冤罪を主張する被告人が、捜査機関の解析結果につき再調査を依頼した事例
捜査機関の解析結果に疑問を感じた場合には?
被告人の多くは逮捕時にモバイルを押収され、訴訟でモバイル端末の解析結果が捜査報告書として証拠調べ請求されるケースは少なくありません。しかし、これに記載されたデータの中には、本来であれば存在しているはずのデータが記載されていない場合もあり解析が不十分ではないか、または被告人に不利なものだけが記載されているのではないか、といった疑念が生じます。
専門家に再調査を依頼し、セカンドオピニオンを求めることが重要
このような場合、信頼できるフォレンジック調査の専門家に再調査を依頼し、セカンドオピニオンを求めることが有効です。弊社の調査の場合、数種類のフォレンジックツールを使用するため、捜査機関が使用したツールと異なるもので調査することが可能です。フォレンジックツールが異なれば、解析の結果が異なることは十分にあり得ることです。また、弊社の技術者はフォレンジック調査に関し豊富な経験と高度な知見を有する専門家ですので、捜査機関の解析担当者と異なる観点で調査できる場合もあります。
フォレンジック調査の内容
解析結果が記載された捜査報告書には、捜査機関が使用したフォレンジックツールが記載されています。そのツールをお知らせいただければ、それとは異なるフォレンジックツールを用いて調査致します。
モバイル端末からデータを抽出する方法には物理的方法として大きく分けて2つあります。チップを剥がしそのチップからデータを抽出する方法とチップを剥がさずに端末にケーブルを接続しデータを抽出する方法があります。また、後者の場合にもケーブルを接続しデータ抽出をするソフトは数十種類あります。捜査機関の解析方法が分かれば、それと異なる方法で再調査することが出来ます。
調査の結果
捜査機関が使用したツールとは異なる複数のツールで解析を行うとともに、そのツールだけでは解析しきれないデータについては専門の技術者が特別な解析を行いました。その結果、捜査報告書には記載されていなかったデータを復元・抽出することができました。これらのデータは被告人の主張を裏付けるものとなり、検察の立証を崩すことに成功しました。
モバイル端末の開示を求めることが不可欠
再調査をご依頼頂く場合には、その前提としてモバイル端末を入手することが不可欠です。しかし、モバイル端末は捜査機関が押収していますから、(仮還付されない限り)被告人の手元にはないことがほとんどです。この場合は当該端末の証拠開示を求めることになります。
証拠開示に向けて
証拠開示の理由が再調査であることが明らかになると、検察は異なる解析結果が出ることを恐れて開示に応じない場合が多いです。また、証拠開示の有無につき判断する裁判所はフォレンジック調査につき理解していない場合が多いですから、再調査すれば異なる事実が明らかになると説明しても理解してもらえず、再調査の必要性につき適切な判断が期待できない場合もあります。
このような場合には、弊社では次のような方法をお勧めしています。
まず、開示の必要性を裁判所に理解させるために意見書を書かせて頂きます。過去の事例ではこれにより開示に至った場合もあります。
つぎに、当該端末が保管されている検察庁に出向き、その場でデータを抽出(データ保全)いたします。開示に反対する検察が証拠管理をその理由としている場合には有効な方法です。
以上の他に、弊社技術者を鑑定人に選定する方法があります。鑑定人となれば当該端末を確保することができます。(被告人は費用負担なし)
ファイナルフォレンジックとは
ファイナルフォレンジックは、強力なデータ復元機能を持っており、消されてしまったデータを復元して、証拠データを抽出します。
全国の検察機関がフォレンジック調査ツールとしてファイナルフォレンジックを採用、全国の検事がこのツールを使って、デジタルデータの証拠調査を行うようになりました。
コンピュータ・フォレンジック完全辞典
デジタル証拠を扱うためには、フォレジックの基本からツールの使用方法、実践における様々なテクニックを学ぶ必要があります。これを効率よく学習するため、コンピュータ・フォレンジック完全辞典を出版しました。
コンピュータ・フォレンジック完全辞典
デジタル訴訟の最先端から学ぶコンピュータ・フォレンジック完全辞典
Michael G. Solomon,K Rudolph,Ed Tittel ほか・著
AOS法務IT推進会・訳 佐々木隆仁、柳本英之・監修
大手企業、国家機関などのフォレンジック調査を手がける最高峰のITチームが書き下ろしたコンピュータフォレンジック専門家になるための指南書。裁判事例からコンピュータ・フォレンジックの基本、ツールの使用方法、実践における様々なテクニック、上級者となるための知識まで、犯罪調査と企業インシデント対応のどちらにとっても役に立つ、幅広い情報を紹介します。自分の理解度を確認できる復習問題付き!