1月17日 1/15(土)~1/30(日)まで福岡地所は、九州最大のアウトレットモール「マリノアシティ福岡」で、電動キックボード「mobby」や電動ゴーカート「Ninebot Gokart」の市場体験会「モビリティサーキット in マリノア」を開催している。本実証実験は、モビリティ提供会社として㈱mobbby rideが、再生可能エネルギーを使った「グリーン充電ポート」を大成建設と大成ロテックが提供している。本実証実験は、大成建設グループにより研究・開発が進められてきたワイヤレス充電システムと路面太陽光ユニットを組み合わせた「グリーン充電ポート」を活用し、mobby社の提供する電動キックボードへの無線充電を行い、その有用性を確認する目的で行われる。大成建設は、大倉喜八郎が1873年(明治6年)に総合商社「大倉組商会」を設立、1887年(明治20年)に渋沢栄一、藤田伝三郎らと協力し日本初の法人建設会社「有限責任日本土木会社」を起こし、その後東海道線の建設や鹿鳴館、琵琶湖疎水、1927年(昭和2年)~は銀座線の上野~浅草間などの歴史に名を刻む建築実績を持つ。2020年東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となった国立競技場の設計施工も同社だ。同社中期計画(2021-2023)では、特にサステナビリティ、エネルギー・環境分野において、日本政府のカーボンニュートラル宣言を受け、同グループにおける事業活動によるCO2排出量目標を2050年に「実質ゼロ」としている。これはサプライチェーン排出量におけるスコープ1(自社の燃料の使用に伴う排出)・2(他社で生産されたエネルギーの使用に伴う排出)にあたり、大成建設グループは、グループの電力消費量を賄う目的として、2030年度までに100MWの再生エネルギー電源の保有を目指す。スコープ3(企業のサプライチェーンに相当するその他間接排出/原料調達・製造・物流・販売・廃棄など組織活動に伴う排出)に対しては、事業活動の上流に対しては、カーボンリサイクル・コンクリートの開発・利用などのグリーン調達を推進し、下流においては次世代高機能ZEB(Net Zero Energy Building/快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物)の開発・実用化により引き渡し後の建物使用によるCO2排出量を削減していくことを重点課題としている。ZEB環境を創るためには、消費エネ技術と創エネ技術、エネルギーマネジメント技術などが必要とされる。このうち創エネに使われるエネルギーには、太陽光発電やバイオマス発電など再生可能エネルギーが活用される。大成建設グループは、今回の実証実験において「ワイヤレス充電システム」と「路面太陽光発電ユニット」と呼ばれる二つの技術を投入している。「ワイヤレス充電システム」は、充電が必要な(本件の場合は、電動キックボード内の)バッテリーに対し、電源から無線で電力を供給する仕組みだ。本件では「グリーン充電ポート」と呼んでおり、供給する電力は太陽光発電により生成されている。実証では発電の安定性や車体側の受電装置の安定性を明らかにするとしている。大成建設はEVが走行中に路面から給電できる「走行中ワイヤレス充電システム」などに繋げたい考えだ。また「路面太陽光発電ユニット」は、地面に設置する太陽光発電パネルのことを指す。太陽光を利用するためには、発電パネルの設置場所が必要となるが、設置場所不足の課題解消を狙う。設置は日照条件の良い道路や歩道、駐車場などの路面が想定されている。同ユニットを提供する大成ロテックはグループ内の道路舗装会社だ。現在、道路舗装大手は、路面の発電施設化に取組んでおり、今後普及する「電動化モビリティ」の拡大に伴う充電需要の取り込みと、環境規制への対応を両立したいのではないかと思われる。国内の道路の総延長は約130万キロと言われ、これらが給電機能を持てば、脱炭素化した新たな太陽光発電所が生まれるのと同義だが、勿論、良い事尽くめではない。現行の道交法の改正、コスト問題、発電効率、耐荷重、敷設時に削られるアスファルトの再生などへの対応も必要とされる。各社は国道交通省に法改正を求めつつ、駐車場などで実証実験を進めているのが現状のようだ。
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警察庁、自動運転の実現に向けた調査検討委員会実施 制度の方向性を確認 他
1月14日 警察庁の「自動運転の実現に向けた調査検討委員会」は令和3年12月に検討結果報告書を発表している。日本政府は「官民ITS構想・ロードマップ2020」(令和2年7月15日 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)において、2022年度頃限定地域における遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスを開始、2025年を目途とし各地で無人自動運転移動サービスの実現を目指すとしている他、同年には高速道路でのSAEレベル4の自動運転トラック、自動運転自家用車の市場化も目標に置く。同じく政府の成長戦略会議の「成長戦略フォローアップ」(令和3年6月18日)では、2020年度目途に限定地域で遠隔監視者1人で3台以上の車両走行を可能とするため、2022年度の早い段階で制度整備を行い、公道での地域限定の無人自動運転移動サービスについて、2025年度を目途に40カ所以上の地域で、2030年までに全国100個所以上で実現するとしている。警察庁では、令和元年度からレベル4の自動運転の実現に向けた環境整備を図る目的で、新たな交通ルールの在り方に関する調査研究を行い、昨年度はレベル4の自動運転に関するルールの在り方や自動運転システムがカバーできない事態が発生した場合の安全性の担保方策等について一定の方向性を得たとしている。今年度はさらに限定地域での遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスを念頭に、具体的な検討を行う。今年度の検討の前提は、自動運転中は「自動運転中は「運転者」が遵守すべき交通ルールのうち、定型的・一般的なものを自動運転システムが代替」「自動運転中でない場合は、従来の「運転者」が存在する場合のルールで対応」「自動運転移動サービスの提供に携わり、状況把握、連絡等の役割を果たす自然人の存在を想定」としている。今のところ、福井県永平寺町で行われている遠隔監視・操作者が存在するレベル3の自動運転移動サービス(令和3年3月認可/1:3/自転車歩行者専用道に設置された電磁誘導線上を走行)を「モデル」として、遠隔監視のみの運行に移行することを想定し、検討を行うとしている。ODD(走行環境条件)などを見ても、慎重の上にも慎重を期する姿勢だが、安全を守る組織である以上当然の姿勢であるとも言える。今年度の論点は、「運転者の存在を前提としない自動運転システムの性能について」「認定による特例の適用について」「審査基準及び審査方法について」「関係者の理解と協力を得るための手段について」「行政処分のあり方について」だ。警察庁は「自動運転の実現に向けた調査検討委員会」の中で、開発動向等をシステム開発や実証実験に携わる自動車メーカーや大学・研究機関、運送事業者等の調査主体に広くヒアリングを実施している。設問のうち「現場での個別具体的な対応について(認知方法)」がある。個別具体的な対応が必要なケースとしては、①進行方向に存在する警察官等による交通規制の識別、②進行方向に存在する警察官等の手信号の識別、③交差点付近以外の場所において接近する緊急自動車の避譲、④交差点付近以外の場所において接近する緊急自動車の優先、⑤進行方向に存在するぬかるみ又は水たまりが挙がっている。これらの個別具体的事象を識別することが出来ないが、予定通りの自動運転が継続出来ず、対応が要求されることを認知することはできる場合。ADS(Advanced Drive System)は、ADS自身の機能により、当該事象を認知することは出来ると回答した調査主体は、①は4主体、②は4主体、③は11主体、④は10主体、⑤は3主体である。自動運転の現状について、なぜ議論に時間を要するのかについても一端を窺い知ることが出来る。また、資料内では委員・オブザーバーによる主な意見のうち、2)交通事故時の責任の所在についても触れられている。興味深いのはレベル4の自動運転中に遠隔から自然人が監視している状態を制度上どのように捉えるべきか、明確にしてゆくべきとの意見が出ている点だ。これまでドライバーや或いは自動運転システム(メーカー)の責任について議論はなされてきたが、遠隔監視者・操作者についての刑事罰という点では、メディアでもあまり表出してこなかったように思う。刑事罰の議論以前の課題として、自動運転車両自体の挙動の記録などと同様、遠隔監視・操作席上で記録すべきデータやその保管方法についても、同様に議論が深まることを希望したい。
雪や雨に強い、フィンランド発「全天候型」自動運転ソフトウェア–良品計画ともコラボする「Sensible 4 」の狙い 他
1月13日 発達した低気圧が千島方面で停滞、北海道付近では、明日にかけても強い冬型の気圧配置が続く見込みだ。今夜以降も日本海側やオホーツク海側では、猛吹雪や大雪による交通障害などに注意・警戒が必要だ。NEXCOでは、1/13(木)正午に長野県と関東地方北部で大雪のため、高速道路の利用を控えるよう発表した。管内の高速道路でも、チェーン規制や通行止め等の規制があるようだ。ドライバーには、冬用タイヤの装着やタイヤチェーンの携行を呼びかけている。全日空とJALは13日だけで32便が欠航する。昨日は同じ2社で234便が欠航、2日間で約11,000人に影響が出る見通しだ。冬の雪道ではスタックやホワイトアウトなどで交通の混乱が起こりやすい。試みにSOSが必要な時は、後続車への合図、安全な場所への非難、#9910への通報が重要だ。NEXCOは、高速道路の安全を守るため、除雪・排雪作業や、中央分離帯雪氷作業と呼ばれる除排雪時に堆雪した中央分離帯の除雪作業、凍結防止作業(凍結防止剤散布)なども行っている。事故が起きやすいのは長い下り坂、日陰の路面、カーブの手前、橋上、トンネル出入り口、インターチェンジの出口だそうだ。同社では、予め危険個所を「安全チェックポイント」と呼び、Web上でマップを配布している。フィンランドのSensible4(センシブルフォー)は、フィンランドのエスポ―市発のスタートアップだ、同市はフィンランドの南部都市だが、冬季には、平均気温2℃未満の日が続く。2月の平均は-8℃にもなる。同社は、このような都市で全天候型自動運転ソフトウェアの開発を続ける。同社のシャトルバス専用の自動運転ソフトウェア「DAWN」を搭載しているのは、日本の無印良品のバス車両「GACHA」だ。雪や雨、霧などの気候変化に対応させた。国内でも、自動運転バスの冬季運行を見据え、北海道の上士幌町などで、ボードリー(BOLDLY/ソフトバンクの子会社)が昨年末に実証実験を行っている。こちらの実験では雪や氷点下の環境下で、行政と連携し除雪や凍結防止などの道路環境整備を行った上で実施され、積雪による周囲の環境変化やぼたん雪などがセンサーに与える影響(自己位置推定機能に与える影響度合いの把握/ぼたん雪が障害物として検知される度合いの把握)や、氷点下の環境下における車両の走破性(基本的な動作の確認)および路面凍結への対策(スタッドレスタイヤの走破性/凍結防止剤によるスリップ防止の有効性)の有効性などを試した。車両は自動運転バス「NAVYA ARMA」を使用、バスは自動運転車両運行管理プラットフォーム「Dispather」を使い、遠隔監視者がリアルタイムに運行状況を把握、運休や再開についての運行情報を利用者に知らせるところまでを想定していた。実験では、先行する除雪車に路肩の白線までの範囲を除雪してもらい、スタッドレスタイヤを装着したり、凍結防止剤を散布するなどしている。国交省の北陸地方整備局(新潟市)では、今冬除雪作業を自動化した除雪トラックを試行的に導入している。冬季や豪雪地帯で実用的に利用できる自動運転技術の発展にも注目していきたい。
ドラレコ、つながる車の「目」 デンソーテンが事故共有 他
1月12日 川西機械製作所(現:デンソーテン)はかつて繊維機械や航空機事業を柱とし、その後神戸工業時代に真空管・半導体などの開発を行う。その後は自動車の排ガス制御システム等を経て、カーエレクトロニクスメーカーへ。その中でカーナビやドライブレコーダー、ハイブリッドシステムの電子制御装置など、時代の先端技術を製品化し社会課題の解決に取り組んできた。社名のテンは最高・至上の「天」を意味する。神戸工業時代の1957年(昭和32年)には南極観測船「宗谷」に搭載されるレーダーも製作している。車載レーダーの道はこの時に開いた。一社)ドライブレコーダー協議会のドライブレコーダー国内出荷実績(2021年度)の第二四半期(7-9月)は、業務用が240,487台、コンシューマ用が1,253,499台、合計1,493,986台である。市場では、アイ・オー・データ機器、アルプスアルパイン、JVCケンウッド、デンソー、デンソーテン、パイオニア、パナソニック、三菱電機、矢崎エナジーシステム、ユピテル、TCL、コムテックなどがプレーヤーとなる。国内では約4000万台に設置されている。ドライブレコーダーは、交通事故等の発生状況を記録することを主たる目的として、車両周囲や挙動をカメラや各種センサで記録する車載装置で、業務用のデータは運行管理や安全運転教育(事故予防)にも用いられて来た。デンソーテンの「通信型ドライブレコーダー」は、「運行管理」では運転者の走行データ・映像データなどをサーバに自動送信、記録・分析し、運行後に、安全運転診断や安全運転ランキングや運転履歴などを確認することが出来、ドライバー教育にも活かされている。「事故予防」では運転者ごとの診断結果(車間距離分析、道交法違反分析、バック違反検知など)なども得ることが出来る。同社はドラレコをコネクテッド時代の走行データ収集の核となるデバイスと位置付け、自動運転車両の安全性向上や歩行者や周囲を走行する車両の予測に活用可能として完成車メーカーに働きかけている。また、走路に事故や落下物、渋滞などが発生すればこれらの情報を後続車に共有、移動時間の短縮や渋滞緩和に繋げるとしている。その他のドラレコメーカーにおいても、CO2排出量の予測で脱炭素に寄与する動きや、路面などのインフラの劣化情報の取集などにも活用範囲を広げようと「収集されるデータ活用」についての研究が進む。保険業界でもテレマティクスを活用した保険が盛んに導入されている。弊社の自動車フォレンジックサービス・ドライブレコーダーフォレンジックなども「収集されるデータ活用」の一角に位置する。車載されるセーフティプラッットフォーム内にある走行記録データを解析し、事故の原因調査や分析を行うサービスで、近年、官民の調査機関などの利用は増加傾向にある。
「5G」などの環境整備 ロードマップ策定へ 経産省 他
1月11日 経済産業省は1/6に岸田首相が提唱する「デジタル田園都市国家構想」(IT×地方創生による国家成長戦略)*の実現に向け、高速・大容量の通信規格「5G」などの環境整備について中長期的なロードマップを作成するとして有識者会議を開いた。会議に参加した萩生田経済産業大臣は、日本のデジタル化の遅れを直視し、日本全体に「5G・次世代の通信規格」「再生エネルギーを有効活用した送電網」「自動運転・自動配送のための物流インフラ」実現のための環境整備、即ち大規模なデジタル改革の必要性を説いた。同省の経済産業政策局・商務情報政策局の「事務局説明資料(デジタル社会の実現について)」という資料に、この構想の背景がまとめられている。最も危惧されているのは「失われた30年」、デジタル化の遅れによる産業全体の国際競争力の低下である。自動車産業による「一本足打法」で経済が回る中、渦中となる自動車業界はCASEによる変革の波を受け、産業の土台が揺らいでいると分析している。また、経済成長のドライバーとなる筈のデジタル投資は、この30年間長期的に低迷した経緯がある。資料では更に付加価値を生み出すビジネス変革を実現する中小企業における「本物のDX」が必要としている。その他にもデジタル人材の不足や、デジタル敗戦、それらに加え、国を取り巻くデジタル社会の環境もデータの爆発的増加により大きく変化している。地方においてSociety5.0のサービス実装には、データセンタの地方立地が必要としている。理由は、今後10年でインターネット上のデータ流通量は30倍以上となることが見込まれ、自動運転・ドローンの飛行などでは0.01秒以内の処理が求められるものの、地方で発生したデータの処理をデータセンターの集中する東京や大阪近辺で行った場合、0.05秒程度の遅延が発生することなどが上げられている。また、コロナ禍において行政サービスを中心に多くの課題や教訓が明らかになったと認めている。今後は国と地方(自治体)のシステムの不整合やオンライン手続きの不具合等にメスが入ることになる。またこれら全体を動かす産業用の電力コストの抑制や、カーボンフリーエネルギーの調達などが今後の競争力を左右する鍵としている。発表はこれらの課題を段階的に解決していくため、①政府全体(省庁の壁を越え)で、地域におけるデジタルの利活用とデジタルインフラの整備、②再エネ供給を最適化するエネルギーインフラや交通・物流インフラのデジタル化、③それらを制御するプラットフォーム整備も含めた全体像について、技術の現在地と進展速度も見据えた統合的計画として「デジタル日本改造ロードマップ」作成に着手した、ということを「デジタル田園都市国家構想」と表現している。「大改革」は民間の意識改革も含め、スピード勝負となるに違いない。*参考 https://stageweb.fss.jp/garden-city-state-concept/
クルマの自動運転技術を応用。視覚障害者をナビするAIウェアラブル・デバイス「biped」 #CES2022 他
1月10日 観光庁の令和2年度3次補正予算事業に「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」がある。地域等が作成した「観光拠点再生計画」に基づいて、全国100箇所を目安に観光拠点を再生、地域全体で(地域観光の)魅力と収益を高める事業について、短期集中で支援を行うものだ。メニューには大きく3つに区分され、自治体・DMO(観光地域マーケティング・マネジメント)型、事業者連携型、交通連携型に分かれる。このうち交通連携型は、観光拠点の再生に向け観光分野の事業者と交通事業者が連携し、交通を軸とした観光における地域への誘客促進・付加価値向上を目指す取り組みを支援する事業だ。補助の対象は交通事業者など、公募期間は昨年6/18-9/17までで、既に終了している。事業者は事業計画・資金計画を作成し、国土交通省により目標や実現性、資金調達の具体性などの確認や査定を受けた後、同署による確認・査定結果の通知を受け事業者が交付申請し、令和4年2月末までに事業を完了するものとしている。昨年末から、岐阜県の下呂温泉を中心とし、各地を結ぶシャトルバスや高速バスの運行開始が続いている。南飛騨観光バス、岐阜乗合自動車(岐阜バス)、濃飛乗合自動車(濃飛バス)、白鳥交通(郡上市)などが、そのプレイヤーだ。ポストコロナを見据えた新たな需要の掘り起こしやニーズの調査、下呂温泉の誘客促進を目的として濃飛バス(高山市)は、昨年末12/26~2/13まで、毎日上下2便ずつを設定し、下呂温泉と岐阜駅(名鉄岐阜バスターミナル)間に「下呂~岐阜線」の実証を開始、岐阜バス(岐阜市)と共同運行を実施している(*岐阜バスの直行バスの名称は「岐阜下呂線」)。大人は片道2,000円(小人半額)だ。予約は各社の予約センターか、ハイウェイバスドットコム(https://www.highwaybus.com/gp/reservation/rsvPlanList?lineId=674)で行う。郡上市の白鳥交通は、昨年11/5~2/27まで、郡上(美濃白鳥駅)~下呂(JR下呂駅)間に、無料シャトルバスを運行している。途中、郡上八幡駅を経由させる。便数は一日2往復、予約は不要だが、各回27名までが定員となる。なお運行日については、https://www.shirotori-kotsu.com/郡上-下呂無料シャトルバス/ のカレンダーで確認が必要だ。南飛騨観光バス(下呂市)では、昨年11/22-2/20まで「GEROぐるライナー」を名古屋駅(名古屋駅西口Bバース)から、中津川(中津川市にぎわい広場)経由で下呂温泉(JR下呂駅前)まで毎日運行している。利用者全員に下呂温泉合掌村10%OFF特別割引券が進呈される。運賃は名古屋発が片道3,000円/中津川発が片道2,500円、往復の場合は名古屋駅発が5,000円、中津川発が4,000円(小人半額)となる。予約は、前日まで同社 Tel:0576-26-1005 まで。なお、下呂温泉の公式サイトでは、下呂温泉直行バス(下呂~名古屋)が紹介されている(*上記の事業外)。予約制(乗車の2ヶ月前より受付)だが毎日運行だ。運賃は往復3,700円(片道のみ:2,800円/おとな・こども(3歳以上)共・税込)となる。募集人数は45名、最小催行人数は2名、利用対象者は下呂温泉旅館協同組合加盟旅館の宿泊者となる。予約は(https://secure-site.in/ASP/gero/)から行う。一社)下呂温泉観光協会が主催する、下呂温泉郷公式アプリ(「ご当地なび」アプリ)をダウンロードして、下呂温泉QRコード(https://gero.ooedoonsen.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/43326/img2.jpg)を読み取り、下呂温泉郷の会員証を取得すると、毎月開催されているスタンプラリーに参加できる。ラリー参加者には毎月抽選でポイントがプレゼントされ、加盟店で会員証を提示して買い物をするとさらにスタンプ1つ(500円分ポイント/毎月10名、1ヶ月5,000円以上のお買い物をすると、毎月1名5,000円分のポイントがプレゼントされる)が貰える。下呂温泉では「下呂温泉花火物語」が、1月の毎週土曜日、2月~3月の毎週土日(2/11、3/21を含む)に開催される。お出かけになる方は、新型コロナウイルス感染症オミクロン株の感染防止対策(マスク着用、手指消毒など)にご協力いただき、湯めぐりもイベントもお楽しみ下さい。
自動運転車両、実証実験中の事故は全国で14件 警察庁 他
1月7日 茨城県、つくば市と大手電機、公共交通、地銀、筑波大学、CYBERDYNE、産総研などの研究機関、茨城県科学技術振興財団、大手通信、IT、大手損保、日本政策投資銀行、大手製薬会社、自動車メーカー、大手物流会社など、一自治体としては些か豪華な布陣とも言えるつくばスマートシティ協議会が、1/17(月)~2/14(木)まで(*日・祝はお休み)、市民の通院を含めた移動の利便性向上を目的として「つくば医療MaaS」(AI乗合いタクシー)の実証実験を始めると発表した。市内の各所から、医療機関6ヶ所への移動を担う。対象エリア(つくばスーパーサイエンスシティ構想の対象エリア)に居住し、参加登録した市民は無料で利用できる。目的地となる医療機関は、筑波大付属病院、筑波学園病院、筑波メディカルセンター病院、つくば総合健診センター、筑波記念病院、筑波総合クリニックだ。今回の実証では、ルート最適化AIを活用したタクシー2台を巡回させ、利用者の送迎を行う。利用の際は「App Store」か「Google Play」から、「つくばスマート医療送迎アプリ」をダウンロードし、アプリ上で初回登録を行う。タクシー利用時には、同アプリで乗車予約し、目印のステッカーが添付された車両に乗車、乗合となる場合(他に利用者がいる場合)、目的地までは各お迎え地点を経由しながら移動する。降車後にアンケートに協力する。本実証実験は、国土交通省 令和3年度スマートシティモデルプロジェクトに選定されている。*詳しくは、つくば市の実証実験案内チラシ(*URL:記事ページに掲載)。茨城県では、赤字ローカル線の廃線跡の移動を活性化させる、ひたち圏域MaaS(ひたち圏域新モビリティー協議会)や、国内有数の湖沼、霞ケ浦や筑波山の周辺の周遊を観光やスポーツ的な要素も織り交ぜながら活性化させる観光MaaS、「つちうらMaaS(土浦市新モビリティサービス)推進協議会」なども立ち上がっており、県内各地でMaaSへの取り組みが盛んに行われている。今後の進展に注目して行きたい。
選手村の自動運転事故、バス操作のトヨタ社員を書類送検へ…回避義務あったと判断 他
1月6日 警視庁は昨年8月に東京オリンピック・パラリンピックの選手村で、トヨタの「e-Palette」が視覚障害のある選手に接触した件で、車両を操作していたトヨタ社員を自動車運転処罰法違反の疑いで、近く書類送検する方針を固めた。接触事故の当時「e-Palette」には「レベル4」相当の機能が搭載されていたが、実際の運行は「レベル2」で行われていた。現在、車両が「レベル2」で運行する場合、運行の責任主体はドライバーと定められている。事故当時、車両がT字路に右折進入する際「e-Palette」は交差点内の人を感知し、一旦停止した。その後オペレーター(前述の社員)は、車両周囲の安全を確認した上で車両を発進させ、交差点周辺状況を確認し、手動で減速を始めた。その際、さらに道路を横断してきた視覚障害のある歩行者(選手)を、センサーが再び検知して、自動ブレーキが作動、重ねてオペレーターも緊急ブレーキを作動させたが、車両停止前に歩行者と接触が起きている。車両周辺の状況は、信号機のない交差点内に二人の誘導員が配置されていたが、複数方向からの歩行者、車両の動向を確認出来なかったとのことだ。これに加えて、誘導員と車上オペレーターの連携も十分でなかった点も指摘されたようだ。あらためて、今回の接触事故を見直してみると「e-Palette」のセンサー類は正常に動作している様子が伺える一方、運行に携わる「ヒューマンエラー」が大きな要因となっていることが浮き彫りとなる。自動運転車両の社会実装が進んだ段階では、今回のように自動運転車以外の要因で発生する事故が増えるであろうことは容易に予想できる。今回の事故は数多ある事故の一例とも言える。本件については、予め人間の確認不足や同時処理能力の限界を織り込んだ、車両周辺の警戒システムの進化につながることを期待したい。今回の事故でもう一つ注目したい点は、視覚障害者であった選手が事故に遭っている点だ。オリンピック選手村や高速道路区間、工場の敷地など、限定された空間における自動運転車両の運用は(そのまま限定空間で利用される場合もあるが)、社会実装までの過渡期の運用に過ぎない。完全な社会実装に至るまでのロードマップを進めば進むほど、混在空間での運用は増える。自動運転車両を公共交通機関の一角として据えることを目的とする以上、システム開発や実証実験の段階から、常に社会の多様性を考慮したソフト・ハード設計が大前提とならなければならない。今後は、開発初期段階から、最終的な完成品の利用段階に至るまで、自動運転に関わる一人一人に、広く自動運転(車)の特性を啓蒙していく必要がある。警察や教習所、メーカーの社員教育機関、学校、自治体や安全関係の団体などの一層の連携や、安全教育メニューの進化・充実が期待される。彼らに必要となるのは、運輸安全委員会をはじめ、警察機関や保険会社などが持つ、自動運転関係を含む膨大な事故データだ。可能な限り自動運転に関する事故の低減を図るため、各所のデータを連携させ・活用できるプラットフォーム化が急がれることになるのではないか。
トヨタが自動運転対応の車載OS「プラットフォーム化」を検討 他
1月5日 ソニーグループ株式会社は、1/5に米国のラスベガスで開催された「CES 2022」にて、再び「VISION-S」を発表し、試作モデルとなる2モデルを展示した。発表されたのは既報のVISION-S 01(以下、01)と呼ばれるクーペと、VISION-S 02と呼ばれるSUVだ。同車は2020年1月のCESで初公開され、車上における新たなエンタテインメント、AIや通信、クラウドを活用した車載ソフトウェア制御、イメージ・センシングなどの技術の表現媒体として位置付けられ、展示されていた。その後、オーストリアのグラーツ(試作車の製作を担ったマグナ・シュタイア社の拠点が存在する)や東京などで開発が進められていたものだ。2020年12月からは、欧州で公道走行テストを開始、2021年4月からは5G走行試験などを行ってきた。同社のWebサイト(https://www.sony.com/ja/SonyInfo/vision-s/news.html#entry13)に拠ると、VISION-S 02(以下、02)のコンセプトムービーが視聴できる。02は、プロトタイプとなる01と共通のEV/クラウドプラットフォームを採用した7人乗りのSUVであることが分かっている。VISION-Sは、CMOSイメージセンサーやLiDARなどを搭載するとともに、緊急車両の走行など周辺環境の把握・判断を助ける車内の音響システムやHMIシステムと連動したドライバーインタラクションを持つ。またADAS(運転支援機能)Level2+の検証を欧州で行っているようだ。車内では、ToF方式の距離画像センサーを用いてドライバー認証や同乗者のモニタリングを提供するとともに、ジェスチャーコマンドや音声コマンド技術で「直感的なクルマのインターフェイス」の開発も続ける。また、車両のコクピット・パネル(パノラミックスクリーン)などにおいては、ディスプレイテーマや加減速音の設定機能を付加するなど、テクノロジーを咀嚼し「ソニーらしさ」を織り込むことも忘れない様だ。コネクティビティの面では、5Gを含むモバイル通信で車両とグラウ度を連携、車両設定、キー施錠、ユーザー設定などが同期され、アップデートはOTAで反映させ、セキュリティやサービス機能などを継続して提供して行く、としている。また、同グループとVordafone Germanyは、5G環境下における「リモート運転」の開発をドイツのアルデンホーフェン(ドイツのFEV*のテストコースがある)で実施してきた。東京と同地をVISION-Sのテレマティクスシステムを用いて、映像・制御信号を伝送、車両の操作に成功している。(https://www.sony.com/ja/SonyInfo/vision-s/news.html#entry15)また、車両には立体的な音場を実現するシートスピーカーが搭載され、「360 Reality Audio」に対応したストリーミングサービスなども楽しめるようだ。同社は今回のCESにおいて、2020年春に新事業会社「ソニーモビリティ株式会社」を設立し、「VISION-S」のEV市場投入を本格的に検討して行くとしている。新会社では、AI・ロボティクス技術を活用し、人とロボットの共生や社会貢献を目指すとしている。「VISION-S」には、今まで同社の培ってきた様々な技術と、市場の期待、ソニーを愛する人々の夢が詰まっている。SONYの進む「新たなフェーズ」に期待したい。*FEV(独)は、エンジンの設計・開発、従来型、電気式及びそれに代わる自動車運転方式の設計と開発、エネルギー技術などのサプライヤ。自動車メーカーに試験設備や計測装置などの提供も行う。1978年、アーヘン工科大学応用熱力学研究所所長を務めたフランツ・ピッシンガー教授の非公開会社として設立されている。
米中独、自動運転「レベル4」後押し 公道試験や法整備 他
1月4日 昨年度、自動運転「レベル3」で高速道路を走行するホンダレジェンドの、試験的とは言え、一般消費者へのリース販売を経て、今年度から業界が挑むステージは、いよいよ自動運転「レベル4」ということになった。国土交通省自動車局が発表した「自動運転車の安全技術ガイドライン」(平成30年9月)によれば、レベル4の定義概要は「システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を限定領域において実行」とあり、安全運転に係る監視、対応主体においては、レベル3の場合の「システム(作動継続が困難な場合は運転者)」と大きく異なり、レベル4においては、シンプルに「システム」とされている。世界に目を向けると、物流トラック(FedEx、Aurora・Paccar、ダラス-ヒューストン間、試験プログラム)やレベル4による自動運転は、走行地域こそ限定されるものの営業走行(サービスカー)に向けた動きは、既に米国(Cruise・Waymo、カリフォルニア州自動車局、有償自動運転サービス認可*)や中国(百度、北京、ライドシェア)などで始まっている。*カリフォルニア州で有償ロボタクシーサービスを行うには、この後、更に公益事業委員会の許可が必要となる。国内においては、2021年2月に新東名高速道路において、後続車無人隊列走行技術が実現されている(車速80km/h、車間距離:9m)。「高速道路における隊列走行を含む高性能トラックの実用化に向けた取組」では、2025年以降に高速道路でのレベル4自動運転トラックやそれを活用した隊列走行を実現し、次段階として「混在空間でレベル4を展開するためのインフラ協調や車車間・歩車間連携などの取組」が、2025年頃までに協調型システムにより、様々な地域の混在交通下において、レベル4自動運転サービスを展開する。「レベル4」におけるサービスカーの現状はどうかというと、2022年度(本年度)を目途に限定エリア・車両での遠隔監視のみ(レベル4)で自動運転サービスを実現しようとしている(福井県吉田郡永平寺町、ラストマイル、レベル3:2021年3月認可)。この次段階として、対象エリアや車両が拡大され、事業性を向上するための取り組みがなされ、2025年度まで多様なエリアで、多様な車両を用いたレベル4無人運転サービスを40カ所以上実現する、としている(経産省「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」)。様々な資料の情報の軸が一様ではないので、整合性が取れた情報とは言い難い部分もあるが、おおよそ2025年頃、国内においてもMade in Japanで、高速道路や廃線跡、といった限定空間から離れ、移動サービスの提供が可能な水準にある「レベル4」が社会実装されそうだ。報道される「自動運転技術」の周辺において、同時に進展が求められるニッチな分野が幾つかある。評価面では、AIが運転する自動車の安全規格や、評価・認証方法、製造面では、AIが運転する自動車を評価するために必要な、製造データの収集方法、保険においてはAIが運転する自動車が事故を起こした場合の補償の方法などの進化などが待たれる。公的機関による事故調査や保険調査などの面では、近年、事実究明のため「フォレンジック」技術が用いられる場面(参考:https://www.fss.jp/case_ncs/)も増えている。これらの分野に基づくサービスも「レベル4」の社会実装により、需要は高まって行くものと思われる。