MaaS・CASE関連の最新ニュース(32 / 65ページ目)

完全自動運転は「万能薬」か 高齢化社会がもたらす移動問題を考える 他

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2月26日 免許返納による社会的な経済への影響について考えた見た。昨今、国内で急速に進む公共交通のオンデマンド化や自動運転化により、モータリゼーションと言われた時代、一般家庭に必要とされて来た自家用車の免許返納が進むと、国や自治体は自動車税の税収が減り、免許の取得や更新などにかかる手数料、違反の際の過料、高速道路の利用料などは減少する。民間企業では自動車保険や月極などの駐車場市場、自動車関連用品メーカーや販売店市場、燃料市場も縮小する。一般家庭においては、自家用車の維持費となっていた、自動車税や駐車場代、車検代含む車両の整備コスト、オイル交換代、燃料代、自動車保険などの費用負担がなくなる。代わりに公共交通へ支払う運賃やMaaS関連サービスの利用費、手軽に使えるカーシェア、シェアサイクルなどの利用費や電動キックボード、電動車いすなどの購入や維持費が発生する、場合によっては買い物や病院などの施設に近い、都心部或いは郊外などへの移住なども考慮する必要が出て来る。西日本新聞によると、JA共済の試算では、自家用車の年間維持費は軽自動車は約38万円、コンパクトカーが約44万円、Lクラスミニバンが約50万円だそうだ。警視庁の「運転免許統計」を拝見すると、2019年の返納者は60万1022人だった。家庭経済の中で、免許返納により生まれたキャッシュフローの主だった使い道、交通事業者、通信事業者、MaaS関連サービス事業者、ラストワンマイルを補うモビリティ関連事業者などだろうか。公共交通維持の観点から、単純計算で恐縮だが、最低でも年間 約2280億円の予算は、各所喉から手が出るほど必要だが、ここは我慢のしどころだ。利用者がスマホを使えば、通信事業者とMaaSサービス事業者が潤い、MaaSサービスが定着し利用が増えれば、次は交通事業者やラストワンマイルのモビリティ事業者が潤う。移動サービスが社会の活性化につながれば、他業種である観光業や宿泊業、飲食業や小売業などにも恩恵は波及する。MaaS経済は「我田引水経済」ではなく、互いが「風が吹けば桶屋が儲かる」ということを承知の上で、社会に行き渡る効果をじっくりと育てたい。

オンデマンドバス運行MaaS「SWAT Mobility」にグローバル・ブレインが出資、期待高まる貨客混載の可能性 他

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2月25日 2/8 スマートモビリティソリューション(デマンドレスポンス・ライドシェアリング)のSWAT Mobility Japan(株)(本社/シンガポール)は、グローバル・ブレイン(株)が運営するグローバル・ブレイン7号投資事業有限責任組合をリード投資家として、第三者割当増資の実施を公表した。2016年に設立された同社のソリューションは住友商事、トヨタ自動車、ニューサウスウェールズ州交通局(デジタル決済プラットフォーム)、セムコープマリンなどアジア太平洋地域の顧客に利用されている。同社は、これまでもオーストラリア(オンデマンド公共バスにコロナ感染拡大防止対策)、インドネシア(大手民間輸送事業者立ち上げ)、日本、フィリピン(医療従事者に需要に応じた通勤輸送)、タイ(医療従事者輸送)、ベトナム(工業団地向けの従業員輸送ソリューション)の7つの市場に参入し、数々の実績を残し、2020年には ASEAN Business Awards の「カントリースター・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。日本においては、2020年7月にJ:COM従業員向けのオンデマンド作業輸送(東京都練馬区・大阪府堺市)を開始している。実験では、全国約4,500台の営業車を使用、複数の営業社員が効率のよい「相乗り」を行い、生産性向上を目指した。また、同年11月には新潟市下町において、新潟運輸(株)や日本ユニシス(株)が実施したオンデマンドバスの実証実験にも、配車アプリ「SWAT JP」を提供している。また、2021年1月には WILLERS PTE. LTD.(WILLERのシンガポール国内のグループ会社) とアジア太平洋地域の輸送サービスの課題に取り組むため、MaaSプラットフォームの使用を中心とし、需要対応機能(オンデマンド機能)を備えたコミュニティ中心の共有モビリティサービスを共同で開発することを発表した。日本においても、ASEAN諸国においても、オンデマンドやライドシェアに対する需要は急速に拡大、同ソリューションの領域に対する需要も引き続き高まってゆくものと思われる。

自動運転車のデータ収集からマネタイズまで! 他

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2月24日 日本における自動運転の社会実装について、今後のポイントは「蓄積データや企業が持つ特許の流通とマネタイズだ」と漸く言える段階となって来たように思う。令和2年度3月19日 国交省の「MaaS関連データの連携に関するガイドライン Ver.1.0」を思い出す。ガイドラインには、MaaSにおけるデータ連携イメージが図示されていた。データを生成するのは、主に公共交通事業者、生活・観光サービス事業者、道路・インフラ事業者、自治体、自動車メーカー、決済事業者などである。そして階層の反対に位置するのは利用者である。両者の中間にはデータ利用者とMaaSプラットフォーム(*以下PF)が位置する。PF自体はまた別のPFと連携するという構造もみて取れる。タクシー事業者が車両に広告用モニターを搭載し、広告配信会社から収益を得る仕組みを構築してから久しい。データ生成者となる全ての事業者は、広告収入に拘ることなく、自社の車両などデータ生成媒体から発生する「自社ならではのデータの資産性」に着目し、その流通に積極的に取り組むべきだ。もとよりMaaSは、関わる全ての事業者が、互いのデータを提供したり利用したりしながら、利用者の利便性に貢献することが大前提だ。互いのデータを誰かが必要とする。地方バス路線のトンネルや橋梁データは、自治体や道路会社が行う構造物の管理や整備、災害時には自衛隊や消防庁に詳細な天候や地図情報等が必要となる。観光客が初めての雪道を走るには、地元の路面の最新データが必要だ。都心の通勤電車の乗客の属性データは広告会社が必要とするだろう。また、これまで実証を重ね技術の礎を築いてきた産学官や地元の各種コミュニティーは得たノウハウを「特許化」し、追従する自治体の早期導入を促すために、特許を流通させ、初期コストを軽減させたり、継続的な収益の確保、今後地元に実装される公共交通機関の自動運転化やMaaS関連サービスの運用コストの削減にも取り組むべき時期だ。データ利用者やプラットフォーマーは、利用者が収集しきれないデータや技術、権利関係を発掘・可視化させ、利用者が情報を自由に俯瞰しながら自社に何が必要なのかを提示(提案)した上で技術、データ、権利などを、短時間で流通できる能力も求められる。技術と権利の流通・資産化が出来てこそ、アップデートされる交通体系を持続可能なものとし、都市部も地方も赤字路線の廃止に歯止めをかけることができるのではないか。

MaaSの最前線紹介 中部ニュービジネス協が講演会 他

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2月22日 MaaS領域においてトヨタをはじめとする愛知県下の企業の取り組みには目覚ましいものがある。中京圏において最大の路線ネットワーク444.2kmを有する名古屋鉄道の取り組みに迫ってみた。その名は旧名古屋五摂家に数えられ、中部セントレア空港にも名古屋圏の鉄道事業者で唯一アクセス路線を持ち、空港特急「ミュースカイ」で名古屋駅と同空港を28分で結ぶ。愛知県が実施する「2020年度自動運転社会実装プロジェクト推進事業」は(株)NTTドコモを幹事会社として11社、1大学により、空港最寄りの常滑市、西尾市、愛・地球博記念公園を有する長久手市などで実施されているが、名鉄グループからその内4社が参画、運行助言や自動運転バス運行支援、自動運転タクシー型車両の運行支援、顔認証システムの提供などを担う。その本気度が伺い知れよう。名鉄は2020年1月、知多半島の南端にある日間賀島(ひまがじま)で「離島における観光型MaaSによる移動」実験に参加、自動運転バスの走行、顔認証による乗降や、遠隔監視、V2N、シェアサイクルなどの連携効果や移動手段としての可能性に触れた。実験の際には、鉄道乗車券のQRを介し、名古屋から日間賀島までの鉄道および船の乗り継ぎ情報や、島内の自動運転バスの運行時間、シェアサイクルや観光情報などをスマートフォンに提供し、観光客にMaaSによる移動サービスを体感してもらった。裏を返せば、これまで散逸し提示されていた商品(交通情報や観光目的地までの誘導や周遊の手立て)を、お客様の目的や嗜好に合わせ一括検索してもらうことで、その個人に適時・適切な複数の選択肢を提示できる「利便性・将来性」を運営側として体感した。名鉄沿線は「FLIGHT OF DREAMS」や岡崎城、博物館明治村、常滑やきもの散歩道、熱田神宮、半田赤レンガマルシェ、蒲郡温泉など観光・おでかけスポットの宝庫だ。Web上に散在するマルチモーダルなグループ交通機関や観光地、宿泊施設などの検索・予約・決済をどのように一元化させるか?名古屋駅やセントレア空港からの観光客をどのように「名鉄城下」の周遊に誘うのか?さらに隣り合う静岡・伊豆地区の観光型MaaS「Izuko」や、JR東海の「エクスプレス予約」「スマートEX」などと、名鉄公式スマホアプリ「名鉄Touch」や「名鉄スマホサイト」をリンクさせるのか?など「名鉄MaaS」の進化への興味は尽きない。

JR西日本 MaaSナビ「setowa」を拡充、私鉄などとの新たな連携やホワイトレーベル化も検討 他

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2月19日 JR西日本のせとうち観光ナビ(Webサービス/スマホアプリ)「setowa」のエリアが拡大される計画がある。2021年以降に現行エリアである広島県全域、岡山県(岡山市や倉敷市)、山口県(岩国市など)、愛媛県(松山市や今治市)から、エリア周辺で行われる観光キャンペーンにあわせ、順次エリアを拡大して行く。北陸新幹線の敦賀延伸を見込み、西日本エリア全域をカバーする観光型MaaSの位置を築いていく計画だ。「JR西日本グループ中期経営計画2022」見直し(2020年10月30日)を見ると、JR西は自社・周辺エリアを6つに分け(北陸、北近畿、山陰、瀬戸内、南紀、九州)、新幹線を基軸とする広域鉄道ネットワークを敷いている。計画では、お客様とのデジタル接点を充実させ、利便性や魅力の向上を図るとある。このデジタル接点となるのが、既存のMaaSアプリ「WESTER」と観光MaaS「setowa」である。JR西はデジタル領域においては、「WESTER」と「setowa」を連携しエリア拡大を図るとともに、これらのデジタル接点をホワイトレーベル化(一般的には、ある企業が生産した製品を、他の企業が自社のブランドを使って販売すること)することで、同社が単独ではカバーしきれない観光地などにネットワークを持つ、私鉄各社にもラブコールを送る計画だ。「WESTER」の主な機能としては、鉄道情報提供、経路検索、駅混雑度傾向情報提供、お出かけスポット情報提供、クーポン配信など。「setowa」は話題の観光スポットやエリアガイド、モデルコース、おすすめチケット情報などの提供と、旅行前の予約・決済機能、旅ナカでもスケジュールの修正などが出来る。2つの機能が整理統合され、西日本エリアや周辺エリアでの利用範囲が拡大すれば、普段使いとなる通勤や通学の利便性も増し、旅の楽しさも倍増しそうだ。

いわき市の新たなフードデリバリー「おつかいタクシーMaaSプロジェクト」 他

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2月18日 いわき市とMONET Technorogies、福島県タクシー協会いわき支部は「いわき版MaaS推進事業」を実施、その一環である「いわきのグルメをお届けしMaaS」を2/15~スタートした。専用のWebサイト(https://iwaki.anycarry.jp/)で会員登録の後、お届け先の指定を行い、希望する店舗の料理を希望時間と併せて指定する。料理の配送は地元のタクシー会社の「おつかいタクシー」が担う。受付時間は、9:00-18:00、配達料は3km以内で1000円、以遠は2kmごとに200円が加算される。商品の決済は受取時となる。もちろん電話注文も可能で、高齢者に配慮した仕組みとなっている。配達管理システムは(株)エニキャリが提供する。コロナ不況に苦しむ飲食店の活性化を目指す。飲食店は自前で注文受付や配達状況の管理などの必要がなくなり、配達スタッフも不要だ。また、いわき市では 1/23~3/31まで、MONET Technorogiesの、レイアウト変更し、様々な用途に活用できる「マルチタスク車両」に遠隔相談システムを載せ、市内を巡回させる「行政MaaSプロジェクト」を実施している。利用者は各課への行政手続きや税務、労働相談等を車内で受けることができる。利用は相談日の2日前までにふるさと再生課に電話で予約、当日は最寄りの支所の駐車場に駐車した車両内で手続等を行う。同プロジェクトの内容は上記の他、市の総合防災訓練で災害時の活用を想定した実証、市民ニーズ等の把握や車両を活用して提供可能な行政サービスの調査・分析等を進めながら将来のスマートシティーなどの取組みに繋げるなどの項目も見られる。この度の、令和3年2月13日福島県沖地震の対応策として早速活用されるのだろうか。生まれたばかりのサービスが担う市民の期待は大きい。

半導体ショック トヨタが生かした「3.11の教訓」 他

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2月17日 コロナ禍の影響で自動車産業界は半導体不足という後遺症に悩まされている。CASE対応した車両を組み立てるにはLiDARなどのセンサー類や、プラットフォームの共通化、バッテリーなど、多岐に亘る構成部品をこれまで以上に緻密・周到に管理してゆくことが求められている。車両の自動運転化やハイブリッド化、EV化などにより、サプライチェーン全体も大きな変革の波を受け続けていることも事実だが、変化し続ける部品供給網を環境の異なる様々な世界に拡大する以上、サプライチェーン全体の統合管理や手法のアップデートも避けて通れない。今回の半導体騒ぎの中でも、その概念が部品供給体制に浸透していたか否かで、国内の完成車メーカーにおいても明暗が分かれた。日経によれば、ホンダは半導体不足の影響を受け、2020年度の通期販売台数の見通しを10万台引き下げ、SUBARUは21年度3月期の売上収益を前年同期比12%減の2兆9500億円から、同15%減の2兆8500億円に引き下げた。日産自動車は通期の販売台数の見通しを半期決算時点から3.6%引き下げる結果となった。しかし、トヨタ自動車は21年3月期通期の連結営業利益の見通しを期初の予想の5000億円から、2兆円に上方修正した。通期の世界販売台数の見込みは中間決算時点の予想から30万台以上引き上げた。明暗はどこで分かれたか?トヨタは、およそ10年前となる東日本大震災の教訓を生かし、2013年にサプライチェーン情報システム「RESCUE(REinforce Supply Chain Under Emergency)システム」を稼働、部材ごとに2次、3次の調達先を設け、サプライチェーンの供給リスクを可視化させた。更に取引先とのコミュニケーションを密にし、さらに数ヶ月から3年先までの確度の高い生産計画を示し、発注することを繰り返し、信頼関係を築いたという。一躍世界で有名になった「カンバン方式」に関わる「調達」にも、独自のノウハウが光る。トヨタの「持続的成長を支える取り組み」という資料がある。調達項目の取り組み事例に「災害に強いサプライチェーンの構築」があり、その中では「1.人道支援」「2.被災地の復旧」「3.自社の生産復旧」の優先順位を基礎に据えてある。東日本大震災以降は、初動の迅速化、復旧の早期化を目指し、各国/各地域でサプライヤーと一体となった「災害に強いサプライチェーンの構築」に努め、平時からの「サプライチェーン情報の見える化」と「災害に備えた対策」を推進してきた。「サプライチェーン情報の見える化」では「日本のものづくりを守る」という想いと、長年の信頼関係のもとサプライヤーから情報をご提供データベースを構築したとある。これが「RESCUEシステム」である。また「災害に備えた対策」では上記データベースに基づきサプライチェーン上の課題を洗い出し、減災や生産拠点の分散等の対策実行にサプライヤーと連携して取り組んでいる。この取り組みにより、2016年4月の熊本地震での初動の迅速化、復旧の早期化を果たした実績がある。この時こそ、鑑とし実践すべき内容に富む資料だ。

前橋市など、市内で自動運転バスを実用化 22年度めど 他

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2月16日 昨年12/21~前橋市で「MaeMaaS」の実証実験が進む。市内の交通再編を目指し、JR東日本の「ググっとぐんMaaS」内で、前橋市民向けサービス提供を行っている。今回は「MaeMaaS」の実験の一環として、NTTデータがオンライン本人確認サービス「Polarify eKYC」(顔認証技術)の株式会社ポラリファイとともに実証を行う。eKYCとは「electronic Know Your Customer」の略。従来はオンライン上だけでは本人確認を完結出来なかったが、犯罪収益移転防止法(犯収法)改正によりオンライン完結のeKYCが可能になった。本実験では、事前に利用者がマイナンバーカードを用い顔情報を登録(サーバに顔写真は保管せず、特徴点のみを保管)、以降はどのバスでも「顔パス乗降」が可能となる。つまり本人確認情報と運賃決済の連携が可能になる。話は変わるが、全国銀行協会が主要銀行を対象に行った面白い調査がある。個人の給与口座の出金の「キャッシュレスによる払い出し比率の調査」(2019年)では、ATMなどの現金引き出しは全体出金額の48.9%、キャッシュレスによる出金額は51.1%であり、既にキャッシュレス出金が現金の引き出しを上回っている。本実験には三井住友銀行が群馬大学との産学連携協定(2018年2月に自動運転分野に特化した同協定を締結)に基づき参画している。「通勤・通学・通院」や「商業施設利用」はMaaSに組み込まれた公共交通機関にとって、主要な収入源(有力な移動動機)となる。前橋市は交通ネットワークの軸にJR上越線、両毛線、上毛電鉄、そして広域幹線バス、都心幹線バス、地域間交通(バス)、オンデマンドバス等を組み込み、マイカーに偏重したネットワークの再構築(役割分担の再構築)を試みる。今回の実証実験の舞台となるのは都心幹線バスだ。金融機関としても興味深い実験となるのではないだろうか。

AIバス、自動運転1人乗りロボ 「つちうらMaaS」 15日から実証実験 他

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2月15日 2/15-3/12まで、土浦市で「乗換案内」アプリを利用したキャッシュレス化、電動キックボード「kintone」、AIコミュニティバス、ZMPの自動運転モビリティ「ラクロ」を組み合わせた「つちうらMaaS実証実験」が実施される。実験は「観光客の市内周遊」と「市民の移動手段確保」の二つの要素を含む。本実験の「市民の移動~」は、交通不便地域である新治地区(かつて関東鉄道筑波線の坂田駅、常陸藤沢駅、田土部駅を擁した)で行われる。同地区では以前コミュニティバス「新治バス」の試験運行を実施したが「地元負担3割り」の壁が厚く、2年半で廃止(2014年3月)した経緯がある。某茨城県議のHPを拝見すると、「新治バス」新設の前年には、同地区付近(土浦駅-亀城公園前-土浦一高前-土浦工業高校前-中並木-中都公民館-常陸寺前)を循環していたJRバス関東の山ノ荘線が2008年3月に廃止されたことも分かる。「新治バス」は新治地区と土浦駅の往復需要(朝晩は通勤・昼は高齢者の新治地内の3ルートを循環)を見込みルートを設定していた。料金は朝夕ルートが350円、昼ルートが200円、月・水・金・日の営業で一日14便が設定されていた。今回の実験(2/22-3/11)で運行される「新治コミュニティーバス(無料、8人乗り)」は、高岡・田土部ルートと沢辺・田宮ルートを設定、それぞれの地区から125号線を走る関東鉄道の既存路線(土浦駅西口~下妻駅間)に接続させる。既存路線側の本数は、一日33便・土日祝27便だ。実験アプリは、ジョルダンの「乗換案内」、タクシーを含めたマルチモーダル経路検索、キャッシュレスで「つちうらMaaSモバイルチケット」を購入すれば、スマホでバス乗車や市内飲食店や物販店(計59店)でのお買い物や観光施設の利用が出来る。また(2/26-27)には、コミュニティーバスのバス停となる新治地区公民館付近の歩道で自動運転1人乗りロボ「ラクロ」の走行実験が行われる。「ラクロ」バス停から自宅までのラストワンマイルを担う。一方で新治地区の高岡・田土部ルートには「つくば霞ケ浦りんりんロード」における電動キックボードの走行実験が、2/16-2/20まで行われる。現在、電動キックボードは所定の要件を満たすことで原動機付自転車として公道走行が可能だが、自転車道の走行は認められていない。実験ではその活用可能性を探ることを目的とし、すれ違い、追い抜き、並走等様々な条件下での安全性を確認する。余談だが「つくば霞ケ浦りんりんロード」は、筑波山方面と霞ケ浦・北浦方面に分かれ、旧つくば鉄道コース(40km)、ヒルクライムコース(25km)、霞ケ浦1週コース(125km)、完全走破コース(180km)など変化に富んだ景観を持つ「ナショナルサイクルルート(令和元年11月指定)」だ。(2019年度の利用者は9万3千人)。MaaSは地元の観光収入と自治体の抱える公共交通の運賃負担問題を結び、解決に導くツールとなり得るか?鍵は電動キックボードの自転車道利用の解禁だ。

経済産業省“地域新MaaS創出推進事業”「塩尻型地域新MaaS×自動運転実証プロジェクト」におけるタクシー型乗用車を用いた「自動運転」公道モデル実証を実施しました 他

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2月12日 塩尻市振興公社と塩尻市、アイサンテクノロジー、ティアフォー、損害保険ジャパン、KDDIは、1/12~1/20まで、経済産業省の地域新MaaS創出推進事業「塩尻型地域新MaaS×自動運転実証プロジェクト」に採択された自動運転公道モデルの実証実験を実施する。地域に散在する市街地や既存集落、工業地、一般住宅地住工複合地域などの拠点間を拠点内においてはオンデマンドで、拠点間(中心的商業地域と各拠点)は自動運転を使い分けて結ぶ構想だ。実証概要には一人対複数車両における遠隔監視技術の実用性や、自動運転の安全性向上に必要なICTインフラと歩行者等に対する安全方策の効果の検証も含まれる。実験では、タクシー型乗用車3台が市内の公道を走行するが、安全面には特に力が入れられており、損保ジャパンやアイサンテクノロジーが共同開発したインシュアテックソリューション「Level IV Discovery」の各種サービスの導入、興味深いのは、5G及びITSスマートポールと連携したインフラ協調技術との連携を進めている点だ。市内ワイナリーまでの実験ルート中見通しの悪い交差点に既存電柱にセンサーなど実験用機材を共架、自動運転車両や一般の自家用車、歩行者、自転車などの接近情報を感知させ、交差点進入時の安全性を高めるスマートポールの必要性を検討する。スマートポールの協力事業者の多さには目を見張るものがある。(株)シマノ、(株)ソニックス、京セラ(株)、(株)IHI、パイオニアスマートセンシングイノベーションズ(株)、パナソニックサイクルテック(株)、(株)アシックス、積水樹脂(株)など関連事業者の熱い視線が注がれる。スマートポールとは、IoT化されたストリートファニチャー(路側に設置される街路灯などの構造物)だ。ネットワークに接続されたこれらの構造物(ポール)は街路灯の節電をはじめ、カメラやセンサー類による情報発信と同時に歩行者の属性情報(年齢や性別など)などの収集、防犯や避難誘導、また5G基地局やV2X(路車間通信機器)対応できる機器として幅広い使い方が出来る。今回としては交差点進入時の安全性向上の為に用いられるものと思われる。

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