8月21日 トヨタの「My route」(マイルート)の横浜版「@YOKOHAMA」(アットヨコハマ)がリリースされた。神奈川県内のトヨタ系の販売店と、横浜市交通局、港湾局、京浜急行電鉄、ドコモ・バイクシェア、日産自動車などが協業している。加えて日産レンタカー、日産カーレンタルソリューションも参画する。マイカーと公共交通、或いは異なる自動車メーカーの販売店が協業するオール神奈川とも言える体制だ。MaaS市場において事業を軌道に乗せるためには、旧来のビジネスフィールドの概念を刷新し取り組む必要がある。その好例だ。既にサービスが本格的に実施されている福岡市・北九州の「My route」においても、公共交通を担う西鉄とトヨタ自動車が協業、JR九州も参画している。協業の理由は、都市圏や観光地だから商業性が高いという理由だけでなく、メーカーや公共交通関係者、自治体の人手不足による減便や、利用者減少などの危機感の表れとも捉えられる。地方自治体においても幅広い分野での協業体制づくりが加速することを願いたい。
MaaS・CASE関連の最新ニュース(43 / 65ページ目)
羽田空港に開業した大型複合施設「羽田イノベーションシティ」が自動運転開発の一大拠点に 他
8月20日 ものづくりのまち、大田区は東京23区において工場数、従業者数は第一位、製造品出荷額は第二位を誇る。平成26年の工業統計調査結果では、工場数は平成25年に対し6%減少、従業者数は4.5%減少、製造品出荷額等は3.6%減少している。他方、川崎市は平成30年の工業統計調査結果で、事業所数は平成29年に対し、4.1%減少、従業者数は1.1%減少、製造品出荷額等は13.9%増であった。第二次安倍内閣が経済政策「アベノミクス」として打ち出した成長戦略に「国家戦略特区」があるが、羽田イノベーションシティは、そのうち、民間都市再生事業計画 国土交通大臣認定 2018年/特定都市再生緊急整備地域内、国交省スマートシティモデル事業「重点事業化促進プロジェクト」選定(2019年)などの活用を図った。結果、同事業は羽田空港の空のネットワークを活かし各国からの多様な来訪者の交流、医療先端産業と地元中小企業のビジネスマッチングの場を「羽田イノベーションシティ」で結実させている(結果として自動運転関係の存在感も増した)。同様に川崎市でも「特定都市再生緊急整備地域」「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」「国家戦略特区」などを活用、多摩川沿いの「殿町キングスカイフロント」に健康・医療分野の研究機関を集結させ、臨海部の鉄鋼、石油、エネルギーや物流施設などと併せ、持続的な成長を目指す。多摩川両岸、羽田と殿町では、既存産業と新規産業が混然一体となり、スマートシティーという新たな街の姿を創出し始めている。一見の価値がある場所だ。
ノキア、「つながる車」特許訴訟で勝訴 ダイムラーは控訴へ 他
8月19日 フィンランドの通信機器大手ノキアが独ダイムラーを特許侵害で訴え、ドイツ地裁は侵害を認め差し止めを命じた。ノキアが侵害を訴えたのはLTE(4G)に関する特許だ。コロナ禍により多大な影響を受けた自動車メーカーへ影響が憂慮される。CASEの核、通信技術に特許使用料が発生する流れが広まった場合「5G」においても特許料という頭痛のタネが増えることは確実だ。気になるのは「特許連合」アバンシ(AVANCI)の存在だ。同連合にはNTTドコモ、パナソニック、ソニー、シャープ、クアルコム、エリクソン、そしてノキアなどが参画する。AVANCIは無線通信に関わる多数の特許をまとめ、ワンストップで供給、その見返りとして使用料(ライセンス料)を徴収、これを参画企業に分配する。特許連合は、特許防衛であり、利用者における「ワンストップ」の利便性は大きいと説明。一方、自動車メーカー陣営では、自ら無線通信技術の研究・開発の動きもあるようだ。通信・電機メーカーに中核技術の特許を握られても、自陣が対抗しうる特許を保持できれば、クロスライセンスに持ち込める可能性が出てくる。さらに研究・開発を支援する無線通信メーカーなどが現れれば、相手の陣形は崩れる。「垣根を超えた協力」か「隣の畑を自陣に取り込む」の岐路だが、商いは先ずお客様に受け入れられてこそ。現段階でどちらを選ぶかは自明の理と言えなくもない。
西新宿と東池袋で自動運転の実証実験へ 東京都支援のプロジェクト 他
8月18日 ちょうど1カ月ほど前、7月11日に東京都の豊島区に「としまみどりの防災公園(愛称:IKE・SUNPARK)」が誕生した。普段は広場の少ない都会っ子の貴重な憩いの場に、災害時には防災拠点となる。一方東京都の戦略事業推進課が自動運転技術実用化のため、日本工営に事業を委託した「自動運転技術を活用したビジネスモデル構築に関するプロジェクト」では、2020年度の支援プロジェクト2件が選定された。早期実用化部門にはWILLERが実施する「地域公共交通・サービスと連携した自動運転の実用化」が選定プロジェクトととなった。その実施場所となるのが「としまみどりの防災公園」とサンシャインシティ周辺だ。既に運用段階にある「IKEBAS」の他、地域交通との連携、飲食や物販のネット注文・宅配サービス、大学向けサービスなどの実証を行う。実験内容は都市型MaaSの定番とも言えるが、これまでの全国の実証実験をなぞらえるだけでは物足りない。ロケーションを踏まえるなら、有事における自動運転技術の在り方、平時の災害リスクに対する備えなどを事業として実現するプロジェクトなどが立ち上がらないものか?
令和2年度 日本版MaaS推進・支援事業38事業について 他
8月3日 国交省が令和2年度のスマートモビリティチャレンジの実証地域、計38事業を選定した。この他、経産省でも自動走行を活用したものに関する実証実験や事業分析等に取り組む「先進パイロット地域」16地域を選定しており、対象地域は合計52地域となる。関連する経産省の資料中には、デマンドタクシーにおける貨客混載(永平寺町)、福祉バスを活用した貨客混載、有償旅客輸送、郵便局の車両に人を乗せる客貨混載などの実証(上士幌町)などの実証事業が並ぶ。湖西市では企業のシャトルバスを公共交通の空白時間限定便に充てるなどの妙案も。限られた資源を活かした珠玉のアイデアが並ぶ。国交省の資料も同様に公共交通、持続可能性、移動ニーズ喚起、災害対応、感染対策など、各事業に必要とされるキーワードに溢れる。課題や目的も、財政基盤も、リソースも、事業主体の成り立ちも異なるため、表出したアイデアは複雑多岐に亘る。長年MaaSや地域の交通課題に取り組んできた自治体や事業体、MaaSトレンドを機に、商機も見出したい事業体などプレイヤーも様々だ。多岐に亘る事業案より、交通弱者を抱える様々な自治体がMaaSを構築して行くことを見据え、収益モデルも含めサービスの基本設計、地域・事業体同士の協業モデルや地域ごとに最適なプランを構築するための選択肢の抽出などが重要になってくる。地方のラストマイルの作り込み、災害時に通常の交通機関では対処できない状況において、国は消防関係者や自衛隊、航空機動力を持つ報道機関、建機事業者などに市民から出動や救助を要請するなど、緊急避難が必要な場合の施策についてもさらに議論を深める余地がありそうだ。
JR東日本、宮城でMaaS実験 オンデマンド交通 他
7月31日 JR東日本が宮城県でMaaS実証実験「TOHOKU MaaS 仙台trial」の第2弾を9月1日(火)~11月30日(月)まで実施する。実施エリアは宮城県内となる。エリア内は北は気仙沼(ミヤコーバス、JRバス東北)、南は阿武隈(阿武隈急行線)、西は立石寺で有名な山寺(仙山線)まで移動が可能だ。今回は専用アプリでなくWebサービスとして提供される。Webサービスでは、観光モデルコースの紹介、検索した主な観光スポットを検索マップ上にプロット、その場所までの経路案内などができる。地方では首都圏と違い、公共交通の待ち時間が多くなるため、不案内な現地で持ち時間の限られた観光客に、移動時間が自動計算される「旅行プランニングサービス」や「リコメンド機能(周辺の観光施設や体験可能なメニューを移動・滞在時間を踏まえてお奨めしてくれる)」は重宝されるのではないだろうか。また秋保エリアでは「オンデマンド交通」が運行され、乗車予約・決済がWebサイト上で実施される予定だ。県内の新幹線停車駅ではレンタカーが特別価格で予約でき、4営業所相互間で利用する場合は乗り捨てが無料となる。仙台市内においては、シェアサイクル「DATE BIKE」の空き情報を調べ(「Ringo Pass」の利用者なら同じID・Suicaで)決済・利用可能だ。ミヤコーバスの仙台~石巻線で松島海岸にも、秋保温泉にもフリーパスが使える。
あいおいニッセイ、MaaS向け商品開発でスポットツアーと連携 他
7月30日 あいおいニッセイ同和損害保険は、東京メトロ沿線の観光情報をアプリ(「Spot Tour」)で提供するスポットツアー株式会社と協業を開始した。保険会社のMaaS商品開発が進む。先日東京海上日動火災保険も、MaaSの社会実装と新たな保険サービスの開発に向けたJR東との業務提携を始め、SuicaやRingo Passと、同社の事故対応ネットワークを組み合わせたところだ。「Spot Tour」は「東京メトロ認定」の観光ツアーアプリであり、アプリ内では東京メトロの各駅を基点とする「散歩道スタンプラリー」を催行する。ツアー内では東京メトロのフリーペーパー「MetoroWalker」に掲載されていたような街歩きを楽しむ人々向けの情報(史跡、小説やロケ地ガイド、商店街や住宅地コースなど)が詰まっている。駅をスタートし、順番に各スポットを踏破するとスタンプが貰える。オリンピックに向け、MaaSによる予約や統合検索、キャッシュレス化を更に推し進める新たな起爆剤となりそうだ。コロナ禍により影響が大きかった地元経済の再活性化にも一役買いそうだ。
経路検索大手ジョルダン、スマートシティやMaaSで大阪府と協定 他
7月29日 スマートシティー「大阪モデル」が大阪府と大阪市により発表された。府、市はコーディネーターとして人材や資金を提供、市町村のサポートを、市町村自身は地域課題の把握、推進基盤となる。市民(実証実験への協力)、地元企業・シビックテック(地域課題とソリューションのマッチング)、先端技術を有する企業(人材や技術、情報面でサポート)等、大学(ソリューションの開発・実証)・研究機関なども様々に協力し・知見を持ち寄り、社会実装に取組む。大阪は何故スマートシティーを目指すのか?その原点には「人口減少・超高齢化社会」がある。また2025年の「大阪万博」に向け、国際社会に向け健康と福祉、教育そして持続可能な都市をアピールし、その先導役を担う必要がある。スマートシティー化はこれらの課題を解決し、QoL(生活の質:行政のDX化、スマートモビリティ、データヘルス、楽しいまちづくり、キャッシュレス化、防災、教育など)を向上させる潜在的な可能性を持つ。これらの進捗の可視化については、海外(バルセロナやロンドン)の先例に倣い「ダッシュボード」と呼ばれるデータのビジュアル化やKPI(重要業績評価指標)も設定される。*シビックテック:地域課題を市民、企業、技術者などがICTを活用しながら連携参加し、その解決に取り組むこと。大阪市に「Cord for OSAKA」という組織がある。
経産省、「物流MaaS」実現へEV商用車活用など6事業を採択 他
7月28日 今年の5月に開催された未来投資会議の席上で、コロナ禍後の新たな日常を踏まえ、安倍首相から「自動配送ロボットについて、遠隔監視や操作の公道実証を年内の可能な限り早い時期に実行」との指示が出たことは記憶に新しい。物流業界は現在、環境規制強化への対応、需要過多・人手不足、物流のICT化・デジタル化、商用分野でのCASE対応などの課題を抱える。経産省は、この7月に物流MaaS実現に向けた取組みを実施する事業者を選定した。今回の「物流MaaS」は、物流のより根幹にあたる幹線輸送、結節点(倉庫)、支線配送に関わる取組みについて事業者を選定したものだ。本取組みでは、①トラックのデータ連携(日本版FMS標準のユースケースの検討、複数の商用車メーカーの車両データの連携、運行管理データ項目の特定、形式等の標準API仕様の検討)、②輸配送の効率化(深度センサーを用いた庫内の荷物量や空きスペースの可視化、配送計画ルートの積載効率化)、③電動商用車活用・エネマネに係る検証などが行われる。三菱ロジネクストでは車両と積み荷の位置情報等の連携により積載率の向上を図りつつ、保険会社等と連携し、整備・運行記録を用いた運行品質評価モデルの策定や検証を行う。
コロナ禍で注目!自動運転での”コンタクトレス配送”実証まとめ 他
7月27日 ZMPはロボットベンチャー企業であるが、詳しくは自律移動ロボットと導入サービスのカイシャである。「RoboCar」や「CarriRo」、「DeliRo」などを販売し、コアエンジンとなる「IZAC」を提供する。この7月には首都高全線300kmの自動運転AI用のデータセットの販売を開始している。ZMPはロボットベンチャーのイメージが強いが、ここに来て自動運転やADAS関連システムの開発に必要なプレイヤーに向け支援サービスにも事業領域を広げた。実際にプレイヤーが走行テストやそのデータの取得を行う際にはシステム設計、構築、セットアップ、人材の手配、関係機関や部署への調整、機材手配など様々な事前準備や調整が必要となる。コロナ禍により全体の計画に後れが生じがちな現在、タイムリー、且つ時間的リカバリーを目指す諸組織にとっては、先達の経験を活かした時間短縮が出来る利用価値の高いサービスだと思う。