2020年1月8日 あけましておめでとうございます。本年も FSS.jp をよろしくお願い致します。東京オリンピック直前となる2020年夏にホンダから自動運転「レベル3」の車両が発売される。ユーザー視点から「レベル4」搭載車両への期待も膨らむ。レベル4では、限定された領域でシステムによる自動運転が可能となるが、安全面において社会から信頼を得るには興味の喚起だけでは足りない。公共・商用車両などで、その安全性や利便性、実用性が十分証明されてこそ社会からの信頼が醸成される。無題-レベル4(MADE in JAPAN)をはじめよう。
MaaS・CASE関連の最新ニュース(55 / 65ページ目)
WHILL、国内外の5つの空港で自動運転パーソナルモビリティの実証実験を実施 他
2019年12月27日 WHILL株式会社(パーソナルモビリティ生産・販売)が12月までに国内外の5つの空港で「WHILL自動運転システム」の実証実験を実施した。同社の自動運転システム(自動運転システムを搭載する電動車いす)は歩道領域に特化されたものだ。同社は2018年9月に約50億円の資金調達を実現し、2019年1月にCES 2019においてプロトタイプを発表している。同年2月には三菱電機と建物内のセキュリティエリアを跨ぎ、エレベーターに自動で乗降、建物内の他フロアの移動を可能にする実証実験を行い、これに成功している。同社のホームページでは2020年以降に自治体などの特定エリアにおいてシェアリング事業を行うことが想定されている。
MaaSの商機、身近な課題発見から PwCコンサルティング パートナー 早瀬慶氏に聞く 他
2019年12月26日 フィンランドのMaaS Global社。WhimというMaaSアプリで一躍世界の有名企業になった。2017年の暫定運用段階から今日まで、地元ヘルシンキの社会にはどのような変化が起きているのか?「WEDGE Infinity(JR東海グループのWebマガジン)」にデンマークのコンサル会社Rambolが発表した「WHIMPACT」の話題がある。レポートを読むとWhimユーザーは公共交通機関の利用率が高いとの印象を受けるようだ。「WEDGE Infinity」はこの報告書にWhim利用を開始した前後のユーザーの分析がない為、元々公共交通機関を利用していた人々がWhimを利用するようになったのではないか(実はあまり変化していない?)との疑問を呈している。三菱総研(MRI)によれば、Whim(プラットフォーマー)のビジネスモデルは、第一段階:複数の交通事業者を統合し、検索・予約・決済の1サービス化。モビリティサービス(各交通媒体事業者)とコンテンツ(小売、観光、エンタメ、飲食)を融合すること。第二段階:コンテンツ事業者を巻き込むBtoBのビジネスモデルづくりが「不可欠」とのこと。MaaSに参画する各所が自身でしっかり算盤をはじいてこそ、持続可能なMaaS社会が成り立つ。レポートに対しサンポ・ヒエタネン氏(MaaS GlobalのCEO)は、Whimの導入効果について、まだ確定的に言える段階にはないとコメントしている。地方自治体におけるMaaSの導入効果測定に於いては、各交通機関の現状データが貴重となる。
自動運転レベル3、20年に公道へ 国交省が保安基準 他
2019年12月25日 最近、自動運転の記事を読んでいると、ちょいちょい気になることがある。そのうちのひとつが、自動運転車の意思表示である。実証実験などで使用される車両には、PRも含め、企業のロゴなど派手なマーキングが施されるが、市販される車両にマーキングはされない。歩行者や付近を走行する車、場合によっては対向車に自動運転中であるや次の動作を示す何らかのサインが必要な筈だ。2020年夏に発売を決めたレベル3の自動運転車は、システムから運転者に運転の引継ぎを行う際、人間が運転態勢に入らなければ最終的にハザードで外部に警告し車両を路肩に寄せる仕様のようだ。米国のCerenceは音声AIを「e.GO Mover」に搭載。車内外の乗客との対話を可能にした。1ユーザーとして安心して自動運転車を受け入れるには、自動運転システムからドライバー、付近のドライバー、歩行者、道路インフラ、遠隔監視者などへの意思表示と対話能力を一つの受け入れ基準と考えたい。
安全運転で割引されるテレマティクス保険の今 他
2019年12月24日 テレマティクス、電気通信(Telecommunication)と情報工学(Infomatics)の造語である。近年、自動車保険などでその存在が注目されている。情報提供者から車上端末に、車上端末から情報取得者へ双方向通信を行う仕組みのこと。利用例としては、エアバッグの自動緊急通報、車両追跡、交通情報、メール、気象情報配信など。CASEの内のConnectedに相当する。この仕組みが保険分野に応用され、運転者への保険料算定に利用されている。また建機や航空機などではエンジン状態を監視、メンテナンスなどに利用されている。車に搭載される様々な機器が生成する情報はインシデント発生時の検証にも利用されている。運輸安全委員会や一昔前のブラックボックス(FDR/CVR)といった言葉を思い起こさせる。
課題は「ODD設定」や「事業採算性」——自動運転領域、第9回官民協議会の議事要旨から 他
2019年12月23日 去る6月24日に霞が関の中央合同庁舎において「自動走行に係る官民協議会(第9回)」が開催された。審議会ではODD(自動運転システムが正常に作動する前提となる走行環境条件に係る特有の条件、道路条件、地理条件、環境条件、速度制限、信号情報等のインフラ協調の要否、特定された経路のみに限定すること、保安要員の乗車要否など)に関する意見や事業化に関する実現性などに関する意見が出された。ODD関係で課題となったのは駐車車両の回避、追い越し等。事業化面では、政府は永続的支援は厳しく、自治体においても予算獲得が難しいのではとの意見が既に出ている。表出したコストとしてはインフラ整備、車両代、その後の運用コスト(データ整備費、車両や設備の維持管理費や、自動走行の保安員の人件費など)、財源としては補助金、交通事業者が獲得する運賃などが挙がった(違法駐車の罰金、自治体保険の導入なども?)。地域のニーズは自動運転よりも移動サービスにある。地域の取り組みとしては、事業会社創設、宿泊事業者が宿代から運行費を確保、人口の多さでカバ―、ふるさと納税の活用、移動需要の喚起による増収分、小売業の協力を得るなど。自動運転の収益とコストの(地域性を除いた)相場感の把握、財源はニーズの出所から得、社会実装のコストは「割り勘」が基本か。ODD、負担割合について議論をさらに深まるのを期待し、第10回の議事要旨の発表を待ちたい。
清水和夫が語る『自動運転の今』他
2019年12月19日 日本自動車工業会 安全・技術委員会で自動運転検討会が行われている。6つあるワーキンググループの中でDSSAD(自動運転の為のデータ保存システム)対応WGというグループが存在する。従来のEDRは車速など車両状態の記録に特化されていたが、自動運転用のデータストレージシステムでは自動運転の作動状態や周囲の環境の検知の状況等の記録が必要とされる。WP29(国連自動車基準調和世界フォーラム)に新設された分科会(GRVA)でも同システムの検討が予定されている(「交通安全環境研究所フォーラム2018」より)。EDRは事故分析や平時における情報の蓄積により制御の改善などに貢献できる可能性を持つ。国内では国土交通省がJ-EDRの技術要件をまとめ事故分析における活用を促進している。日本自動車会議所(2018年11月16日)発表の記事によると、政府は「自動運転制度整備大綱」で高速道路上で運転されるレベル3以上の車両を対象にEDRの装着や事故時の記録提出を義務付ける方針を表明。同省の「自動運転等先進技術に係る制度整備小委員会」で基準作りが進められている。
GAFAに勝つには「孫正義×トヨタ連合」しかない 他
2019年12月18日 ソフトバンクとトヨタ自動車は2018年10月にMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)を設立した。単独では次世代モビリティーサービスを推進することも、移動における社会課題の解決や価値創造の実現は難しいとの前提に立ち、MONETコンソーシアムが立ち上がった経緯がある。参加各団体のネットワークの構築、アイデアの共創、事業プランに基づいた実証実験、プラットフォーム開発などを活動目的とする。コンソーシアムには食品・飲料メーカーや出版、薬局、保険会社、カフェ、生協までもが集う。2020年には、ここから湧出した優れた「価値」を移動にかかわる課題解決を根幹に据えながら実証実験で手ごたえを確かめつつ、事業化の軌道に乗せられるよう奮闘していただきたい。
浜松市やスズキなど、自動運転実現へ実証実験 他
2019年12月17日 浜松市やスズキ、遠州鉄道などが、自動運転技術の実証実験を開始、路線バスの廃止区間の復活に向けた取組みを行う。大阪梅田では大阪メトロが試乗会を開催。交通過疎地域におけるMaaSや自動運転技術導入の意義は想像に難くないが、都市部(交通過密地域)で導入される意義とは?国交省「日本版MaaSの実現に向けて」は、都市部における渋滞緩和・環境負荷低減や行政へのアクセス、小売店、宿泊施設、医療福祉、観光アクセス、物流等を謳う。既存の都市・交通機能の整理(統廃合)なども思い浮かばないではない。アプリで収集され、AIにより学習されるデータ群は、幾重にも折り重なる利権を解決し、地域に確かな経済貢献(利益およびコスト配分)の道筋をつけることができるか。
JTBなど、山陰で訪日外国人向け「観光型MaaS」実証事業を開始 他
2019年12月16日 観光型MaaS。JTBは山陰地域観光MaaS協議会が「TRANSPORT PASS」の実証事業を開始(交通パスの販売を開始)したと発表。海外から訪日する旅行客向けに空港でアプリのアピールを行う。国土交通省の「新モビリティサービス推進事業の公募【概要】」の内容が興味深い。同省は3.1億円(の内数)で「全国的な連携基盤構築」を実現を目指す。応募主体には地域モデルの構築(≒地域課題の解決)と横展開、KPI(効果測定の目標値)設定などが求められる。実証実験に関するノウハウは国に提供するとされ、実験後3年以内の本格的導入に向けた「計画を作成する」ことと結ばれている。過疎地域は交通事情はもとより、経済、医療、商業も抜き差しならない状況を抱えている。応募主体となる協議会や地方公共団体と連携した民間事業者は、同省の継続的支援体制を後ろ盾を頼りに、可能なら随時その成果のアピールと利用促進を行い、同時に実験期間にも市民(取り分け子育て層や高齢者層)が恩恵を享受、利便性を体験してもらえるよう考えていただきたい。