9月9日 中食市場、外食市場が低迷する中、食品宅配市場は2019年実績で前年比の3.7%増、2020年で6.5%と市場が伸長している。周知のとおりコロナ禍の外食産業の臨時休業、営業時間短縮、巣ごもり消費の拡大などに伴い、デリバリー代行も含めた食品宅配サービスが広く利用され、市場が拡大に繋がった。このような状況下ではあるが、9/23~11/6(予定)に公益社団法人自動車技術会の主催する「第2回自動運転AIチャレンジ決勝」がオンライン上で開催される。本大会の認識部門には、経産省が主催した「第2回AIエッジコンテスト」の上位チーム、制御部門には、本会主催のオンラインシミュレーション予選通過チームの参加が予定されている。その競技概要こそが「フードデリバリー」だ。各チームとも自動運転車でいくつかの課題をクリアしながら、注文品を損なうことなく迅速丁寧に届けるという課題に挑む。一方、この10月から国土交通省は、タクシー事業者に対し、これまで特例として認めて来た食料品などの宅配を、貨物自動車運送事業法に基づいて届け出を行い許可を得れば通常業務化できるようにした。食品輸送の条件は、発地・着地がタクシー事業の営業区域内、食品・飲料に関わらず原則トランク内に収納、旅客と貨物の混載は認めない、運賃は貨物運送に見合う運賃を設定すること、貨物運送中は車体前面に貨物と表示する等とされている。商用車両メーカーや関連スタートアップは、この時期宅配専用車両や装備を模索しても良いかも知れない。
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自動運転バスは「顔パス」で 料金は自動引き落とし 前橋で12月にも実証実験 他
9月8日 令和2年1月10日に前橋市で定例記者会見が行われた。その中で自動運転バスの実証実験の区間延伸が発表された。同実験では群馬大学次世代モビリティ社会実装研究センター「CRANTS」と日本中央バスが、中央前橋駅とJR前橋駅間で共同運行していた自動運転バスの運行区間を、市内のけやきウォーク前橋(大型ショッピングモール)まで延伸した。実験の大枠は、前橋版MaaS環境の検証(オンデマンド交通の一括検索・予約)、他産業との連携(施設案内・クーポン連携)、ワンマイルタクシーの実証実験と効果検証、自動運転バスとの連携だ。市内のモータリゼションと上毛電鉄のバス事業撤退(1995年)、バス事業者の運転手不足、高齢化による免許返還後の移動弱者の増加などを鑑み、市内の交通計画の有効化を試みる。本年12月からは、同実証実験に使われる自動運転バスと市内の旧町村部で運行中のオンデマンドバスを使用し「顔認証技術」を用いた料金決済などを検証していく。この9月に前橋市では「新モビリティサービス推進協議会」が立ち上がった。協議会には前橋市、JR東日本高崎支社、NTTドコモ、ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構、群馬大学、NTTデータ、未来シェア(函館市)、群馬県バス協会、前橋地区タクシー協議会、上毛電気鉄道が参画している。同市はデマンド交通導入時に民間事業者から慎重な声も上がったが、今回は「新モビリティサービス推進協議会」という堅固な協力体制を得た。まさに千人力だ。
東急と提携し、産業観光プラットフォームのマイプロダクトが、伊豆で実証実験を開始 他
9月7日 Izukoがこの秋11/16(月)~2021年3月31まで、実証実験のフェーズ3に取組む。Izukoは東急、JR東日本、ジェイアール東日本企画と地方自治体や地元公共交通事業者、旅館・飲食事業者など多方面の関係者が協力して育てて来た観光型MaaSだ。2019年の4月1日~6月30日のフェーズ1、また同年12月1日~翌年3月10日のフェーズ2では、伊豆エリアの観光拠点のシームレスな移動、周遊の促進、地域活性化や、IoT活用による交通・観光事業などの最適化、キャッシュレスや言語対応などを課題と捉え、サービスのインターフェイス(画面)をブラウザベース化したりオンデマンドバスの運行エリア拡大、決済方法など様々な改善を重ねて来た。今フェーズでは新たな移動の選択肢として駿河湾フェリー、静岡鉄道、しずてつジャストラインを加え、静岡空港から伊豆半島への導線を引いた。特筆すべきは、並走して産業観光プラットフォーム「CRAFTRIP」が東急と実証実験を始めたことではないだろうか。本提携により「Izuko」は地域の眠れる資源を「体験プラン」としてコンテンツ化することが可能になる。今回のフェーズ3が全国の観光型MaaSにおいて周遊を促進、収益に貢献するモデルを生み出すことを期待したい。
飯南町で自動運転実証実験の試乗会 他
9月2日 島根県飯南町の道の駅「赤来(あかぎ)高原」で9/1(火)~10/10(土)まで自動運転サービスの長期実証実験が行われている。実験は内閣府のSIPの枠組みの中で、高齢化が進行する中山間地域の住民の移動手段と物流確保のため、道の駅を拠点として平成29年11月より実証実験が続いている。飯南町の人口は平成30年4月の住民基本台帳によると、4,940人、平成18年10月の同台帳では、年齢別の人口比では、65歳~85歳以上の割合が約3割強を占める。町の総面積242.88平方キロメートル中、山林や原野、その他が22,184ヘクタール。現段階まで、走行環境、社会的受容性、地域への効果などについて検証を行い、今回は自動運転に対応した道路空間の整備、地域の実情に応じた運行管理システムやビジネスモデルの構築に向け、40日間の実験を行う。今回の実験において自動運転サービスは、既存交通(町営バス、一畑バス、備北交通など)と連携、移動の利便性の向上を図るとともに、地域の施設役場や、コミュニティ施設、郵便局や銀行、スーパー、商店、道の駅「赤来高原」、観光施設などとの移動ネットワークを構え、収益モデルの構築も目指す。
「自動運転×ソニー」最新取り組みまとめ 自ら車両開発も!? 他
9月1日 SONYの「VISION-S」は、2020年1月のCESで発表され、一世を風靡した。SONYは車上における新たなエンターテインメント性(360 Reality Audio、パノラミックスクリーンなど)や、AIや通信、クラウドを活用した車載ソフトウェア制御、イメージ・センシングなどのテクノロジーの表現媒体として「VISION-S」を展示した。CESを終えた「VISION-S」は同月オーストリアのグラーツ(Graz:開発拠点、マグナ・シュタイア社の生産拠点)に搬送され、2020年度中の公道走行実験を目指し、マグナ・シュタイア(Magna Steyr)社を中心としたパートナー各社と開発が進められていた。それから約7ヶ月が経過、「VISION-S Prototype」が東京へ搬送された。33個のセンサーは、Level4に向け、その使い処も含めさらなる開発が進んでいると思われる。「没入感のある立体的な音場を実現する」360 Reality Audioは、車外の知覚デバイスと繋げれば、コンテンツの受動空間としてだけではなく、フィールドレコーディングや天体観測、ネイチャーウォッチングなどを楽しんだり、市街地や踏切などでの事故防止を目的としたドライバーの知覚補助(拡大)などにも活用できそうだ。*本記事は「VISION-S」の開発やその方針とは何ら関係がないことを申し添えます。
「my! 東京MaaS」の始動に伴い、「東京メトロmy! アプリ」が登場 他
8月31日 待ちに待った東京メトロの「東京メトロmy! アプリ」が公開された。思い起こせば今年の4月に「東京メトロアプリ」にMaaS機能の追加が発表された。アプリの機能中、最も期待した同社以外の交通事業者と連携した経路検索(既報を集約すると、都営地下鉄、都電荒川線、日暮里舎人ライナー、相互運転を行う鉄道会社を始めとする首都圏鉄道各線、東京BRT[予定]、都営バス、コミュニティバス、空港連絡バス、docomo bike share、HELLO CYCLING、JapanTaxi、S.RIDE、台東区循環バスめぐりん、ANA等が検索対象とされている)。MaaSアプリの主要機能と言えば、検索、予約、決済だが、version1.0.0では、基礎となる検索機能に開発の軸を置いたとみて良いだろう。本検索機能はナビタイムジャパンのマルチモーダル(性質の異なる移動手段の組み合わせ)ルート検索機能をベースに新規開発している。当面の間は既存の「東京メトロアプリ」と双方の利用可能だが、時機を見て両アプリは統合される予定だ。なお、移動ルートにTAXIが含まれる場合は、タクシーを呼ぶボタンを押すと、予約アプリのJapanTaxiアプリか、S.RIDEを選択できる。今後は自治体が運営するコミュニティバスのカバー率が上がることを期待したい。
MONET、商談や物販に使えるMaaS車両の受注を開始–換気にも配慮 他
8月28日 「MONET Technologies」がMaaS向けの架装車両やキットを提供する「MONET MaaSコンバージョン(第一弾)」を発表した。ユーザーのニーズにより車内のシートやテーブルレイアウトを柔軟に変更できる「マルチタスク車両」、乗員のパーソナルスペースと喚起にフォーカスした「パーソナルベンチレーションキット」の2種類を開発、企業や自治体を対象に受注を開始した。*ベース車両はトヨタ・ハイエース グランドキャビン。「マルチタスク車両」については、航空機のシートと床レールの固定システムのような装備、電源や照明、机や増設モニターを搭載する(一部オプション)。「パーソナルベンチレーションキット」はコロナ感染防止対策としてパーソナルスペースの確保と強制換気を行う装置などを装備できる。ウィズコロナの環境への対応、オンデマンドバスや、通院・通勤用のシャトルバス、旅館の送迎車などへの架装を想定している。トヨタはこの他「JPN TAXI」などシャトルバス以外の車種も複数販売している。今回の発表された装備や用途は限定的だが、感染対策とシェアリングなどの課題に積極的に対応したシステムの商品化を歓迎するのと同時に、第二弾以降のアイデアに注目していきたい。航空機・鉄道・バス・船舶などのモビリティーメーカーや装備品メーカーに於いてもアフタ―コロナに対応した商品開発を期待したい。
「乗換案内」アプリでフリーきっぷを購入 本格的なMaaSが四国に登場 伊予鉄×ジョルダン 他
8月27日 8月25日より伊予鉄グループがフリー乗車券2種とリムジンバス乗車券をモバイルチケット化し、販売を始めた(「伊予鉄MaaS」)。経路検索の利便性が上がるとともに、電車・バスのフリー乗車券、リムジンバス乗車券のキャッシュレス購入が可能になる。傘下のタクシー会社、旅行会社、百貨店、ホテル等との本格的な連携を期待したい。一方、沖縄に於いては沖縄MaaS事業連携体(沖縄都市モノレール、ゼンリン、TIS、琉球銀行、および県内の複数自治体で構成)が沖縄全域における観光型MaaSの実証実験を開始する(2021年1月~2月)。コロナ禍による、公共交通への経済的な影響の大きさは言うまでもない。各地での交通課題改善の取り組みと同時に、MaaS導入を起爆剤とした利用回復にも期待がかかる。同時にJR西日本が推進する「Setowa」との関係性も気になるところだ。Setowaは広島県東部を中心とするエリア(呉市(大崎下島)、竹原市、三原市、尾道市、福山市、大崎上島町および愛媛県今治市(大三島))、伊予鉄MaaSはその対岸(四国側)を領域とする。伊予鉄MaaSとSetowaの連携が実現すれば、観光客にとって魅力的でもあり、初めての利用に戸惑いがちな船の旅を気軽に楽しめ、瀬戸内観光圏をより効率的に、また好みの移動手段で行き来できる環境を提供できるようになる。今後、同様に全国で「MaaSの重複・隣接」が起こることが予想される。MaaS運営事業者の腕の見せ所だ。
百度、市街地で自動運転タクシー実験 河北省 他
8月26日 中国の河北省滄州市(そうしゅうし)において、百度(baidu.com/中国のGoogleとも言われる)の自動運転タクシーの試験サービスが始まっている。そもそもバイドゥは昨年10月に「2019中国国際デジタル経済博覧会」で滄州市よりインテリジェント・コネクテッド・ビークルの路上テスト用にナンバープレート30枚の発行(有人テスト用ライセンスの取得した)を受けた経緯がある。滄州市の戦略的な目標は、自動運転技術の開発、テスト、検証、および適用を通じて人工知能産業エコロジーを創出し、人工知能の研究開発と製造業、ハイエンド産業クラスターの形成、滄州の将来の自動車産業の活性化と構築などにあるようだ。自動運転の試験サービスを行うのは、湖南省長沙市に続き2都市目となる。百度(バイドゥ)は交通量の多い市街地での走行データを収集し、今後の全国展開に繋げたい。バイドゥは自動運転開発プロジェクト「アポロ計画」推進しており、これに参画するトヨタ自動車やフォルクスワーゲン、インテルやエヌビディア、ダイムラー、Boschなどの各社にとっても興味深い試験サービスとなりそうだ。
日産の戦略と戦術、日本発の技術を世界市場へ展開…電動化 他
8月24日 ゴーン・ショックから立ち直るか?日産は8月20日に「ALL NISSAN MEETING」を開催、日産の執行役副社長 星野朝子氏が進行役を務め「電動化、自動運転化の領域に全精力を傾ける」方針を確認した。同イベント後半には星野氏から、日産がなぜEVシフトを改めて打ち出したのかについて、説明が織り込まれている。「今後10年、世界は再生可能エネルギーの社会に突入、エネルギーマネジメントが大きなテーマになる。エネルギーをどのように効率的に社会で使ってゆくのか?について、その知恵や情報を社会で最も蓄積しているのが、電気自動車の先駆者である日産だ」との説明があった。日産はEVの普及を通じて社会変革、地域課題の解決を試みる日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」という活動で、防災、温暖化対策、過疎、観光、エネルギーマネジメント活動にも取り組んでいる。今回のイベントでは自治体や企業と連携協定が間もなく100件に至る旨が発表された。日産は同活動を通じて、ESG投資(従来の財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンス要素も考慮した投資)への対応も進めている。ビヨンドモビリティ~移動のその先へ、日産インテリジェントモビリティ(移動の為だけの先進技術でなく、社会でなくてはならない存在になる)を掲げた日産、今後の活躍に期待したい。