MaaSは超高齢社会の移動問題を解決するか~バス会社「みちのりホールディングス」の取り組みから考える~ 他

MaaSとは、Mobility as a Serviceの略で、運営主体を問わず通信技術の活用により、マイカー以外の交通手段による移動を1サービスとして捉えシームレスにつなぐ新たな移動手段の概念です。AOSデータ社は、MaaSをより安心して利用できるよう、リーガルテクノロジー(自動車フォレンジック)で貢献します。

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自動車フォレンジック関連サービス(Related forensics services)


AOSデータ社の自動車フォレンジック関連サービスは、予期せぬインシデントが起きてしまった場合、事後対策として車載デバイスやメディアなどから、お客様の必要とされるデータの抽出・解析調査・レポーティングを迅速に行うサービスです。


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    Impressions:8月9日 ニッセイ基礎研究所が発表したMaaSは超高齢社会の移動問題を解決するか~バス社会「みちのりホールディングス」の取り組みから考える~を拝見した。これまで国により進められて来た地方都市型、地方郊外、過疎地型MaaSについて、現時点でもう一度深堀りすることが必要な幾つかのポイントがまとまっている。①地方ではMaaS構築以前に、交通手段自体を増やす必要がある事。デマンド交通などのサービス充実、基幹交通の自動運転化などが対策に当たる。②また丘陵地帯に開発されたオールドニュータウンに住まう高齢者・免許返納者の交通手段確保。ここでもやはりデマンド交通が解決策となる。地方における移動ニーズは、基幹交通ではなくラストワンマイルの比重が高いことが分かる。また高齢者が移動サービスを利用するにあたっては、スマホアプリやカード決済のハードルは高く、ここには電話対応(コールセンターもしくは担当者設置)が求められる。③事例には、みちのりホールディングス(以下、同社)が2019年度に日立市と近郊エリアで行ったデマンドサービスの例が挙げられている。大型バスを朝夕に1本ずつ運行し、事前に予約があった乗降所に立ち寄り最短ルートで運行、運賃は500円に設定したところ利用者は当初の予想を下回った。この事例から明確に分かるのは、通勤者は支給される通勤費用以上の交通機関利用には慎重である点だ。企業内の通勤費支給ルールにもデマンドサービスが加わる必要がある。地域企業の協力を得られれば、交通事業者は通勤者の人流という大きな収入源を得られる。④地元高齢者にMaaSを利用してもらうため、同社は地域の店舗との連携を進める。理由は、移動という手段と買い物や通院などの目的はセットだから、目的と手段のチケットをセット販売したということと、デマンドサービスなど新しいサービスの認知や普及は容易でないことから、地域の店で商品を購入する際、バスチケットと商品を一緒に変えると周知してもらった。地域に密着した小売店に協力を仰ぐというアイデアが創出・実践されている。その見返りとして、地域店舗はMaaSアプリ(ナビタイムジャパンが制作)に店舗情報を安価で登録できる(参加店が増えれば一店舗当たりの負担が抑えられる仕組みを構築している)。⑤デマンドサービスと既存交通(タクシー等)の競合問題。同社はデマンド交通の域外への移動ニーズが発生することを予測、その際はパーソナルなサービスを提供し、プレミアム料金を支払って貰う、コストが見合えばO.K.との柔軟な姿勢を見せる。(但し、この判断は同社がバス事業及びタクシー事業を包含する企業ゆえ、実現が可能ということかも知れない)。地域での新規参入事業者となるオンデマンドサービスと既存交通の棲み分けは、どう解釈されるのか?同社は末端交通と基幹交通を組み合わせた交通システムが効率が良く、それこそがMaaSの概念だと考える。地域交通事業者の業務提携やM&Aが進み、台所が統一されれば、徐々に解決される問題なのかもしれない。⑥MaaSの核であるオープンデータ化の問題。同社が1年目の実証実験で作成したアプリでは、JR東日本の運行情報も検索出来たが、2年目に作成したアプリでは、グループ内の事業者の運行情報のみとなった理由について、同社は鉄道事業者の運行データの取得に高額なコストがかかる点を挙げている。日本は、MaaSの主体が国ではなく民間企業ゆえ、交通事業者間の協力体制が課題となる。鉄道事業者側にも莫大なコストを投じて、運行データを整備してきた経緯がある。オープンデータ化とその連携は、MaaSの根幹であるため、国主導で例外として認可した自家用有償旅客輸送を担う事業者まで含め、オープンデータ化やデータ連携で事業が推進できない事業者を可視化し、急ぎ支援したい課題だ。⑦当初見えなかった収益問題。ここ数年は初期投資が必要となるが、利用者の回復や増加に至る時期も、さほど先ではないとの見方だ。収益改善のポイントは、サービスの認知・浸透。後押しする要素としては、コロナ回復経済、それに伴うインバウンドや観光需要の回復などがある。同社は地方MaaSレベルでの地元利用者の利便性向上を考え、路線バス再編などにも着手している。再編内容は、既存路線のバス停の削減による待ち時間短縮、運行本数の増加。そして、バス停からのラストワンマイルにデマンドサービスを接続させるなどの施策だ。この国のPDCAのうち、Cの機能が上手く機能するかが問われる局面ではないだろうか。