10月12日 大日本印刷は、11月1日~12月25日まで静岡県静岡市で実施される「静岡型MaaS基幹事業実証プロジェクト(しずおかMaaS)」にてAIオンデマンド交通サービス(のりあい号)の呼出機能の実証実験に参加、交通結節点整備の一環としてタッチパネル式屋外サイネージを提供する。本実験ではJR草薙駅とJA清水厚生病院の2ヶ所に屋外サイネージを設置し、スマホやタブレットの操作に慣れない利用者も、実証実験参加手続きの際に発行される登録証明カードの「ID+パスワード」を画面に入力すれば、簡単にオンデマンド交通を予約、自宅までの配車予約が出来るようになる。同時にサイネージ上でのりあい号の走行位置も確認することが出来る。しずおかMaaSは静岡鉄道が代表幹事を務める官民連携のコンソーシアムだ。国交省の中部運輸局静岡運輸支局なども参画する。同局も、平成30年3月30日に取扱いが改正されたばかりの道路運送法第21条に基づき、令和元年10月に「静岡型MaaSにおけるAI乗合タクシーの実証実験」の申請を許可するなどコンソーシアムを支援している。実験は通常のタクシー運賃に比べ25%割引の上、市内のタクシー事業者9社が参加し「新規需要の創出や採算性の向上と低廉化の両立」などを分析する興味深い内容であったので、分析結果を追跡していきたい。
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横浜国大と相鉄バスが連携協定 自動運転やMaaSで 他
10月9日 大手バス事業者がひしめく神奈川県、近年MaaS関連の取り組みで名を馳せる相鉄バスが、この10月に横浜国立大学と未来のバスのあり方やバス事業の解決に向け連携協定を締結した。横浜国大は、2018年7月に「持続可能なモビリティシステム研究拠点」を設立し、2018年10月には公益財団法人「交通エコロジー・モビリティ財団」の企画募集に京急電鉄が採択されたのを受け、横浜市と共に金沢区富岡西エリアで「電動小型低速車」の実証実験を開始している。副学長の中村文彦氏はMaaS推進団体「一般社団法人JCoMaaS(ジェイコマース)」(2018年12月設立)の代表理事でもある。相鉄バスは、本年8月に群馬大学や日本モビリティ㈱と連携、日本初「大型バスによる遠隔監視・操作で自動運転」実証実験を実施、9月に営業運行を行っており、10月に横浜国立大学と前述の協定を締結後、自動運転の活用や車内混雑情報の提供の実証実験などを矢継ぎ早に発表するなど取り組みを活発化させている。相鉄バスに「学」の連携パートナーが集う。2019年11月30日にJR経由で都心直通を果たした同グループ会社の相模鉄道は、2022年度には東急線経由においても都心乗り入れを実現させる。「学」との連携は、沿線地域(横浜駅きた西口鶴屋地区、いずみ野沿線リノベーション計画、泉ゆめが丘地区土地区画整理など)のスマートシティー化への布石となるか?
糸島をMaaSで移動しやすく、トヨタ販社など 他
10月8日 福岡県糸島市でMaaSによる地域活性化を目指し「よかまちみらいプロジェクト」がスタートした。福岡市、経済界と共に九州大学を核とした知の拠点づくりの一翼を担う。糸島では就業者の5割は市外への通勤者、市内各駅へのアクセス利便性の向上や、福岡市内からの高速バスの利便性を高めて行くことが求められる。高齢者の日常の買い物や通院の市域内の移動には、路線バスの他にコミュニティバスがあるが、ダイヤ見直しや待合環境の改善、運賃割引制度の充実、ルートの見直しなどの課題がある。また路線重複や、複数ルートを使いこなす情報の充実が求められ、市域の北部、東部の公共交通空白地帯の足の充足も必要だ。平成17年に移転の始まった九州大学の伊都キャンパスへのアクセスも、キャンパスの拡充に伴い増便や車両の大型化、JR各駅や関係者の居住地域などに配慮したルートの見直し、バス停の増設なども求められている。観光面でも著名な白糸の滝や芥屋海水浴場などへの観光スポットへのアクセスに公共交通活用の促進を図りたい。様々な事情を抱える同市の人口は凡そ97,000人だがJRと高速バスを除く、路線バス、コミュニティバス渡船では赤字運行が続き、サービスの縮小が避けられない状況だ(平成29年3月「糸島市地域交通網形成計画」より)。同資料では、従来の糸島市の地域公共交通まちづくりの推進体制は、市民等、行政、交通事業者の連携が想定されていたが、今回ここに地元の昭和グループを中心にトヨタ車両販売・レンタリース事業、バス・タクシー事業等の交通運輸事業が加わる。my rootやライドシェア(相乗り)バスやカーシェアなどMaaSの「知」の力が試される。糸島版ウーブンシティに期待したい。
36人乗りバスを無人で…自動運転で走るバスの実証実験 空港島内のホテルや国際展示場などを周回 他
10月7日 10/3(土)~10/18(日)まで、愛知県常滑市の中部国際空港において、愛知県が実施する自動運転バスの実証実験が始まった。内閣府の「未来技術社会実装事業」を活用し、自動運転の実用化に向け取り組みを加速させる。実証実験は空港島全域を対象とし、10/3(土)には大村知事も視察に訪れた。実験はNTTドコモ(商用5G/路側カメラから遠隔監視用モニターに映像送信)、名鉄、名鉄バス(運行/遠隔監視・制御)、愛知製鋼(磁気マーカー)の共同体に、群馬大学(車両提供)、日本モビリティ、中部国際空港、愛知国際会議展示場、フォーポイントバイシェラトン名古屋中部国際空港、あいおいニッセイ同和損害保険、そして常滑市が協力する。知事は「空港内には定期運行ニーズがある、2025年の実用化に向けて取り組んで行く」とコメントしている。あいおいニッセイ同和損保は、実証実験に使用される自動運転バス車内でmpathy.ai(バーチャルライドアテンダント/VRA技術を提供している)の「忘れ物検知とアラートによる注意喚起のデモ」を実施、愛知製鋼は遮蔽物の多くGNSS、LiDARなどの電波や画像処理を用いた位置推定が困難な個所を持つ空港内で、バスの車両位置を正確に特定できるMIセンサを用いた「磁気マーカシステム」の実験を行う。車両底部に取り付けたMIセンサモジュールにより、走路に沿って敷設した磁気マーカの微弱な磁力から自車位置を高精度に推定できる。岐阜県関市の実験にも参画している群馬大学や日本モビリティが情報の媒介役を担っていただけることを期待したい。
新幹線ネット予約がMaaSアプリと連携 トヨタ・my routeなど相互リンクへ 他
10月5日 東海道・山陽新幹線のネット予約サービス「EXサービス」に各種沿線のMaaSが連携することになった。(JR東海とJR西日本:9月28日発表)今回対象となるMaaSは「my route(トヨタ、西鉄、JR九州他)」「Izuko(東急・JR東日本他)」「setowa(JR西日本)」の3つだ。試行開始日は9月28日だが、「my route」からEXサービスへの連携、EXサービスとIzukoの相互リンクは11月頃と実施予定なる。繋がる地域は、横浜、福岡・北九州、伊豆、静岡、瀬戸内地区となる。MaaSアプリにはこの他「Ringo Pass(JR東日本)」「EMot(小田急他)」「東京メトロmy! アプリ」「WILLERS」などがある。JR北海道は、目下、JR釧路本線維持活性化協議会や道内の交通事業者、観光関係者、北海道運輸局鉄道部、北海道総合政策部交通政策局などとMaaS事業を推進している。今年2月に「WILLER」は「ひがし北海道における実証とMaaSの可能性」という資料を作成している。一方、道庁の交通政策局交通企画課のHPを閲覧すると、今年2月には「EMot」を利用した観光MaaSの実証実験が行われている。高知県庁のHP上でMaaSを検索すると、JR四国のHP中の「四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会Ⅱ」資料のリンクが現れる。2019年10月に第5回の懇談会が開催された。資料「中間整理」においては、これまでの経緯として鉄道ネットワークの維持や高速化に着手しているが、厳しい状況が見て取れる。資料中の四国が目指すべき公共交通ネットワークの将来像には、MaaS等による公共交通ネットワークの充実、適切な輸送モードの在り方の検討が描かれ、同時に「四国新幹線の整備」が謳われている。
自動運転で小瀬鵜飼へ 公道で実証実験、体験ルポ 他
10月2日 小瀬鵜飼で全国にその名を知られる岐阜県関市。鵜飼の歴史は古く正倉院に残る奈良時代の戸籍に鵜飼の名が記されている。9月末から10月にかけて、関市と群馬大学・次世代モビリティ社会実装研究センター、群馬大学が立ち上げた「日本モビリティ」が自動運転の実証実験を行っている。実験車両は、信号待ちや右左折、東海北陸自動車道の高架下を潜る全長3.4kmを、障害物を検知するレーザーセンサーや全方位カメラ、位置測定などができる受信機などを車載し、市役所本庁舎に設置したGPSと連携させ、位置情報のずれを削減しながら走行する。狭い小道や交差点などでは、ドライバーが介入、安全確認ボタンを押した上で発車を試みる。国交省の第6回 国土交通省自動運転戦略本部(令和元年11月22日)会合で配布された「自動運転実証実験の成果・課題について」では、これまでの実証実験の成果として「山間部やトンネル内、建物の下ではGPSの受信精度が低下、自動運転が困難となる事例が確認されているが、磁器マーカーなどによる自動運転では円滑な走行を確認」との記載がある。GPSの精度低下時の自車位置情報の把握については、GPS測位精度低下対策のため磁器マーカー等の整備や正確な位置情報を提供する位置標識及びその位置情報を定期的に取得できるシステムの構築が課題として挙がっている。
MONET、MaaS開発者向けAPI提供サービスを正式オープン 他
10月1日 モネ・テクノロジーズがMaaS開発者向けに各種のAPIを提供する「MONETマーケットプレイス」をオープンさせた。「MONETマーケットプレイス」は企業や自治体のMaaS支援のため、データ基盤やAPIを備えた「MONETプラットフォーム」の機能を拡充したもの。今回提供されるAPIは決済、チケット、天気予報API、るるぶDATA API、いつもNAVI API、ラストワンマイル配送機能最適化サービス「Loogia」、また今後提供が決まっているとされているのは、オンデマンドのバス配車システム、iTrust本人確認サービスAPIだ。余談だが、MaaSアプリやWebサービスには利用者の移動の動機を喚起する仕掛けが必要とされる。各事業者がサービス実装段階で必ず直面するとも言える収益の源泉は、まさにここ「MONETマーケットプレイス」から自社サービスに「どの機能を取込み、いかなる動機を仕込んでおくのか」で大きく左右される筈だ。本API提供サービスは、その意味でAPIを提供する側も、その利便性を享受する企業や自治体も、ぜひMONETコンソーシアムに加盟した上で使い倒したいサービスだ。そして何よりMaaSサービス提供者が地元と一体となり、需要創出のためご当地でしか生まれないコンテンツ創りに知恵を絞り、この難局を乗り越えていただきたい。
茨城県日立市にて、2度目の自動運転バス走行実験! 2022年以降の実装を目指す 他
9月30日 この10月に日立市で再び「ひたちBRT」の実証実験が始まる。BRTはBus Rapid Transitの略。経産省と国交省の事業を産総研が受託した「中型自動運転バスによる実証実験」を茨城交通、みちのりHD、日立市、茨城県、住友電工、パイオニアスマートセンシングイノベーションズ(3D-LiDAR)、小糸製作所、コイト電工、KDDI、KDDI総合研究所が参画し実証する。今回は路側センサーと遠隔監視装置の検証を行う。路線は常磐線の常陸多賀駅から道の駅日立おさかなセンター間の、一般道を含む9kmが対象となる。区間中、見通しが悪い場所に路側センサー(光学センサーや電波センサー)を敷設、車両と連携させて走行中の安全を確保する。遠隔監視のための通信環境はKDDIなどが提供する。これにより車外に設置される路側センサーの稼働状態のモニタリングを行う。2018年12月~翌年3月まで行われた大船戸BRTの技術実証では、車線維持制御、速度制御、正着制御、無線を用いた信号制御による交互通行、位置情報の測定、無線機の電波到達距離の検証などが行われ、愛知製鋼(磁気マーカーシステム)、京セラ(路車間通信)、ソフトバンク(マルチGNSS端末)、日本信号(信号装置敷設)、日本電気(目標走行軌跡作成)などが参加、また2019年11月~翌年2月に行われた気仙沼BRTの同実証では、車線維持制御、速度制御、遠隔監視による動向(車内、乗客)検知、無線を用いた信号制御による交互通行、QZSS(みちびき)などを利用したバスの測位実験、専用道に設置した機器による障害物検知などが行われ、上記以外にソフトバンク(車内遠隔監視システム)、京セラコミュニケーションシステム(マルチポップ伝送システム)などが参加している。V2Xのプレイヤーが出揃い、市場も静かに熱を帯びている様子が伝わってくる。
ANAと豊田自動織機、自動運転トーイングトラクターで手荷物搬送 佐賀空港で実施 他
9月29日 持続的成長を実現する企業活の基盤には、安全と人材への取り組みが不可欠とされ、人材とデジタルの融合によるANAグループ版「Society5.0(超スマート社会)」の取り組みが進んでいる。お客様向けには、デジタルプラットフォーム「Customer experience基盤」を構築、シームレスでストレスフリーなサービス、お客様一人一人の潜在ニーズに応える「One to Oneサービス」の提供を目指す。一方で労働集約型産業における人員確保が難しくなる中、空港オペレーションにおいては「Simple&Smart」と題し、人と技術の融合・役割の見直しが図られる。現在、九州佐賀空港を「イノベーションモデル空港」と位置付け、新技術を活用した働き方改革を検証・推進している。貨物搬送自動トーイングトラクター、空港内自動運転バス、手荷物自動積み付けロボットなどは実証実験中であり、リモコン式航空機牽引車、ロボットスーツなどは既に実用されている。航空機の定時運行を支えるグランドハンドリングの現場にも確実にDXの波が及んでいる。
ベンチャーが集結。glafit、日本電動モビリティ推進協会の設立に参画 他
9月28日 日本電動モビリティ推進協議会(JEMPA)。日本における乗用小型電動モビリティを開発、販売・運用する事業者による次世代に向けた電動モビリティの在り方を提言する推進協会が立ち上がった。思えばここ数年、街中やWeb上で様々な新しいモビリティが登場した。小型電動自動車をはじめキックボードやモペット、トライク、車いす、バイクなどだ。まだ姿をイメージできない方も多いのではないだろうか。技術の伸展により安価で便利、移動の仕方や世代に合わせ種類も多様化しエコだ。普段生活の中でラストワンマイルや、観光地での移動手段、車の免許を返上したシニア層の新たな移動手段、ハンディキャップを持つ方の移動支援、通勤の三密の回避などに有用だ。利用者の拡大が見込まれるが、現状は、安全走行や公共の場所での駐車・駐輪、持ち運びや充電マナー、原付き扱いの電動モビリティについてなどルール作りや啓蒙、インフラ整備が必要な段階だ。JEMPAではそうした啓蒙活動や情報発信、電動モビリティの利活用に向けた勉強会やリサーチ、新規格の提案、まちづくりにおけるインフラ整備への提言などを行ってゆく予定だ。トヨタが仕掛けるスマートシティー「Woven City」などに参画出来ないか。