MaaS・CASE関連の最新ニュース(25 / 65ページ目)

ウーブン・アルファ/いすゞ/日野、高精度地図自動生成プラットフォームの活用に向けた検討を開始 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
Commercial-truck_w150

6月10日 ウーブン・プラネット・ホールディングス(トヨタ自動車の子会社でソフトウェアを中心に様々なモビリティの開発を担う)は、グループのウーブン・アルファといすゞ自動車、日野自動車とともに、ウーブン・アルファ社が開発する自動地図生成プラットフォーム(AMP)の活用に向け検討を始めた。この3月にトヨタ自動車といすゞ自動車、日野自動車は、商用事業での協業、いすゞ自動車とトヨタの資本提携を発表している。協業を推進するための新会社は、Commercial Japan Partnership Technologiesを設立したばかりだ。商用トラック分野では、いすゞ自動車、日野自動車で市場の8割を占める存在だ。今回は、ウーブン・アルファの開発する自動地図生成プラットフォーム(AMP)が話題の中心となる。高速道路や一般道路で安全な自動運転を行うためには、精度が高い最新の地図が必要となる。AMP(貢献モデルに基づいたオープンなソフトウェアプラットフォーム)は開発者がつくったアプリやソフトを搭載した車両の匿名センサー・データがプラットフォームに提供される。その代わりに開発者は車種を問わず、高精度地図に簡単・安全に、そして持続的にアクセスすることが可能だ。AMPの目標は一般道路をはじめとする道路や車線をグローバル規模で包括する高精度な地図を開発することだ。だが、現時点で網羅されている高精度地図の道路ネットワークは全世界の1%未満に満たないという。AMPは衛星の画像と多くのトヨタ車から得られるデータを活用し、ほぼリアルタイムで地図をアップデートし続けているが、この収集方法だけでは、国内はおろかグローバルを包括する地図を一定の水準に至らせるまで相応の時間を要することとなるため、ウーブン・アルファは今回の施策により、道路情報を確実に収集できる端末となるパートナー(いすゞ自動車、日野自動車の商用車)車両数を増やし、スピードアップを図るものと思われる。これら高精度地図が、グローバルの市場においてより広範囲なネットワークを築くことが出来れば、自動運転アプリケーションの商品化が早まる。これにより国や自治体等は都市部のモビリティの効率化や自動化を促進することができ、都市部あるいは地方における公共交通路線の持続的な運行にも貢献できる。今後は、今回得た足掛りをもとにより広範囲にパートナーシップを展開していくスピード感が求められる段階に入って行くものと思われる。

ゼンリンCVC子会社出資第1号の「レイ・フロンティア」とゼンリンが移動最適化や位置情報ビジネスで提携 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
enoden_kamakura_w150

6月9日 ゼンリンとレイ・フロンティアは6/3にMaaSビジネス・スマートシティの実現に寄与する移動データの収集、地図情報と連携させた分析を用いた移動の最適化、迅速な研究開発、地図情報を活用した位置情報ビジネスなどを目的として業務提携契約を締結した。レイ・フロンティア社は2008年5月に設立された人工知能による位置情報分析プラットフォーム「SilentLog Analytics」の開発・運営などを行い、位置×範囲×時間(行動データ)で「見える化」を行う会社だ。同社の「SilentLog Analytics」は、匿名化した個人の位置情報や行動情報を俯瞰視点で可視化する。一日の行動情報(位置情報/ユーザーの行動種別)や特定地区のヒートマップ、特定地区にどこから流入してきたかなどをデータ化し、それらの分析によるペルソナ(マーケティングにおいて、サービス等を利用する典型的なユーザを表すために作成される仮想的な人物像のこと)の構築や検証が可能(人物の性別や年齢、職業、居住地といったデモグラフィックが確認できる)。また独自開発したアルゴリズムにより生成されたペルソナに向け、必要な情報(広告情報など)を適切なタイミングで配信することも出来る。*行動種別:徒歩、自転車、自動車、電車など移動手段の推定のこと。「SilentLog SDK」は、サービス運営側がアプリに組み込むことで、アプリユーザの端末から位置情報を取得、ここから得たデータをサービス運営者が利活用するため「SilentLog Analytics」で分析し、より付加価値の高いデータに変換する位置情報収集エンジンだ。同社サービスは、鎌倉市の鎌倉スーパーシティ構想「共生みらい都市」~世界一Well-Beingが高いまちKamakuraの実現、などに連携事業者(共同提案者)として採択されている。鎌倉市では直近の課題(PhaseⅠ)を起点に、段階的な3つのフェーズを連鎖させ、「人口減少・少子高齢化」「自然地形や歴史的風土、文化の保存・継承」「災害対策・交通渋滞の解消(安全・安心な市民の暮らしの実現)」と捉え、これらの解決を図るとともに土地区画整理法等の規制緩和により、Society5.0のまちづくりを目指す(PhaseⅡ)。そしてPhaseⅠ、Ⅱを通して実現された街の変革を拡大し、2050年までにスーパーシティビジョンの実現を目指す(PhaseⅢ)。構想の中の「先端的サービス概要」において、鎌倉市は抱える問題の中枢を「オーバーツーリズムを一因とした交通渋滞」としており、並行して存在する課題解決の領域として「交通・観光」「防災」「ヘルスケア」「デジタルガバメント・まちのDX」「コミュニティ・市民参画」「社会・文化へのつながり」を挙げている。今後、レイ・フロンティア社のデータ収集技術や地図情報と併せた解析による「見える化」が、「交通・観光」における、市域の一定区域内の流入車両数の削減と域内移動の快適性向上を目指すロードプライシング(特定の道路や地域、時間帯における自動車利用に対して課金することにより、自動車利用の合理化や交通行動の転換を促し、交通量の抑制を図る施策)や災害対策(鎌倉では過去何度も地震による津波を経験しているため、自助や共助によるレジリエントな防災体制の構築が望まれている)など様々な面で活用され、同市のスーパーシティ構想を支えてゆくことを期待したい。

完全自律運転車の航続距離を伸ばす鍵は「光」だ 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
Power-excavator2_w150

6月8日 神戸製鋼所(KOBELCO)の第168期第3四半期の四半期報告書(2020年10月1日~2020年12月31日まで)の研究開発活動を見ると、[建設機械]において、ショベルでは日本マイクロソフトと共同でIoTや画像・音声認識技術、人工知能を活用した建機遠隔操作システムの開発を、またコベルコ建機の"K-DIVE CONCEPT"「働く人を中心とした建設現場のテレワークシステム」推進のため、北海道総合通信網(株)と建設機械(油圧ショベル)の遠隔操作に関する開発協定を結び、実証実験を行っていることが分かる。更に実際の稼働現場における遠隔操作検証を2020年11月より開始したとある。この検証には、産業振興(株)が参画している。"K-DIVE CONCEPT"推進のため、ライカジオシステムズ(株)とマシンガイダンスの遠隔操作技術の開発にも取り組んでいる。また、同月には(株)安藤・間(以下、安藤ハザマ)と油圧ショベルの自動運転推進に向けた実証を行った。コベルコは主に自動運転の油圧ショベルシステム開発を、安藤ハザマは現場へ適用するための施工と、安全に対する管理システム開発や現場運用ルール化を担当した。実験では自動運転に必要となる認知、判断、操作などの要素技術のうち、認知にAIを適用、物体認識、距離測定等を行い、その情報をもとに目標位置を自動調整、現場の状況変化に対応できる仕組みを構築、プレイバック中の自動運転状況は、作業者がリアルタイムにタブレット端末で確認することも出来るようだ。またバケット爪先の3次元軌跡をリアルタイムに計測し、将来的に自動運転の監視や、施工状況の管理に利用する目論見だ。同社はコベルコ建機とコベルコクレーンの経営統合によりショベルとクレーン2つの専門分野を有しており、そのラインナップには、重機ショベル・ミニショベル、環境リサイクル機械(ビル解体)や金属リサイクル、クローラークレーン(橋や風力・火力発電所を始めとした大型構造物の建設に用いる)、ホイールクレーンなどを持つ。話は変わるが、国土交通省関東地方整備局・関東運輸局には「従来型観光地での地域の魅力の再発見または創出と、それを活かした集客力回復とまちの再構築に関する調査報告書(平成17年3月)」との資料がある。関東周辺にある温泉などの観光・レジャースポットが、近年の高速交通網の発達により日帰り圏内化、また旅行ニーズが団体から個人や小規模グループ客を中心とする旅行スタイルの変化、観光地間の競合関係の広域化などの経済社会情勢に対応しきれず、客足が遠のいた結果、地域の空洞化を招き、施設老朽化と相まって、まちの活力が低下している「従来型観光地」が多く見られる。同省では鬼怒川、伊香保、石和の各温泉地をモデルとして、まちの魅力の再発見または、創出とその魅力を活かした集客力の回復やまちの再構築の方策について検討し、同様の課題を抱える大都市圏の従来型観光地の活性化につなげていく」(概略)とある。まちの再構築には、老朽化した施設や経営が立ち行かなくなり管理が行き届かなくなった施設等の撤去が必要だが、これには莫大なコストが必要とされる。自動運転車両やシステムの開発には、安全性など様々な検証や課題抽出、パターン抽出に膨大な距離の走行試験が必要だ。建設機械メーカーは、自動運転関係の実証実験に撤去が必要な地域を利用し、実践的なデータ収集をすることが出来、自治体も「従来型観光地」活性化への目処が立つ。国交省には、建設機械メーカーとこうした課題を抱える自治体の「縁結び」も期待できればと考える。

「栃木県ABCプロジェクト 自動運転バスに乗ろう@茂木町」に参加 ~埼玉工業大学は自動運転バスの車両提供と技術支援で協力~ 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
sl-moka2_w150

6月7日 このところ「宇都宮ライトレール」(LRT)の車両公開や真岡市松山町にあるホンダの四輪車部品の生産拠点「パワートレインユニット製造部」の2025年閉鎖の発表などで何かと話題が多い栃木県。その栃木県には「栃木県ABCプロジェクト」という事業がある。ABCとは「Autonomous Bus Challenge Project」(自動運転バスチャレンジプロジェクト)の略である。6/6(日)~20(日)まで、真岡鐡道のSLや那珂川県立自然公園随一の景観と謳われる鎌倉山、ツインリンクもてぎで有名な茂木町において、埼玉工業大学の日野リエッセⅡを用いた実証実験が行われる。実験コースは道の駅もてぎ~茂木駅~ふみの森もてぎまでの約3.7km、自動運転バスは、自動運転区間と手動運転区間に分けて運行される。本プロジェクトでは、県内のバス路線において令和7年度に自動運転バスの本格運行を目指している。栃木県内での実証は中山間地域5ヶ所、観光地16ヶ所、市街地19ヶ所で行われる。茂木町はこのうちの中山間地域に含まれ、主に地域の少子高齢化(高齢化率が6割)に対応し、市内の各施設へのアクセス向上やマイカー依存度を低めたり、公共交通の空白や不便の改善、交通機関の維持、そして中心市街地の活性化(現状、空き店舗などが増加)や観光における交通の円滑化(ツインリンクもてぎや道の駅もてぎに町外からの観光客が多く来訪、イベント開催時などに交通渋滞が発生)を目的としているようだ。(参考資料:栃木県ABCプロジェクト全体計画(R2年度~R5年度)R3(2021)年3月25日 栃木県県土整備部交通政策課)。今回の実施体制の中には、実証実験に加わるケースも増えている大手建設コンサルタントである建設技術研究所の名前もみられ、同社は実証実験における計画立案や実験の実施、効果検証などの全体管理を担っている。また、アイサンテクノロジーは、自動運転実証実験の実施、高精度3次元地図の作成、損保ジャパンはリスクアセスメント(事故の予防)、ティアフォーは自動運転に関わる技術提供、フィールドオートは技術支援、埼玉工業大学は車両提供を行う。栃木県の福田富一(ふくだ とみかず)知事は、6/6(日)に道の駅もてぎで行われた、栃木県ABCプロジェクト「自動運転バスに乗ろう@茂木町」出発式に出席、栃木県の公式Twitterに「公共交通は農山村地域も都会も、運転手不足や公費負担増の課題を抱える。一方、自動運転技術は進歩。AI活用無人自動運転移動サービスはそれらの解決が可能。そこでR7年度運行実施に向け、本県初の実証実験(今後10箇所で)を茂木町で開始した。」とリツイートしている。栃木県及び沿線自治体が出資する真岡鐡道は、1912年の官設鉄道真岡軽便線の開業に始まる。1984年に国鉄再建法の施行により第2次特定地方交通線となり、1987年にJR東日本に承継、1988年に真岡鐡道に引き継がれた。栃木県を筆頭に真岡市、筑西市、益子町、市貝町(いちかいまち)、茂木町、「宇都宮ライトレール」の終点となる芳賀町などは、コンサルタント会社やMaaSを活用し、マイカーに過度に依存しない新たな経済圏の構築を模索してみては如何だろうか。

モビリティ革命は都市をどう変える? 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
open-cafe_w150

6月4日 「ウォーカブル」という言葉がある。国交省のサイトを調べると、令和2年6月に都市再生特別措置法等の一部を改正する法律の中で、その背景が説明されていた。頻発、激甚化する自然災害に対応するため、災害ハザードエリアにおける新規立地の抑制、移転の促進、防災まちづくりの推進の観点から総合的な対策が求められるとともに、一方では生産年齢人口の減少、社会経済の多様化に対応するため、まちなかにおいて多様な人々が集い、交流することが出来る空間を形成し、都市の魅力を向上させる「安全で魅力的なまちづくりの推進が必要」とある。「魅力的なまちづくり」の一環として居心地がよく歩きたくなるまちなかの創出、すなわち「ウォーカブル」ということらしい。国土交通省都市局まちづくり推進課官民連携推進室のホームページ「官民連携まちづくりポータルサイト」では3つのキーワードが謳われる。①地域独自の課題を発見し、解決する。②官民にかかわらず、まちの空間資源を使いこなす。③人間中心の視点で居心地よい環境をつくる、がそれだ。まちをリノベーションし、再生すると何が起こるのか?そこには起業家が集まり、新規の雇用が生まれ、まちのコミュニティが形成され、人の流れが生まれる。好循環はまちの遊休不動産の解消に繋がり、さらに起業家を集めるそうだ。日南市では、中心市街地(商業エリア)では、これらの取り組みにより歩行者や自転車の通行量が大幅に増加しているという。「都市再生」の概念の中には、前述の災害ハザードエリアの見直しも含め道路空間、河川、公園、商店街、オフィス街、駅前広場など、全国で様々な再生事例が生まれている。都市公園法の特例等により、道路や河川、都市公園の占有が規制緩和され、道路の路側や街路などの使い方も変化してくると同時に、道路を通行する自転車や電動キックボードなどモビリティ側のルールも、これらに適切に対応していかねばならない。https://www.fss.jp/how-to-use-case/にも、書かせていただいた自民党有志議員による「MaaS推進議員連盟マイクロモビリティプロジェクトチーム」や、警視庁の「多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会」などの動きにも引き続き注目して行きたい。

夢洲での実証実験に自動運転など採択…国際博覧会協会、大商 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
yumeshima-osaka2025_w150

6月3日 大阪商工会議所で2025年に大阪の夢洲で開かれる日本国際博覧会(大阪・関西万博)に向けて、機運の醸成と未来社会を見据えたイノベーション創出に向け、夢洲における実証実験の公募の採択結果が、この5/31に発表された。「いのち輝く未来社会のデザイン」とのテーマに沿って、寄せられた提案は39件、このうち10件が最終選考を通過し採択された。採択された案件の概要を拝見すると、大阪市高速電気軌道が「自動運転を活用した未来社会の実装検討」という実証実験を提案・採択されている。共同参加は、あいおいニッセイ同和損害保険、NTTドコモ、大林組、関西電力、ダイヘン、ティアフォー、凸版印刷、日本信号、パナソニック、パナソニックシステムソリューションズジャパン、BOLDRYとなる。実証実験では、万博輸送の模擬テストコースを構築した上で、レベル4を見据えた自動運転車両の走行実証が行われる。遠隔監視システム構築、5Gネットワーク、V2I(Vehicle to Infrastructure)、エネルギーマネジメントなどの技術検証と、群管理の課題抽出が行われる。また、将来的な自動運転化に必要とされる周辺技術として、車両乗降時の顔認証、パーソナルモビリティのシェアリングシステム、車両のエネルギーマネジメント、車内映像コンテンツ、路上での非接触充電、発電や自然配慮型舗装などの実証の場も提供され、万博会場での使用を目指す。2020年3月31日に公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が発表した「People's Living Lab」万博会場で実現したい「未来社会(技術・サービス)」アイデア提案 提案集【(3)移動・モビリティ】によれば、①会場内外移動の最適化(MaaS)以下の提案に、NTTグループは「出発前~来場後の移動時間最適化」を、関西電力は「自動運転モビリティによる移動サービス」や「AR・VR技術を用いた会場案内」を、パナソニックは「ロボティクスモビリティ 移動サービス&歩行する搭乗型ロボット」を、ティアフォーは「自動運転モビリティと共存する、すべての人が輝く空間の創出」を、大林グループは「安全・快適な移動を実現する『スマートコネクティッドロード』」等を提案していた。また、同アイデア提案の2021年1月31日時点では、提案法人・団体名は非公表だが「便利な顔パス決済システム」などが提案されていた。大阪商工会議所の会頭:尾崎 裕(おざき ひろし)氏は、同資料の主催者コメントに、大阪に根付く「やってみなはれ」の精神を実践する「実践事業都市・大阪」の実現に向けて、大阪府、大阪市とともに公共空間や民間の施設などを、実証実験のフィールドとして提供する支援組織「実証事業推進チーム大阪」を運営してきました。今回、採択された案件についても、引き続き実証実験の円滑な実施に向け、支援を行って参りますとのコメントを寄せている(一部抜粋)。4年後に迫った同万博をオリンピックの次の道しるべに、経済や人々の日常生活がコロナ・ショックから立ち上がり、活気を取り戻して行くことを願ってやまない。

埼玉工業大学の自動運転バス、年間走行距離約2,970kmを達成 東京・大阪間3往復相当 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
eiichi-shibusawa-nakanchi_w150

6月2日 埼玉工業大学の自動運転バスが話題となっている。2020年度の自動運転バスの研究開発における走行距離が2,970kmを超えた。昨年度計652kmの凡そ4.55倍を走行したことになる。米Cruiseが2019年12月~2020年11月までカリフォルニア州で行った走行試験は123万kmだから、その0.24%に当たる距離だ。走行の内訳を見ると、大学キャンパス内(41.3km)、深谷市内(大学周辺の公道/784.3km)、羽田空港地域(SIP自動運転/1008.5km)、塩尻市内(「塩尻型次世代モビリティサービス実証プロジェクト」/234.8km)、深谷市内(路線バス「渋沢栄一 論語の里 循環バス」/900.7km)である。埼玉工業大学の発表の中で走行距離の多い、羽田空港周辺で行われた内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」の参加機関として、リエッセⅡを投入、2020年度2回目の実証実験を10/21~計9日間行っている。実験の内容は、ITS無線路側機を活用した公共車両優先システム(PTPS)および信号情報提供、バス専用レーンなどのインフラ協調機能の有効性の検証であった。この実験への参加は、自動運転関連のスタートアップや国立大、サプライヤ、完成車メーカー、損保など計28機関にのぼる。*同大学は、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)(第1期)2017年10月~にも参加しており、私立大学としては唯一2期連続参加を果たしている。第1期では、埼工大のプリウス「SAIKOカー」を投入、静的高精度3D地図データの仕様・精度の検証、データの生成・更新・配信システムの検証、インフラ等により提供される動的情報の車載機器上での紐付け検証の実証に参加している。また「塩尻MaaS」においては、(株)ティアフォー、KDDI等の事業者と連携し、Autowareと事前に作成した高精度3次元地図をベースにした自己位置推定、障害物認識等の機能を実装した車両を走行させている。「渋沢栄一 論語の里 循環バス」では日野レインボーⅡを使用、路線バスとして営業運行させるため緑ナンバーを取得した。Autoware(AutowareをベースにしたAIソフト)を利用し、AIに拠る障害物検知(識別・分類)機能を強化、複数のLiDARやカメラの画像情報をディープラーニングにより、周囲環境をAIで認識させ、障害物の回避をさせることも可能。同大学がこれまで様々な実証実証に参画して得た経験やノウハウを集大成した取り組みだ。同大学の自動運転バスは「Autoware」をベースに独自開発した「SAIKOカーWare」により、AIを採用、自動運転レベル3を目指して開発されたものだ。一般公道を法定速度で走行できる。システムによる自動運転とドライバーによる運転を即時にスムーズに切替え、交通状況に応じて安全に走行出来る。運行は付加や観光バスが担う。ちなみにこの街には文久三年から(創業158年)銘酒「菊泉」を醸造する酒蔵、滝澤酒造株式会社がある。「菊泉 大吟醸」はインターナショナルワインチャレンジ(IWC:ロンドンで開催される世界最大規模のワインコンペ、2007年に「SAKE」部門設立)で2013年、2014年、2017年にゴールドメダル賞を受賞している。*同社の「蔵見学」はコロナウイルス感染症蔓延防止のため、当面の間休止の措置が取られているが「渋沢栄一 論語の里 循環バス」のコース上にある「道の駅 おかべ」でも地元酒蔵の地酒として販売されている。*『画像提供 深谷市』、『©深谷市』。

AI活用、バス事業者向けに事故削減コンサル 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
dish-and-calculator_w150

6月1日 新型コロナウイルスに対抗するワクチンの接種が世界各国で進む。Bloombergの記事によると、6月1日現在176ヵ国で19億1000万回以上の投与が行われている(3350万回/日)。この投与ペースをもとに(あくまで投与が順調に各国で進んだ場合)世界が高いレベルの免疫力を達成するには、更に1年を要すると「見込まれる」。同社の以前の記事から、世界が正常に戻るためにはワクチン一人当たり2回接種で、接種率75%が必要としている。また、第一生命経済研究所は、日本経済の見通し(2021・2022年)~ワクチン接種の進展で、22年の景気は上振れへ~を発表、実質GDP成長率の見通しは、21年度が+3.3%(21年3月9日時点予測:+3.3%)、22年度が+3.1%(同+2.6%)としている(ワクチン接種ペースの想定を上方修正したことから、22年度の成長率見通しを上方修正)。年内には日本の人口の約半分が接種を行うと想定、接種が進むと感染リスクは徐々に低下、抑制されて来たサービス消費が活発化することで、21年度後半から22年度にかけて景気は回復感を強めるとの読みだ。西鉄の"修正"第15次中期経営計画(2019年度~2022年度)を拝見した。2020~2021年のコロナショックを経て、2022年には事業利益が再び成長軌道に乗るポストコロナ期へ入るとグラフが目に入る。ウィズコロナ・ポストコロナで、想定される変化に対する認識については、外部環境認識として、海外情勢・経済はサプライチェーンが多元化・国内回帰し、国内経済では日常移動の減少・分散、フィジカルディスタンス確保、内需深耕+外需へ、ITCの進展とマーケットについては、デジタル化・省人化の加速、安全・安心や社会課題への関心については、サスティナビリティ重視へ向かうと分析されている。しかし、内部環境の認識においては、新たに「日常移動の減少・分散により人が集まることを前提とする多くの事業でコロナ前のお客様の水準に戻らない」との件も追加されている。西鉄の「筋肉質でサスティナブルな企業グループへの変革"ニューノーマルにおける西鉄ブランドの価値追求"」をテーマに掲げた戦略とは?多角経営ゆえ、交通事業関連の施策に的を絞り拝見してみると、①構造改革・事業モデル変革とポートフォリオ見直しでは、鉄道事業では、運賃施策・ICポイント施策の見直し、終電繰り上げを含む減便。バス事業では、同様に運賃施策・ICポイント施策の見直し、利用状況に応じた減便などが挙がる。②グループ経営体制・組織体制見直しでは、沿線自治体との連携・協業として、久留米市、太宰府市、大野城市、春日市との連携、他社連携ではJR九州、LINE Fukuokaとの連携が挙がる。③持続可能で活力ある街づくりの推進では、福岡国際空港との取り組みでは、将来的旅客需要の回復を見据え、国内線・国際線連絡バスに連接バスを導入し、ポストコロナを見据えた観光客誘致や二次交通の整備等での連携推進が挙がる。また、雑餉隈(ざっしょのくま)~下大利駅エリアまでの連続立体交差事業、西鉄柳川駅周辺開発事業、MaaSなど次世代モビリティの取り組み強化、AI活用型オンデマンドバス「のるーと」の展開、自動運転バス実証実験(朽網~北九州空港線)への参画なども挙がる。他交通事業者(JR九州等)と連携した観光客の利便性向上、QR乗車券など観光客向けの利便性の高い決済システムの構築も進む。⑤デジタル化・新技術の活用による生産性・顧客体験の向上では、デジタル技術を活用した顧客視点での商品・サービス再構築として、鉄道・バス事業では、定期券販売所におけるLINEを用いた順番待ち解消にも取組む。キャッシュレス・チケットレス化も進む(IC乗車券・定期券の事前決済型システム構築)。⑥ESG・SDGs視点での取り組み強化では、省エネ鉄道車両の導入による回生電力の駅施設への活用検討、中古バスを廉価に電動化する「レトロフィットバス」の導入拡大に向けた実証も進む。⑦安全・リスクマネジメントの強靭化では、バス車内安全監視AIカメラの導入拡大(2021年度~/BOLDRY「DaiLY BY DISPATCHER」の開発に協力)、駅ホーム安全監視AIカメラの実証実験、ICTを用いた効率的な鉄道施設点検の実証実験など、多彩な施策が進行中だ。前述の記事よれば「ポストコロナ」は1年後に到来している筈だ。各社残り一年の取組み次第で「ポストコロナ」でのスタート位置が変わると解釈すれば、この一年は重要な1年だ。

トヨタのアプリでJR九州と西鉄が協業 背景を運輸総研のセミナーから読み解く 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
seto-oohashi-bridge_w150

5月31日 岡山県倉敷市に鷲羽山下電ホテル(わしゅうざんしもでんほてる)*というホテルがある。グループの祖、下津井軽便鉄道は1911年に開業、1925年に路線バス開業、1952年に貸切バスを、1954年にはタクシー事業に着手。瀬戸大橋開業後の1991年に鉄道事業からは撤退している。ホテルは1932年に「鷲麓園」として創業、来年創業90年を迎える。この老舗ホテルが、JR西日本、JR西日本コミュニケーションズとともにプライベートビーチを利用して「SETOUCHI GLAMPING(せとうちグランピング)」(Glamorous+campingの造語)を開始する予定だ。2020年9月から2021年1月までコロナ感染拡大防止対策も含め実証実験を行い、GWのプレオープンを経て、この7月にグランドオープンとなる。その準備に余念がない。JR西日本は「JR西日本グループ中期経営計画2022 見直し_継続と進化で目指す未来へ」の中で北陸新幹線敦賀開業やせとうちエリア等、地方への注目の高まりを成長機会と捉え、コロナ禍での人と人とのつながりの「制約によるひずみ」は、むしろ「つながりの大切さへの再認識になる」と考えているようだ。その中で、地域共生の深耕 西日本各エリアの魅力創出と題して、鉄道事業と創造事業、地域が一体となったコンテンツ整備・プロモーション展開による広域観光エリアの磨き上げ、地方中核都市を中心としたまちづくりにより、西日本各エリアの魅力を創出、交流・関係人口拡大を図る。JR西日本の「せとうちパレットプロジェクト」はその一環だ。このプロジェクトの一角をなすのが「SETOUCHI GLAMPING(せとうちグランピング)」だ。良くも悪くも、1988年の瀬戸大橋の開業が地元経済に与えた影響は計り知れない。下電グループや瀬戸大橋下の櫃石島(ひついしじま)、岩黒島、与島、坂出市、宇多津町、丸亀市など地元自治体や公共交通事業者も、その荒波を幾度も受けてきたことは想像に難くない。グループは地元の足となる移動サービスを維持しながら、関係者が様々な経営努力をして来た様子はホームページからもみて取れる。しかし、同観光ホテルとJRの地元駅となる児島駅間を結ぶ下電バスの「とこはい号」は倉敷市のバス路線維持費補助金の交付を受け、一日10便に限られる。関連会社の移動サービスと言えども状況は厳しい。JR西日本も、地域を知り尽くした老舗グループも生まれたばかりの「グランピング」と「MaaS」に期待をかけ、その舵を切ったばかりだ。ちなみに、2020年10月1日よりJR西日本「setowa」アプリでは「ジーンズのまち児島1日乗車券」「鷲羽山夕景鑑賞バス」をスマホでお得に決済、チケットレス乗車が利用できるようになったそうだ。「鷲羽山夕景鑑賞バス」のコースには同ホテルが組み込まれ、夕方の夕日の時間に合わせたダイヤで+1便となっている。老舗ホテルのお眼鏡にかなったMaaSの可能性に期待したい。*下津井電鉄の関連会社である株式会社下電ホテルが経営。下津井電鉄から分社化、下電の呼称を使用しているが現経営主体は異なる。下電ホテルグループの代表は永山久徳氏。岡山県倉敷市出身。

KDDI登壇、IoTによる企業や社会の変革事例を紹介…モビリティトランスフォーメーション2021 他

MaaS・CASE関連の最新ニュース
lng-tanker_w150

5月28日 6/29-30に、株式会社スマートドライブが主催する「モビリティトランスフォーメーション 2021 移動の進化への挑戦」(オンライン開催)が開催される。移動サービスに関わろうとするさまざまな業界の雄が集い、MaaSやCASEを基軸に据えながら、カーボンニュートラルへの取り組み、DX(デジタルトランス・フォーメーション)、新型コロナウイルスへの対応など、様々な「進化」のための環境への答えを模索し、その未来を語る。前日の6/28には、業界を代表する3社とスマートドライブによるスペシャルセッションなども配信される。その中に東京ガス株式会社の参加がある。同社が基軸としてきた既存事業を考えると異色に映るが、東京ガスのホームページで、セグメント利益構成比(2019年度)を拝見すると、ガス1,024億円、電力101億円、海外132億円、エネルギー関連169億円、不動産96億円、その他が57億円とある。電力事業は、2016年の電力小売全面自由化を契機に端を発し、小売の顧客数は240万件(2020年4月時点)、電力販売量は206kWh(2020年3月期)と順調だ。東京ガスは、2019年11月に策定した経営ビジョン「Compass2030」により2030年に向け、CO2ネット・ゼロをリード、価値共創のエコシステム構築、LNGバリューチェーンの変革を図ろうとしている。脱炭素の潮流(パリ協定・IPCC第6次報告書公表など、また再エネ普及、脱化石燃料、アジア圏での天然ガスの需要拡大)、デジタル化(5G商用化、デジタルとリアルの融合)、顧客の価値観の変化や多様化(スマートシティ、サステナビリティ、レジリエンス強化、生産活動を伴う消費者の増加、エネルギーの使い方の変化)、エネルギーの自由化(公営ガス事業の民営化、競争激化、LNGの供給過剰、電力・ガスの法的分離による業界の再編、再生エネルギーや分散型エネルギーシステム導入へのシフト)といった経営環境の変化を捉えての動きとみられる。取り分け「LNG(液化天然ガス)」は、ガスコージェネレーションシステムを介して、発電で発生した廃熱を別の電力源として使用出来、火力発電と比較し高効率の発電が可能だ。またCO2や公害物質(窒素酸化物や硫黄化合物)発生を抑制できる上(ただし天然ガス採掘時にメタンガスの抑制が必要で、この領域は現状、一長一短がある)、石炭やガスに比べ、より多くの地域から産出可能で供給安定性も高い。つまり、EVやLRT、スマートシティー(公共施設や一般家庭やオフィス、避難所の蓄電池)などが、これらのエネルギーの将来的な有力顧客・消費先となるということだ。東京ガスは新たな電力供給システムのプラットフォーマー(低CO2電力の供給・最適融通・最適運用)を目指し、その体制を構築している。宇都宮市のスマートシティー構想(芳賀・宇都宮LRT事業LRT)などが、これらの取り組み例と言える。また練馬、浦和、千住に続き、江東区豊洲にも水素ステーション(シェルグループから購入したカーボンニュートラルLNGを活用、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生するCO2が、CO2クレジットで相殺される)を開設しており、燃料電池バス(FCバス)系へのエネルギー(水素)供給もカバーする目論見だ。国連開発計画(UNDP)のホームページには、SDGsについてこうある。3 すべての人に健康と福祉を、7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに、10 人や国の不平等をなくそう、12 つくる責任、つかう責任、13 気候変動に具体的な対策を。17 パートナーシップで目標を達成しよう(一部抜粋)。この国がLNGを利用するにあたり、産出国で公害を起こしてはならない。産出国側に現段階で問題解決の余力がない場合は、購買国側が採掘時のメタンガス抑制の技術なり、無公害化のシステム提供なりの道筋や資金を与えるべきだ。その意味でも東京ガスの脱炭素化の進展に期待したい。

ページの先頭へ