井住友銀行である。沖縄では今年3/17から「沖縄観光MaaS」第2フェーズがスタートした経緯がある。こちらには、沖縄都市モノレール、ゼンリン、TIS、琉球銀行が参加、自治体は、那覇市、石垣市、浦添市、宮古島市、今帰仁村(なきじんそん)、伊江村(いえそん)、座間味村(ざまみそん)、竹富町が参加。オブザーバとして沖縄県と内閣府沖縄総合事務局運輸部が参画している。振り返れば、第2フェーズにて提供された交通モードに、第一交通産業の名は見当たらなかった。8/16から、沖縄都市モノレールと県内路線バスで使える、沖縄ICカード株式会社の交通系ICカード「OKICA(オキカ)」が一部店舗やタクシーで利用出来るようになる。「OKICA」には、第一交通産業グループ6社も導入を決めており、那覇市や浦添市、宜野湾市、沖縄市などの店舗、計126店舗での決済サービスもスタート、年内には琉球銀行が提供する決済端末にも対応予定だ。同行と契約する約8千店舗でも追加契約すれば「OKICA」の利用が可能となる。カードの利用イメージには、沖縄都市モノレールも描かれている。MaaSの社会実装にとって、必要となる要素は多いが、そのうちの一つが「決済」だと考える。沖縄県が将来的に地域通貨サービス基盤などの導入も考えるなら「沖縄スマートシフトプロジェクト」と「沖縄観光MaaS」第2フェーズの双方が、同じ決済手段を取り入れ、サービス基盤自体も統合すれば、県民や観光客にとってのメリットや基盤を構築する際の交渉力も増すのではないだろうか。

経産省、MaaSや自動運転に関する特許出願技術の調査結果発表 他

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9月7日 特許庁が「令和2年度 特許出願技術動向調査 結果概要 MaaS(Mobility as a Service)~自動運転関連技術からの分析~」をまとめた。(令和3年2月)調査範囲は、①特許文献の出願年(優先権主張年)が2014-2018年、出願策国・地域は日、米、欧州(独除く)、独、中、韓となる。②非特許文献については、発行年が2014-2019年、調査対象としたMaaSの技術範囲は、自動運転関連技術、MaaS関連技術、自動運転&MaaS関連技術だ。調査の手法は、①がWPI検索、②がScopus検索による。双方とも商用データベースからの検索となる。①は上記の出願策国・地域への特許出願を前述のデータベースで検索、抽出された特許文献の分類を行った。②は論文発表からみた研究開発動向について、前述のデータベースで検索、抽出された論文が述べている自動運転関連技術、MaaS関連技術の分類を行ったものだ。資料の全容を当欄で書ききるのは難しいが、本調査の結果概要をお伝えすると、出願人国籍・地域別出願件数(35.4%)、出願人国籍・地域別出願ファミリー件数(31.3%)では、日本国籍が最も多かった。日本国籍からの出願は、車載センサやHMIに関するものが多いが、人工知能と遠隔監視・遠隔操作技術については米国籍の出願件数が日本を上回り最も多かった。また、MaaS関連技術区分別において、中国籍、米国籍の存在感が大きく、日本国籍のものが最も多かった分野は、駐車場、立ち寄り情報、広告、車両シェアリング。中国については、バス、タクシー鉄道など公共交通機関に関する出願件数が多く、またマルチモーダル関連の技術区分では、中国の出願件数が最多だった。日本は次位。欧州については出願件数は他国よりも少ないが、論文発表件数は多かったようだ。また、出願人別出願件数上位ランキング(自動運転関連技術、日米欧独中韓への出願)において、上位3社はトヨタ自動車、FORD GLOBAL TECHNOLOGIES(米国)、デンソーであった。出願人別出願件数上位ランキング(MaaS関連技術、日米欧独中韓への出願)においては、トヨタ自動車、DIDI CHINA TECHNOLOGY(中国)、FORD GLOBAL TECHNOLOGIES(米国)となった。資料の結びとなる「提言・示唆」においては、自動運転技術については、多くの特許が出願されるも、同分野で今後重要性が一層高まる「遠隔操作や遠隔監視技術、通信技術および人工知能の技術」については、他国の存在感は無視できず、研究開発の強化、製品開発の競争力を維持・向上が求められている。MaaS(マルチモーダル)については、鉄道やバス、タクシーなどの公共交通に、カーシェアやオンデマンド交通も含めた連携構築が課題であり、連携を促すため、多様な交通事業者がアクセス可能なデータ収集・共有プラットフォーム(MaaS基盤)の構築や個別に実用化の進むプローブ情報やバスロケーション、鉄道情報、交通管制、鉄道技術において実績のある運行管理などの技術の統合が求められている。また、MaaS(移動サービス)については、目的は利用者の目的地での活動を支援するものであり、移動手段に閉じたモデルではなく、利用者に付加価値を提供する「他産業と連携」が重要とされ、MaaS関連技術と自動運転技術の融合においては、新規ビジネスモデルの創出機会とされ、通信技術は双方の技術を融合させる技術として位置付けられている。中国ではモジュール間通信技術への注力が顕著とされ、各国の技術動向を注視しながらビジネスモデルの創出拡大が求められている。資料ではこの他、国際基準調和と国際標準化、「新たな日常」におけるモビリティの在り方の変化についても触れられているが、割愛させていただく。詳細をお知りになりたい方は、https://www.jpo.go.jp/resources/report/gidou-houkoku/tokkyo/document/index/2020_03.pdf をご覧ください。

ワーケーションタウン千曲市でマイクロツーリズム 「地元deワーケーション」 他

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9月6日 9/29(水)~10/1(金)まで長野県千曲市にて「ちくまの魅力、再発見!地元deワーケーション~温泉MaaSでコワーキングやカフェをめぐる~」が開催される。千曲市は2019年より、町をあげてワーケーションの誘致活動と市民の交流促進に取り組んで来た。このため、同市のの産業振興課は、信州千曲観光局とも連携し、民間事業者によるMaaSの取り組みと、これを活用したワーケーション体験会を開催してきた。令和2年度の実績はワーケーション体験会を4回開催し、参加者は合計107名を数えた。令和3年度は観光交流課が担当し、シェアサイクルの社会実験事業を実施予定、需要把握などの効果検証を行った上で、シェアサイクルの本格導入に向けた検討も進める(千曲市「施策検証表」より)。今回の「地元deワーケーション」は、コロナウイルスの感染拡大防止に伴い、住んでいる地域の魅力に目を向けなおす「マイクロツーリズム」にも目が向く。イベントのタイトルも、長野県在住の方々に向けた「地元de」を謳っている。今回も独自の配車アプリ「温泉MaaS」を活用し、参加者に地元の個性豊かな「ワークスペース」や名店巡りを楽しんでもらう予定だ。また本イベントは、全国からオンラインでワーケーションに参加する「おうちdeワーケーション」と同時開催する。「おうちdeワーケーション」は、地元参加者と、オンライン上での交流を楽しむことが出来る。参加者の「おうち」には、千曲市のグルメが届く(おしぼりうどんセット、あんずサイダー、あんずのお菓子、信州のおつまみ)。また、ライブ中継においては、千曲市の名所でのワーケーション体験が出来る仕組みだ。厳選されたロケーションは、姥捨ゲストハウスなからや(映画ロケ地)、千曲川、善光寺大本願別院(瞑想体験)、信州千曲観光局Gorori(戸倉上山田温泉/千曲市総合観光会館/畳部屋)、クラウドカッコウランドなど。「おうちdeワーケーション」では温泉MaaSシステムや、トレインワーケーション、ゼロ・カーボンなどの取り組みも紹介される。募集人員は30名程度、体験料金は5,000円(税込)、申込期限は9/21(火)だ。*申込みフォームはワーケーションLINE公式アカウント https://lin.ee/ywFZDF4 「温泉MaaS」は温泉を含む観光地において、ワーケーションとモビリティサービスを組合せ、様々な移動手段をワンストップで利用できる。支払いはチケット制となっている。募集人数はこちらも、30名程度、参加料金は、2泊3日、32,000円(税込)※1泊2日、日帰りも選択できる。*申し込みフォームは、上記と同様だ。イベント運営は、今回も、株式会社ふろしきや となる。同社は、新しい地域活用や社会課題解決に向けたプロジェクトを生み出す企業で、地域ブランディング要件定義・データ、情報解析による現状可視化、プロジェクト構想・実行プロセスの設計なども行う。

三重広域連携スーパーシティ推進協議会 スマートシティ2件採択 6町連携 他

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9月3日 内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省は連携し「令和3年度 スマートシティ関連事業」として62地域と74事業を選定した。三重県多気町、大台町、明和町、渡会町(わたらいちょう)、大紀町(たいきちょう)、紀北町の6町は「三重広域連携スーパーシティ構想」として国の特区認定を目指し、経済産業省の「地域新MaaS創出推進事業」と国土交通省の「スマートシティモデルプロジェクト」に選定された。6町の総人口は77,609人。単独自治体の行政施策だけでは困難な地域課題を、産学官民連携で解決を試みる(*「学」には三重大学が参画)。参加企業は27企業。地域課題として横たわるのは、高齢者の医療費増加、人口減少による交通空白地帯の増加、農林水産業の高齢化・衰退化、医療や教育への不安、町の魅力の発信、住みたくなる住環境の整備、効率的な行財政運営などが出来ていない点、新規事業の参入がしづらい点などが挙がる。今回、施策としては高速自動車道国道法改正の第1号で生まれた全国初民間スマートIC直結施設である、グリーンフィールド「VISON」複合型滞在施設/敷地面積:約115ヘクタール、ナゴヤドーム24個分)の活用だ。グリーンフィールド「VISON」に投入された先端技術で、県内のその他自治体(Broun Field)の地方創生を目指すとともに、複数のサービス横断型のデータ連携モデルを構築する。「スーパーシティ広域データ連携」の全体像は、自治体主導により、自治体(行政)や地域事業者がデータ活用による先進的な住民サービスや地域の経済活性化を図るもの。都市OSによるデータ連携基盤の整備が必要とされる。分散型データ連携基盤(複数のサービス分野の多様なデータを活用、先端サービスを利用者に提供する)を整備、API連携を図る。本事業では、都市OSと複数分野に亘る先端サービス群の間には、地域通貨(キャッシュレス)サービス基盤を構築している。前述の地域課題を解決すべく取り組まれるサービスは、7万人のドクターネットワークとPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)連動型の医療サービスが支える、未来の地域医療(医療ヘルスケア)や、モビリティの自律走行を支えるインフラとなる「ダイナミックマップ」整備と、広域MaaS連携(モビリティ・サービス)、また林業等の地域産業を活性化させるため、一次産業におけるデータ活用と規制改革施策(地域産業の活性化)、位置情報などメタデータを活用した観光から防災までカバーする地域情報発信プラットフォーム開発(地域情報発信基盤)、自然との共存とRE100(100%再生可能電力に取り組む、グローバルな企業再生可能エネルギーイニシアチブ)の地産地消によるゼロカーボンシティの早期達成(ゼロカーボンシティ)、環境情報やインフラ情報など社会基盤データを共通化、維持管理の簡易化、防災へのデータ活用(デジタルインフラ・防災)、観光客や住民による地域店舗の利用活性化のための行政サービス連動型のデジタル広域通貨(デジタル経済圏)、ヘルスケアや林業等の地域産業、また教育など多目的なツーリズムプランによる交流人口の増加(多目的ツーリズム)などだ。サービス利用者となる住民や観光客は、オプトインによる住民合意を「My Key-ID Connect」という仕組みを通して、地域の生活ポータル(ヘルスケアやモビリティサービス、学校情報利用)や観光ポータル(地域情報、観光情報)を利用するようになる。6町を始めとする広域への「先端サービス早期実現」のため、国、県、三重広域連携スーパーシティ推進協議会、三重大学などが担う、課題整理・進捗管理・アドバイザリーといった役割は重要だ。

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