12月23日 かつて1500mのコンクリート舗装の滑走路と1500名分の兵舎を擁した陸軍柏飛行場は、終戦後1950年6月に朝鮮戦争が勃発した際、米軍に接収された。当時米軍将校が視察のためL-6連絡機で現地を訪れたが、これが柏飛行場で最後の固定翼機の離着陸となったという。1956年には米軍柏通信所として運用が始まり、1979年に柏市や地権者などに全面返還される。かの地は現在「Society5.0」の実現に向け、国交省が選定するスマートシティーモデル事業に選定され、データ駆動型のスマート・コンパクトシティーを目指す。官学民が連携、分散立地する拠点施設の活用と環境・健康交流を育み、自立した都市運営を行うことを課題としている。「柏の葉スマートシティコンソーシアム」は、モビリティやエネルギー、パブリックスペース、ウェルネスの視点から、民間データと公共データを連携、データを横断的に活用できる仕組みを構築、新たなアプリケーションやサービスの創出を通し、社会的な課題解決に取り組む。フィンランドのMaaS Global社は「柏の葉スマートシティ」において、三井不動産と共に12/18~モビリティーサービスと不動産を融合する実証実験を行うと発表した。実験では同地と東京エリアの三井不動産マンションの住民を対象とし、MaaSアプリを提供、人々がどのように異なる交通モードを利用するかについて検証する。
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JR東、高輪ゲートウェイ駅周辺をスマートシティー化へ…KDDIと連携 他
12月22日 菅総理が10/26に招集された臨時国会で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と所信表明演説をしたのは、記憶に新しいところだ。JR東日本も2024年度にまちびらきを予定する品川開発プロジェクトにおいて「株式会社えきまちエナジークリエイト」を設立し、先進的な環境・エネルギー技術を取り入れたまちづくりに取り組んでいる。国交省ホームページにある「2018年度における輸送量あたりのCO₂排出量(旅客)(2018年度)」を見ると、同社の排出量は11(g-CO₂/人キロ)だった。ちなみに自家用自動車は133、航空は96、バス54、鉄道18と比較してである。量にして199万t-CO₂となる。駅の省エネ化、再生利用エネルギーの活用など様々な環境保全技術を駅に導入する「エコステ」も進む。モデル駅の「高輪ゲートウェイ駅」やお隣の品川駅を中心とする「品川開発プロジェクト」では熱供給事業やエネルギーマネジメントのノウハウを有する東京ガスと共に「太陽光・風力発電、太陽熱・バイオガスシステム・地域冷暖房・地中熱、コジェネレーションシステム」などのエネルギー技術を導入する。また同駅では2024年度を目途に駅周辺で高速大容量通信5Gに対応し、自動運転バスの運行や遠隔診療拠点の整備なども行う。全社で進むまちづくりやターミナル駅開発、ホテル拡充などビジネス的視点とも合わせ、ここで培われるスマートシティー化の技術をコンパクト化し、自社の管轄地域(地方)やJRグループ全体にシェア出来ないか。
NVIDIAのAIを搭載した完全自動運転の都市型ロボタクシー「ZOOX」 他
12月21日 米・NVIDIA(半導体メーカー)が17日、パートナーであるAmazon傘下にある自動運転車会社の「Zoox」はレベル5の「robotaxi」を発表した。同社はWebサイト上で「ドライバーのためではなく、乗車する人々のために」と謳い、新しいビークルのシートの肌触りやシートに装備されたドリンクホルダやワイヤレス充電器について、また手元のコントローラで到着時間の確認、場所、ルートの確認や音楽とエアコンなどの設定が出来る快適さやサンルーフや足元まで窓が広がる採光性に優れたキャビンをアピールしている。「Youtube」の動画へのコメントには、本開発への賞賛やすぐ導入したいとの意見と共に多彩な注文も。前後対象のデザインや後ろ向き側の座席には賛否両論、非接触型スイッチ、UVクリーニングシステム(基盤など電子部品の表面に付着した有機物を取り除くシステム)、シートの快適性、IIHS衝撃試験に対応するか?LiDAR、音声認識(視覚障碍者用/高齢者向け)、窓、モニター設置、降りないお客さんはどうするの?寒冷地仕様、ドライブシステム、電源、再充電、障害者対応、4つのセンサー統合、水素モデル、エアバック等々。ビークルの進化・発展は続きそうだ。
沖縄全域におけるMaaS実証事業である沖縄MaaSのサービス開始について 他
12月18日 沖縄県豊見城(とみぐすく)市に本社を置く有限会社カリー観光(一般貸切旅客自動車運送業 他)の観光バスの車体には、沖縄の石垣、竹富島を含む八重山諸島発祥の織物「ミンサー織り」がデザインされている。約400年の歴史を持つ伝統工芸品で通い婚の女性が男性に想いを込めて贈った織物だという。模様の内、五つのマス目は「いつの」を表し、四つのマス目は「世」を表す。縁取りの模様はムカデの足を表し「いつの世までも、足しげく私の元に通ってください」という意味があるという。12/16に沖縄琉球銀行は、23日に開始される「沖縄MaaS」を発表した。今回の実証実験では、ゆいレール(沖縄都市モノレール)、バス各社と観光・商業施設等とのサービス連携を実現、第一フェーズとして事業者が販売するチケットを電子化する。電子化されるチケットはモノレール乗車券、バス乗車券(東京バス、カリー観光、やんばる急行バス)、商業施設入場券(首里城公園、沖縄美ら海水族館)で購入は専用サイトで会員登録後、チケットを選択してクレジット決済を行う。利用方法は、購入時に付与されるQRコードをスマホ画面に表示、リーダーに読み取らせて入出場する。モノレールとバス、モノレールと施設入場券のセット販売も行う。来年2月から行われる予定の第二フェーズでは船舶との連携も実施される予定だ。那覇市における住民の自家用車や旅行客のレンタカー渋滞を緩和しつつ、周遊の利便性を上げる。(*読み方「おきなわちゅらうみすいぞくかん」)
不動産×MaaSで街の魅力を向上。三井不動産が日本橋・豊洲で展開 他
12月17日 街が変わる。三井不動産は、12/15(火)からパークアクシス豊洲キャナル、同東日本橋ステーションゲート、同日本橋浜町レジデンス、同日本橋茅場町、同日本橋堀留町で、MaaSを駆使したマンション住民向けサービスの大規模実験に乗り出す。同社は現在、千葉県柏市のパークシティー柏の葉キャンパス ザ・ゲートタワーウエストで、フィンランドの「MaaS Global」と組み、不動産×MaaS実験に取り組んでいる。今回の実験では、バス・タクシー・カーシェア・シェアサイクルをサブスクリプションで利用可能とする。実験の内容で興味深いのは、今回は移動型店舗を組み入れることだ。同社は商業店舗向けに移動販売車両のリースも想定している。マンションの付加価値向上を図りながら、地元商圏への配慮も伺える。店舗は曜日や時間帯により住民のニーズを想定しながら入れ替える。固定店舗を持つ飲食を始めとするさまざまな事業者に新たな販売チャネルが提供される。失われつつある駅前商店街の中で機能していた「便利」が新たな形態で生まれ変わり、顧客の身近に展開する。首都圏や郊外、地方都市においても、不動産事業者+他業種が連携の域に達する取り組みとなれば、失われそうな街の絆が生まれ変わり深まる時代が来るだろう。
自動車業界、環境規制とCASE対応急ぐ 動画で解説 他
12月16日 『史記』より。蘇秦(そしん)は強国である秦に対し、南北に連なる楚、韓、趙、斉、燕の6か国は連盟を結び、これに対抗せよと。すなわち「合従」である。張儀(ちょうぎ)はこの6か国が秦と個々に同盟を結べばどうか?と。これが「連衡」だ。コロナ下で自動車市場の今年の状況はどうだったか。工場停止やディーラーの販売停止から始まり、5月以降は各国でローン金利引き下げや、返済猶予などの優遇措置により回復の兆しを見せたのも束の間、10月からの欧州のロックダウンの影響を受け、新車の販売はまだ先が見通せない。また、2015年の地球温暖化対策「パリ協定」を受け、今年から環境規制が始まり、各国でガソリン車やディーゼル車の規制が活発になり、結果EVシフトが進み始めた。CASE対応では、各社新技術の開発や実証実験、新技術の導入に拍車がかかったが、同時に研究開発費が一社では負担しきれないとの事情から、世界の大手自動車メーカーで「合従連衡(がっしょうれんこう)」が進むこととなった。来年も状況を的確に察知しながら、巧みな舵取りが必要となる。
小型自動運転車を島内の移動や物流に活用 実証実験を実施へ 他
12月15日 12/17(木)~12/20(日)まで、広島県豊田郡大崎上島町の白水港と垂水港間で、大崎上島町スマートアイランド推進協議会、大崎上島町、富士通株式会社は、マクニカの「micniCAR-01」(タジマEVの小型自動運転車両「タジマ・ジャイアン」使用)を使った「オンデマンド交通技術と小型自動運転車両を活用した島内の新たな交通・物流手段の確立を目指す実証実験」が行われる。しまなみ海道の一角をなす大崎上島は広島側の安芸津港竹原港、愛媛県今治市の宗像港や大崎下島と海路で結ばれるため、海上交通は充実しているが、島内の足は「おと姫バス(町内バス)」や「さんようバス(民間・路線)」や数社あるタクシー会社が頼りだ。島では近年公共交通に携わるドライバーの高齢化や、人材不足、利用者の減少が深刻化しており、高齢化によりマイカーでの移動が困難になる住民が安心・安全・便利に利用できる移動手段の確立が求められている。実験では、低コストの自動運転モビリティとオンデマンドの予約システムの活用による島内の新たな交通手段、海上フェリーへのアクセス性なども検証される。更に同じシステムを用いた宅配の実証も並走させ、モビリティの物流手段としての可能性も実証される。交通弱者への救済として、特に通勤や買い物、通院などの移動手段の確保が急務だ。
遠隔型自動運転システムによる無人自動運転移動サービスの試験運行を開始します 他
12月14日 福井県の永平寺では11月~雲水による雪囲いの取り付けが始まった。雪囲いは「作務」と呼ばれる修行の一つ。雲水は修行僧の呼び名である。雪囲いが終われば、年中行事は残すところ、摂心会(せっしんえ)と、成道会、除夜の鐘などとなる。大晦日の午後9時から元旦の午後3時まで大本山永平寺の唐門が特別開扉され新年の参拝が出来る。「弁当忘れても傘忘れるな」という天気の格言が存在する通り、冬季は曇天や雨天が多い土地柄だ。お膝下の「参ろーど」(6km)のうち、永平寺寄りの荒谷~志比間の2kmで、12/22(火)~経産省・国交省が産総研に委託した実証実験の成果を実現するため「遠隔型自動運転システムによる無人自動運転移動サービス」の試験運行が始まる。保安要員は車両の後部座席に乗車、国道364号が永平寺川を渡る荒谷付近にある庫裡庵内にある遠隔監視・操作拠点を置き、1名の遠隔監視・操作員が3台の車両を運行する。年内の運行は12/25(金)まで。1~2月は冬期運休し、3月からは運行が再開され、東古市~荒谷間(4km)の運行も開始する予定だ。これまで産総研が積み重ねてきた、積雪路面での自動走行や通信状態、遠隔監視、管制システムなどの技術の成果が試される。交差点での発進や、すれ違い管制、遠隔ドライバーに緊急車両のサイレンを認識させる機能などの仕上がり具合にも注目したいところだ。
移動支援サービス 有効性と課題、見極めを 他
12月11日 秋田県でMaaSと言えば、上小阿仁村の実証実験が有名だが、仙北市においても国家戦略特区関連事業として、①2016年4月ドローンと秘匿通信による図書輸送の実証実験(国立研究開発法人「情報通信研究機構」) ②2016年11月 無人運転バス公道実証実験(内閣府、㈱DNA、仙北市他) ③2017年9月 AZAPA㈱と㈱リコーによる自動運転の共同実証実験(前述の2社) ④2017年6月 外国意志の臨床修練制度の事前実証などが行われている。同市の仙北市国家戦略特別区域会議は今年12月に第10回を迎えた。本会議では、内閣総理大臣宛に「近未来技術の実証実験を促進するための「近未来技術実証ワンストップセンター」の設置」の区域計画の変更の認定申請書が提出されている。秋田県はトヨタ自動車東日本㈱の設立を背景として、自動車産業の受注強化を図りたい状況だが、県内の現状は輸送用機械製造企業の6割が50人未満の企業だ。1社における生産には限界があり、自動車部品出荷額(「あきた自動車産業振興プラン」H25年自動車部品等出荷額等)は、東北6県中の5位に止まる。MaaSを自動車版のデジタルイノベーションと捉えるならば、課題の一つとなる「自動車に特化した産学官連携」の土台となる関係性を構築する、またとないチャンスが巡って来ているとも言える。
令和2年度のひたち圏域MaaSプロジェクトが始まります 他
12月10日 茨城県北部と言えば、夏は海水浴、冬は「あんこう鍋」だ。茨城では大洗漁港~平潟漁港にかけてがあんこうの産地とされる。ひたちなか市の那珂湊漁港や、日立市の久慈浜漁港、北茨城市の平潟などでは底曳網漁が盛んであり、市内にはあんこう鍋を提供する名店が軒を連ねる。かの地で今年も経産省が主導する「スマートモビリティチャレンジ」、国交省の「令和二年度日本版MaaS推進・支援事業」が11月から開始されている。本年度は地域のMaaS基盤構築と、モビリティサービスの進化をテーマに実証実験地域が拡大されている。日立市で10月~行われた「ひたちBRT」の実証は常陸多賀駅~道の駅日立おさかなセンター間の一般道を含む9kmで行われていたが、今回のプロジェクトはより広域となる高萩市、日立市、東海村、ひたちなか市で順次行われる。ナビタイムジャパンが提供するMaaSアプリ「Hitachi MaaS」で経路や地図検索や、サービス(乗車券、周遊券、企画乗車券)の購入が出来る。電子チケットやクーポン等の発券も行われる予定だ。大沼エリアAIデマンド(BRT接続)やグリーンスローモビリティと現地の交通モードがどのように連携運用されるのかも興味深い。周遊、企画乗車券あたりに感染防止対策と共に「あんこう鍋」や偕楽園の「水戸の梅まつり」コースが組み込まれないものか。