1月13日 CES2021が開催されている(米国時間1/11-14まで)。今回はオンライン上での開催となる。一年前、巷をあっと言わせたSONYの「VISION-S」のその後も気になる。CES2021における同社テーマは「明日の技術で未来を再定義する」だ。専用オンラインコンテンツでは、SonyがPlayStation5、VISION-S、Airpeak(初のドローン設計、フルフレームミラーレスカメラを搭載)、SPEは仮想製作技術やボリューム画像取得の進歩、BRAVIAなどが発表された。。SIEはPlayStationコミュニティの進化を、SMEIはアーティストとのコラボレーションを展示している。気になる「VISION-S」の安全性やエンターテイメントの進化はどうか。安全性の面では、人の視覚を超えるオーバルセンシング技術(CMOSイメージセンサを中心に計40個のセンサで継続監視)や、車両周辺を360度見渡せる運転支援(アダプティブクルーズコントロール、セルフパーキング、自動車線変更を備えた高精度のレベル2+ドライバ支援)、そしてドライバーの状態の監視(ToFカメラセンサがドライバの集中力や倦怠感を判断するため、ドライバの表情の把握やジェスチャーを判読、必要に応じてアラートを出す。また読唇システムによるコンテンツ表示やナビ運用など)の完成度が高まっている。エンタメとしては、没入型の3次元音場を車内体験出来る、360リアリティオーディオ(個別シートスピーカー)、コンソールと水平に配置されたパノラマスクリーンでは映画、ゲーム、ビデオコンテンツを楽しむことが出来、ドライバと同乗者がそれぞれコンテンツにアクセスできる。リモートプレイでは、自宅PS5から5Gで連携、車内でゲームプレイが可能だ。後席には10.1インチのスクリーンを備えた。L-スワイプジェスチャでは、前席パノラマスクリーンの画面をスワイプすると、後席のディスプレイに画面を渡すことも出来る。後席のセンターに配置されたジョグダイヤルやDualShockなども、同社の目指す「次世代のインタラクション、ドライバーが同乗者や車両自体を含む周囲の環境と自然に対話できる完全に直感的な体験を可能にすること」に寄与するに違いない。
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NEC、5G技術による完全自動運転バスの公道実験へ 他
1月12日 2/15~28にかけて群馬県前橋市(前橋駅から中央前橋駅までの区間)で、一般社団法人ITCまちづくり共通プラットフォーム推進機構(TOPIC)、群馬大学、日本モビリティ、NECらが実証実験を行う(本実験は総務省の「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」の委託を受けて行われる)。TOPICが全体統括と事務局を担い、群馬大学は前橋5Gの自動運転連携に関する技術分析評価と実装、横展開に関する検討を、日本モビリティは遠隔管制および自動運転システム(双方とも5G対応型)の提供、NECは技術統括、ローカル5G基地局・エッジコンピューティング・学習型通信品質予測技術及びメディア送信制御技術の提供、多地域実証推進を担う。キャリア5G基地局は、NTTドコモが提供、車両は日本中央バスが提供する。なお、前橋市は本実験に際し「マイナンバーカード」とスマホを使うか、市役所1F窓口で事前登録をした後、自動運転バスを含めたシャトルバス乗車時に顔認証を行うことで、期間中無料乗車できる「MaeMaaS実験」を並走させる。*こちらの実験は上記区間にけやきウォーク(JR前橋駅~けやきウォーク間は土日限定)が含まれる。*ローカル5Gは、通信キャリアによる全国向け5Gサービスとは別に、地域の企業や自治体等の様々な主体が自らの建物や敷地内でスポット的に柔軟にネットワークを構築、利用可能とする新しいシステムのこと。
東急、MaaSで狙う定期券の復活 飲食・映画の割引も 他
1月8日 コロナ禍により、東急の沿線通勤定期対策に火が付いた模様だ。東急電鉄の「2021年3月期 第2四半期決算短信」を拝見すると、交通事業では、東急電鉄㈱の鉄軌道業における輸送人員は、新型コロナウイルスの感染症拡大に伴う利用者の減少に伴い、定期で36.6%減少、定期外で41.2%減少、全体では38.4%の減少となった(*前期比など詳細は同資料を参照ください)。営業収益は、695億4千4百万円(同35.4%減)、営業損失は、121億8千7百万円(前年同期は、204億1千8百万円の営業利益)である。同社は対策として「DENTO LINE公式アカウント」と定期を活用し、高速バス・飲食・娯楽などを割安で利用できる実証(「DENTO(デント)」)を始める。視点を新たにすれば定期利用客は、自社サービスの根幹となる交通事業の優良顧客だ。しかし、急激なテレワークの普及に伴い、出勤日数に即した通勤費精算に切り替える企業も少なくない。定期利用の離脱を食い止める必要がある。同社は定期の利用シーンを通勤経路から拡大、利用者の生活環境における定期の活用を模索する。この話題は東急に限らず、全国の都市圏の鉄道事業者に当てはまる。交通インフラ事業部の森田課長は、定期券保有者の優遇サービスを「生活定期」と呼んだと聞く。的を得た言葉だ。
西武、自動運転の大型路線バス。通常の路線バスと同じ運行形態 他
1月7日 西武バスは、2月から西武池袋線飯能駅南口と美杉台ニュータウン(片道2.5km)を結ぶ営業路線で、大型バスによる自動運転の実証実験を始める。大型バスによる営業運行による実証実験は、2019年9月に相鉄バスが群馬大学などと、よこはま動物園ズーラシアと里山ガーデンを結ぶ(900m)路線で「レベル4」に向けた実証実験を行っている。その後、2020年10月に日本モビリティ㈱を加えた3者が同路線で遠隔監視・操作による自動運転の実証実験を営業運行で実施している。国立研究開発法人 産業技術総合研究所においても、実証コーディネーターとして日本工営、バス開発コンソーシアムに先進モビリティ、いすゞ自動車を採用、2020年度から中型自動運転バスによる実証実験が、全国5事業者、5ヶ所にて行われている(京阪バス、神姫バス、西日本鉄道、茨城交通、神奈川中央交通)。群馬大初のベンチャー企業、日本モビリティ―㈱は、自動運転車両が走りやすい街づくり、国内最大数の行動実証実験で蓄積した自動運転システムや路線環境に適した自動運転車両の提供、また住民やステークスホルダーなど社会受容性を高め、安全性を適切に確保した上で「目的に沿った評価項目を設定した」評価を行うなどの実証実験のコーディネート、損害保険の提供などを行う。同社は既に社会実装のためのノウハウをパッケージ化している。その意味で、自治体への無人移動サービスの導入は、現段階で既に実証実験を経て商用化の段階に入ったと言えるだろう。
JR九州、自動運転の営業運転スタート!将来は「GoA2.5」の形態目指す 他
1月6日 昨年末の12/24から、JR九州の香椎線で自動列車運転装置実証運転が開始された。この路線の保安方式は、ATS-DK方式(車上DBの情報から自動的に速度監視をし、制限速度を超え非常ブレーキを動作させなければならない速度になった場合、非常ブレーキが動作)と呼ばれ、ATS(列車が信号で正常に停止しない場合、地上から制御信号を送り警報ベルを鳴らし、運転士に注意を喚起、警報を無視すると自動ブレーキが動作)設置路線での、初の自動運転方式となる。JR東日本が自動運転を試みる千代田線にはATO方式(ATCを基本に発車、定時運転制御、定位置停止制御などの機能を追加、新交通システムや地下鉄などの導入が多い)が使われる。これ以外にも、新幹線や大都市の通勤線区、地下鉄などにはATC(レール上の信号や列車速度を常時比較、超過すれば自動ブレーキ、制限速度以下の場合はブレーキを緩める、信号機は車上)方式が用いられている。実証実験は当面運転士が乗務した状態で行われる。GoA(IEC(JIS)による自動化レベルの定義)でGoA2に当たり、ゆくゆくはGoA2.5を目指す。踏切を含むATS区間における「初の有人の自動列車運転装置(ATS-DK)」は、JR九州にとって、運転士養成(動力車操縦者運転免許取得)費用の圧縮、ヒューマンエラーや異常発生時における安全性の向上の意味もあり、同時に将来的に「有望な」技術ともなる。
逆境バネに奔走するトヨタの自負、有事の時こそ「国家」「社会」のために 他
1月5日 トヨタのCEOでもあり、日本自動車工業会の会長でもある豊田章男氏は、昨年末(12/17)に同会の会長として日本が2050年までに達成を目指す「カーボンニュートラル」について次のように述べている。「自工会として全力で貢献するが、国のエネルギー政策に手を打たないと、モノづくりを残し、雇用を増やし、税金を納める自動車業界のビジネスモデルは成り立たなくなる」。気になる言葉だ。EVの生産規模拡大を図る各社にとって、質の高いリチウムイオンバッテリーの確保(資源確保とライフサイクルの負荷低減)、バッテリーを動かす電力(電力システムとの連携)と給電インフラ(利便性の確保)の確保は「カーボンニュートラル」達成のための根幹を成す課題だ。電力中央研究所による「電中研ニュース(No.433)」によれば、仮にPHEV(プラグインハイブリッド車)が、2000年の日本の全登録車両と同数の8,000万台普及した場合、その充電に必要な電力は96km電気走行可能なPHEV(PHEV96)で年間793億kWhになると試算されている。ちなみに約8,000万台にPHEV96が普及した場合、必要となる電力量年間793億kWhをすべてLNG火力で供給した場合、CO₂削減量は約0.6億トンで、これは2000年の自動車からの総排出量(2.6億トン)の23%に相当する。かような効果を得るには、国のエネルギー政策が重要だ。国は「カーボンニュートラル」の実現に向け、電化の促進、電源の脱炭素化が鍵となる中、再生エネルギーの最大限の導入を図ろうとしている。自然条件により変動する出力への対応、再エネ適地から需要地に送電するための送電網整備、電源脱落等の緊急時の安定性の維持、自然・社会制約がある中での案件形成、国民負担の抑制など、なすべき課題は多い。
自動運転に応用、高速AIチップ開発へ 会津大が共同研究着手 他
1月4日 先進的なコンピュータ教育とコンピュータサイエンティストの育成で知られる、会津大学が人工知能搭載のAIチップの開発に着手した。クラウドAIよりも高速処理が可能な「エッジAI」は、エッジAIが必要な情報を瞬時に判断しクラウド送信するため、処理に時間差がなく、自動運転車両の危険回避に有効な技術だ。この技術は2018年9月から沖電気、綜合警備保障(ALSOK)、ジャパンマリンユナイテッドらと進めて来たプロジェクトの延長線上にあると思われる。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」の委託事業の中の「革新的AIエッジコンピューティング技術の開発」に採択されている。本研究開発は、当初、ディープラーニング技術を高い電力効率で実行すること(ソフトテンソルプロセッサ技術)、高効率かつコンパクトにモデルを圧縮、演算量を削減すること(高効率モデリング技術)、4K/8Kなどの超高精度画像に基づき、遠隔まで細かく広範囲の状況を把握するモデル(広範囲大規模認識技術)の実現の3層の技術で構成されていた。技術は、自動運転だけでなく、地域監視、インフラ管理、雑踏警備、巨大施設大規模雑踏(アリーナなどでの大規模なイベントの自動監視等)、交通管理、海上監視・操船支援などでの活用も期待される。カーナビの渋滞回避、バスが運行していない地域での活用、製造現場における不良品の選り分けなどにも応用が可能だ。
マイカーに有償で「相乗り」 移動弱者のための足確保、社会実験開始へ 他
12月28日 MaaS時代に突入した当初、交通事業者は暗中模索していた。経営の「核」である運転技術者(Driver)の高齢化・なり手の減少により、従来の経営規模の維持が難しくなった事業者は(語弊はありますが)皮肉にも自動運転への転換を推し進めることとなり「人件費」さえも、削減せざるを得ないと考えられていた。双方の心情は察するに余り有る。2021年1月から、富山県朝日町で住民のマイカーなどに有償で相乗りする社会実験「ノッカルあさひまち」が始まる。本実験では、地元タクシー会社が予約や運行管理を担当する。また伊豆の下田では、12/17~12/25まで、東急、名古屋大学、ソリトンシステムズが、一カ所の遠隔コントロールセンターから、伊豆高原駅付近と下田市で運行する車両を同時に沿革で監視する実証実験が行われた。今後、自動運転サービスの普及にあたりバス会社やタクシー会社には、遠隔監視や遠隔操作の代行サービスが、運転免許センターや教習所には、遠隔の運行管理者用の教育メニューが必要だ。「核」を担う方々に新たな仕組みを学習してもらう必要はあろう。遠隔監視には、設備投資も必要だ。しかし、ここに来て、交通事業者には再び「核」を経営の資源化し、経営そのものも成長できる機運も高まっている。
東京五輪でも活躍? 自動運転車が体調変化も把握 他
12月25日 トヨタ自動車の「e-Palette」が実用化に向け進化している。同車は東京オリンピック・パラリンピックの選手村で選手や大会関係者の移動にも活躍する予定だ。コロナ禍により非接触やモノやサービスの移動ニーズが生まれていることを踏まえつつ、トヨタはジャスト・イン・タイムなモビリティサービスを目指す。e-Paletteは、モビリティサービス・プラットフォームの新たな機能として、車とつながる「AMMS(Autonomous Mobility Management System)」や人とつながる「e-Palette Task Assignment Platform(e-TAP)」により、必要な時に、必要な場所へ、必要な台数だけ配車が可能だ。また運行管理を行うスタッフ(搭乗員、保守員)等に作業指示や遅れや進みなどのタスク管理を実現。メンテナンスのリードタイム短縮を図る。運行管理システムにより進化した同車は「Woven City」でも実験を続ける予定だ。2020年代前半には、複数のエリア・地域で商用化を目指す。
トヨタ 自動運転の技術を生かした新たな交通システムを開発 他
12月24日 スマートシティーを打ち出す自動車業界と不動産業界。三井不動産が取り組む千葉県柏市の「柏の葉スマートシティー」(公民学連携組織「UDCK」が街づくりを担う)、トヨタが取り組む静岡県裾野市の「Woven City」は、日本におけるスマートシティーの代表的な案件と言える。裾野市は令和2年3月に「次世代型近未来都市構想の策定にあたって」を発表している。同市の既定の都市計画に抜本的な変更の必要が生じたことは想像に難くない。自治体としては、この黒船を「いかに地域に溶け込ませるか」が腕の見せ所となる。人口減少や少子高齢化の進行する同市では、拠点のコンパクト化と圏域内ネットワークの充実に着目している。自治体を取り巻く社会情勢の変化も、自然災害や観光ニーズの変化、SDGs、Society5.0の到来など、枚挙に暇がない。「今までにない」世界を迎え入れた裾野は市民や企業とデジタル技術やデータの利活用により地域課題の解決に挑む。この取り組みの方向として「Woven City」連携、産業や雇用の確保、交通・モビリティ改善(MaaS)、環境・防災、教育・人材育成、健康・医療、農林業、観光・スポーツ、スマート自治体(DX)が上がる。「今までにない」世界に挑むには、より広い世界の知見を集める必要が生じる。資料後半に「都市OS」の存在も見逃せない。同市は推進パートナーとして、国の国家戦略特区や県、東京大学のデジタル裾野研究会とコンソーシアムを立ち上げる。「旅は道連れ、世は情け」だ。⛄ Bonus-Info:12/17_日亜化学がコロナを「99.99%」不活化する殺菌用LEDを量産へ