10月1日 令和3年4月に発出された、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が9/30に解除された。今後は、令和3年9月3日にとりまとめられた①「新型コロナウイルス感染症対策分科会の考え方」と同じく9月9日に新型コロナウイルス感染症対策本部においてとりまとめられた②「ワクチン接種が進む中における日常生活回復に向けた考え方」を受け、ワクチン接種の進捗や、緊急事態措置区域等における行動制限の縮小・見直し等において「ワクチン・検査パッケージ」の技術検証や地方公共団体や事業者等との議論を含め、具現化が進む。①においては、殆どの希望者にワクチンが行き渡る頃から、飲食店の第三者認証やワクチン・検査パッケージ等を活用した行動制御の緩和を提言している。②においては、飲食店やイベント開催、人の移動、学校などにおける制限の緩和措置についても記載されている。「ワクチン・検査パッケージ」は、ワクチン接種歴または検査により、いずれかを確認して、緩和措置の対象とすることを想定。但し、ワクチンの効果は完全でなく、接種しても感染し、他の人に感染させる可能性もある。また、テスト結果が陰性でも感染していたり、他の人に感染させる可能性があることなど、ワクチン・検査パッケージの限界についても周知することが必要、とされている。(参考:https://corona.go.jp/emergency/ )10/28から、栃木県の日光地域において東武鉄道、JTB、栃木県、JTBコミュニケーションデザイン、オリックス自動車、トヨタレンタリース栃木は、国内初の環境配慮型・観光MaaS「NIKKO MaaS」のサービスを順次開始する。「NIKKO MaaS」は、MaaSと地元経済を結ぶ「デジタルチケット」を導入している。名門観光地だけあり、ラインナップや内容も充実している。おすすめチケットは何れも、現地宿泊を念頭においた企画(MaaSアプリなので宿泊は別途と思われる)となっており、「日光世界遺産デジタルフリーパス(2日間有効)」「鬼怒川温泉デジタルフリーパス(2日間有効)」「中禅寺・奥日光デジタルフリーパス(4日間有効)」「湯西川温泉デジタルフリーパス(4日間有効)」となる。*基本、浅草発だが発駅や季節により料金が変動する。また、MaaS Webサイトには、現地の中距離の移動をサポートするため、EVやPHVカーシェア、シェアサイクルの検索と予約機能を搭載、シェアサイクルや徒歩で散策を楽しみたいユーザー向けに近距離移動にも使える経路検索機能を付加している。これらは各社の個別サービスのサイトではなく「NIKKO MaaS WEBサイト」上で一括して手配できる仕様となっており、シニアや訪日観光客にとっても利便性が高い。「NIKKOU MaaS」の移動インフラとなる、EV・PHVカーシェアは「NIKKO MaaS WEBサイト」で24時間365日貸出・返却が可能だ。現在地近くのカーシェアスポットまでの経路も表示される。東武日光駅前、中禅寺バスターミナルなどの主要な乗換えスポットもカバーされているようだ。「環境配慮型」を謳う本企画、ぜひEV・PHVカーシェア、シェアサイクルなどのモビリティを利用したい。栃木県とJTBコミュニケーションデザインは、華厳の滝、赤沼(戦場ヶ原内)の駐車場に急速充電器を設置する予定だ(2022年1月以降)。充電利用時間は1時間程度とされ、充電時間における休息、宿泊先での充電が想定されるため、観光事業者などに設置の協力を仰いでいる。充電器は「RE100」(世界で影響力のある企業が、事業で使用する電力の再生可能エネルギー100%化にコミットする協働イニシアチブ)を用いる。シェアサイクルではハローサイクリングとドコモバイクシェアの2社がサービスを展開、東武日光駅、東武日光駅前広場、日光市郷土センター、輪王寺三仏堂、大猷院(だいゆういん)入口、金谷ホテル歴史館、日光自然博物館、三本松茶屋などに設置され、きめ細かな移動にも対応する。待ちに待たれた、緊急事態宣言の解除。名門観光地の奥深さや自然の息吹を満喫するには、もってこいの企画だ。久々の(感染対策は忘れずに)「旅」を存分に味わっていただきたい。
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自動運転「ロボタクシー」主要7社の戦略を比較、初の“正式営業”に乗り出すのはどこ? 他
9月30日 来月4日に行われる国会の総理大臣指名選挙を経て、第100代目の総理大臣となる自民党の総裁が岸田文雄(きしだ ふみお)前政務調査会長に決まった。1957年(昭和32年)生まれ、1982年に早稲田大学法学部を卒業後、日本長期信用銀行に入社、1987年に衆議院議員秘書となり、1993年に第40回総選挙にて衆議院議員に初当選を果たした。自民党政務調査会長の他、外務大臣、防衛大臣、内閣府特命担当大臣などを歴任した。折しも、お隣中国では、ロボタクシーが営業運行前の段階に駒を進めている。営業開始に至るのは、おそらく2022年の北京冬季オリンピック前後となろう。中国ではロボタクシーが営業運行(有料)に至るまで、ロボタクシー事業者に6段階のステップが義務付けられているようだ。1.閉鎖区域による試験走行→2.公道による試験走行→3.モニターを乗車させる試験営業→4.誰でも乗車可能な全面開放試験営業→5.常態運行による無料試験営業→6.有料営業運行)となる。5段階目となる常態運行による~に到達した企業は見られるものの、6段階目となる有料営業運行はまだ許可されていない様だ。正式営業に至る段階では、サービスによる利益創出の仕組みが課される。現在の仕組みでは、レベル4(条件付き自動運転)の場合、安全監視員の乗車が求められるため、人件費(有人運転と同等)+車両代(一般車より高価)が必要とされ、運行を遠隔監視する監視員の人件費(3台を1名が監視)、各自治体内における5Gなどの通信インフラ敷設の問題もある。各社が利益創出の仕組みを模索しているのが現状だ。日本国内においても、公共交通として自動運転サービスに取り組む場合、同じ課題に取り組まなくてはならない。商業ベースでのサービスのインフラ構築においては、日中問わず国や自治体・サービス事業者が共同で負担し、中長期の回収計画を立て、人件費についてはレベル5に至るまでは、サービス事業者がイニシャルコストと捉え、客貨混載やラッピング広告、タクシー広告(デジタルサイネージ)、タクシー乗り場におけるサイネージ、ダイナミックプライシング*による配車、運行状況・乗降・車両周囲の録画データベースの販売、車内で小売店への注文・座席・チケット予約、フードデリバリー、地域パトロール、タクシー車庫の交通結節点化など、積極的な初期投資回収メニューを研究し、自社に適したメニューを積み重ねて賄う計画が必要だ。*参考:NHK「サクサク経済Q&A」https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/20210414.html
【MaaS体験記】利用者の「行動が変わる」モビリティサービスへ、ウィラーが描く“3ステップ”とは 他
9月29日 国土交通省は、9/27(月)に群馬県前橋市内でバス事業者6社による共同経営が始まると発表した。同省は8/31に申請のあった「前橋市内乗合バス事業共同経営計画」に基づく共同経営について、9/24に「独占禁止法特例法」に基づく認可を行った。運送サービスの持続的な維持を図るため、乗合バス事業者6社(関越交通、群馬バス、群馬中央バス、上信電鉄、永井運輸、日本中央バス)が共同してダイヤを調整し、前橋市中心部を走る路線を等間隔で運行する取り組みであり、中心部の移動の利便性が大きく向上するとしている。特例法は、地域住民の生活や経済を下支えするサービスを提供する、乗合バス事業者や地域銀行などが、人口減少を理由として厳しい経営環境下にあることを鑑み、経営力強化のため同業者が経営統合や共同経営を行う場合について定めている。これらが競争制限的である場合は独禁法により禁止されていたが、地域の基盤的なサービスを維持するという「政策目的を達成するとの限度において」特例を認めるもの。政府の未来投資会議の議論を受け、「成長戦略実行計画」(令和元年6月21日閣議決定)に独占禁止法の適用を除外する特例法を設ける旨が盛り込まれ、令和2年11月27日に「地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的サービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律(令和2年法律第32号)」が施行されている。これまでは、熊本地域乗合バス事業共同経営計画〈第1版〉、岡山駅・大東間共同経営計画などが認可され、前橋市は三例目となる。今回、乗合バス事業者6社で11路線のダイヤ調整を行い、前橋駅を通るJR両毛線の運行ダイヤに合わせ、15分間隔の運行を実施し、各社の路線維持を図るとともに、利用者の利便性を向上させる。特に従来、乗合バス事業者6社の対象路線が経由する「本町ライン」(JR前橋駅、表町、本町、日銀前[新設]、市役所・合庁前、県庁前)では時間帯により、運行間隔にばらつきが発生しており、ダイヤが分かりづらい上、待ち時間の長い時間帯が発生していた。前橋市の取り組みは、10/1から段階的に実施され、運行開始日は令和4年4月1日~となっている。またこれと併せ、地域交通活性化・再生法に基づく「地域公共交通利便増進事業」の実施も予定されている。この事業は、JR前橋駅のバス乗り場の再編や、ICカード導入など、共同経営と相乗効果を発揮・利便性向上に寄与するものとなる。新型コロナウイルス感染症による利用減少が回復した場合、5年間全体(令和3年10月~令和8年3月まで)で約1,800万円分の収益改善を見込む。また、同市では10/1~来年3/31まで、令和3年度前橋版MaaS実証実験として「MaeMaaS」が実施される。
自動運転・隊列走行BRTテストコースが完成、’20年代半ば実現へ JR西とソフトバンク 他
9月28日 BRT(バス・ラピッド・トランジット/バス高速輸送システム)の導入に向け、各地で実証実験が進む。既報の通り、JR東日本では「気仙沼BRT」や「ひたちBRT」において実証実験が進む。一方、JR西日本のBRT実証実験も、実証実験が進む。JR東日本の実証においては、路線廃止となったローカル鉄道の跡地を利用した輸送や、災害で失われた鉄道路線の代替輸送機関として機能する予定だ。JR西日本とソフトバンクは、10月から自動運転と隊列走行技術を用いたBRTの実証実験を、滋賀県野洲市にあるJR西日本の網干総合車両所宮原支所 野洲派出所内に設けた専用テストコースで開始する。異なる自動運転車両がBRT専用道内で合流して隊列走行などを行う「自動運転・隊列走行BRT」の実現を共同で推進する。プロジェクトの名称は「みんな(MI-NNA)の自動運転BRTプロジェクト」(MI-NNA:Mobility Innovation-Next Network Action)という。プロジェクトの目的は、同社が掲げた「JR西日本技術ビジョン」で、概ね20年後のありたい姿として"魅力的なエリア創出の一翼を担う鉄道・交通サービスの提供"を掲げた、シンプルでシームレスな交通サービスの提供に向け、次世代モビリティサービスの在り方の検討だ。JR西日本が描く「ありたい姿」とは、同社とソフトバンクが有するノウハウや技術を共有し、オープンイノベーションにより、安全で持続可能な次世代モビリティサービスを実現する「自動運転・隊列走行BRT」の実用化であり、地域の関係団体などの計画的なまちづくりと連携し、持続可能な交通サービスを実現することだ。赤字ローカル線では、良く「営業係数」が話題となる。営業係数とは100円の営業収入を得るのに、どれだけの営業費用を要するかを表す指数である。JR西日本管内でも、三江線の路線廃止は記憶に新しい。コロナ禍での利用者の落ち込みに伴い、経営の建て直しを急ぐ鉄道事業各社では、この秋のダイヤ改正においても、減便が続くのと同時にローカル線の見直し議論が続く。国土交通省の赤羽大臣の会見要旨(2021/8/3)においても記者からローカル線のあり方について大臣の考えを問う質問が出ている。赤羽大臣は、国は雇用調整助成金の拡充・延長、危機対応融資や国税・地方税の納税猶予の特例など資金繰りの支援を続け、より経営が厳しい地方の中小鉄道事業者に対して、第3次補正予算や本年度の当初予算において、地域公共交通機関の支援のための予算を確保し、地方ローカル線の維持に努めて来たと回答している。前日の全国23県の知事とのリモート会議の席においても、地方の鉄道ネットワークの維持についての要望を受け、国交省としては地方の鉄道ネットワークは地域住民の重要な足であり、観光事業にとってもキーとなるアクセスであることから、今後ともローカル線の利用促進や持続的な事業の運営について、関係自治体及び鉄道事業者と連携・協力して取り組みたいとしている。ローカル線維持について、JRが地方の公共インフラを1社で維持している現状があるが(JRも含めた)ローカル線維持に向け沿線自治体がそのように費用負担してすべきか?との質問には、地域によって今、上下分離方式を行うといったことや、地方自治体の役割と鉄道事業者の役割・分担があるとして(一般論であるが)多くの地方自治体の財政状況も余裕がない自治体が多い中で、今後も公共交通機関が維持できるのかということは、しっかりと課題として認識して行かなければならない、これは目先の話ではなくこれからの人口構造的なことを見据えて、中長期的な、大きな課題としてしっかり検討して行かなければならないとの認識を示した。仮に今回のJR西日本の実証実験が、赤字ローカル線のBRT化を念頭に置いた実験であると仮定した場合、BRTは利用者の最寄りバス停からフィーダー路線経由で「乗り換えなし」に地域の基幹路線となるバス路線に乗客を移動させ、動脈となる鉄道に乗客を送ることが出来る。しかしながら、専用道構築式のBRTは、線路を専用道に転換する際に多大なコストを要するが、将来的に自治体内の中心地域が移動(かつての駅前商店街がロードサイドに移動したように)した場合、インフラへの再投資が必要になる事も考えられる。JRの考える「幹線」が、その時々、自治体のまちづくりが必要とする「幹線」に柔軟に追従できる運転方式に目が向けられるべきではないか。その意味で、踏切横断など、決まったポイントへの対応だけでなく、市区町村内の一部の一般道への乗り入れも想定した運転方式が醸成されることを願いたい。
ヒューマナイジング・オートノミー、自動運転向け画像認識プラットフォームで日本企業に攻勢 他
9月27日 英国のロンドンのテムズ川を望むストランドにサマセット・ハウスという新古典主義建築の建物がある。現在は政府の関連機関や芸術・教育関連機関が入居する。クリスマスの時期になればアイススケートリンクとなるその中庭も長年市民に愛されているようだ。同地にあるHUMANISING AUTONOMY社は、自らを人間と機械の間の直感的な相互作用のグローバルスタンダードを構築する「behaviour AI(行動AI)」企業だと表現する。人間の「行動」は自動化されたシステムの背後にあるユニバーサルデザインの原則であり、コンテキスト(前後の脈絡)と文化を説明する必要があると説明する。彼らは機械(自動運転車には「認知、予測、判断、操作」が必要とされる)と協力し、(現実世界の)視覚信号の読み方や都市の交通環境(それぞれの現場や瞬間)に、それらが何を意味するのかを(自動運転システムに)学習させている。一般にシステムにとって得意分野は「認知のうちの検知(センサー作用)」と操作、苦手分野は、認知と予測、そして判断とされる。運転を行うには、目やセンサーで「見えた」だけでは意味がなく、見えたものが何なのかを(機械が)判別(認知)する必要がある。HUMANISING AUTONOMY社は「機械」が人間の行動や意図を理解し、それに応じて対応する(適切なリアクションをさせる)ために、先の行動AIを追求している。同社は自動車メーカーと連携し、ADASシステムでの運転体験の革新を図るとともに、スマートシティープランナーと協力しシステムの効率、環境と経済の持続性、そして市民の安全のバランスを創出したいとしている。同社の予測AIはカメラ映像に基づいた技術だが、彼らは(自動走行車両が運行される際、カメラに映り込む沿道の歩行者などの)プライバシーへの配慮を重んじ、行動心理学、統計AI、新しい深層学習アルゴリズムを融合して自動化されたシステムが、人間中心の意思決定を可能にするとしている。彼らのシステムは、機能安全とSOTIF(ISO/PAS 21448で規定、「意図した機能における安全性」、つまり機能的な不足またはユーザーの予見可能な誤使用によるハザードがないこと)を考慮し、個人データが合法的に収集されることを保証したものだ。これらは意図しない悪影響を防ぐための適切なデータ管理と保護対策がアプリケーションに組み込まれていることを示している。同社のプロダクトは、先進運転支援システム、カメラデバイス、自動運転車、CCTVインフラストラクチャ、クラウドベースのビデオ分析など。同社の製品ページ(https://www.humanisingautonomy.com/product)には、渋谷の公園通りで、予測AIの動作状況を録画したと思われる動画がある。実験車両が低速で左側に停車中のバスの側方を抜けようとする際、右側に駐車場に入ろうとする乗用車がいる為、横断歩道のない道路を横断する複数の歩行者とともに、バス前方の死角から自転車に乗った女性のよる飛び出すが、実験車両はバス横を通り抜ける前に停止、これらとの衝突を回避し再び走り始める。同社は世界経済フォーラムのグローバルニューモビリティ連合のメンバーであり、自動化および測定システムの標準化協会(ASAM)、英国規格協会などの標準化団体でもある。自動運転が社会実装されるための普遍的な課題でもあるが、先日オリンピック選手村でトヨタの「e-Palette」が選手との接触事故が起きたことで、日本の自動運転バスや商用トラックなど、実用化の迫る車両カテゴリーにおける「認知、予測、判断」に関係する技術や安全性がクローズアップされている。車両メーカーや部品サプライヤー、損害保険会社などにHUMANISING AUTONOMY社のラブコールが届くことを願いたい。
鉄道のJR東がバス自動運転に取り組むワケ 他
9月23日 当記事でも何度か話題となったが、JR東日本が中心となり、宮城県の「気仙沼線BRT」の柳津駅と陸前横山駅間4.8kmにおいて、BRT(バス・ラピッド・トランジット/バスによる大量輸送システム)の実証が進んでいる。また、茨城県日立市においては「ひたちBRT」のJR常陸多賀駅とおさかなセンター間約6.0kmで、実証実験が進んでいる。「気仙沼線BRT」は、JR気仙沼線が東日本大震災により、鉄路からBRTに転換を図り、鉄道路線を専用道に再整備して復旧させたものであり、「ひたちBRT」は赤字ローカル線として廃線となった日立電鉄の路線跡地を転用しているが、19年3月に「ひたちBRT」の第二期延伸工事の完了により、総延長6kmの運行区間と、おさかなセンターから先の3km程の一般道を回送区間として取り込んでいる。ちなみに一期は、手前のJR大甕駅とおさかなセンターを結ぶ3.2kmで実証実験を行っていた。「気仙沼線BRT」では、専用道内における、時速60km走行、トンネル内走行(磁気マーカ使用)、障害物検知による自動停止、対向バスとの行き違い(LTE+ITS無線を使用)、車内モニタリングなどが行われている。「ひたちBRT」は、令和2年12月14日に大甕駅付近でガードレールとの接触事故を起こしている。原因は走行前の自動運転システム設定時に位置推定を行うための情報を取得するGNSS受信機と、磁気マーカーの受信機の再起動が必要であったが、うち一つの機器の再起動がなされていなかったため、位置推定手法の切替え地点で、更新前の車両の位置や方向に関する情報が使用され、これに基づいて車両制御が行われ、ハンドルの急旋回につながったとされている。対策として、前述した二つの機器については、一つの機器の再起動時にもう一方の機器の再起動を確認する要求を表示させる、走行速度が早い場合や、走路が直進である場合には、自動運転システムによるハンドルの操舵量が大きなものとならない様、走行速度や走路に応じた操舵量の指示や制御を行うこととした。2021年1月20日付けで茨城交通とみちのりホールディングスは、http://www.ibako.co.jp/contents/newsrelease/2021/01/23084.html において、同事故に対して安全確認が取れた旨のお知らせを掲出している。同時に当面は関係事業者による技術検証を目的とした運行に限るとの方向性を打ち出した。その後、茨城県のホームページでは、ひたちBRTにおける中型自動運転バスの走行実証実験(令和2(2020)年度)(https://www.pref.ibaraki.jp/kikaku/kotsuseisaku/chiikikoutsu/hitachi-jidouunnten.html)に、ひたちBRTにおける中型自動運転バスの走行実証実験は終了しました。(2021年3月5日)のお知らせが出ている。一般の乗客を載せた実証運行の再開時期や運行方法については、改めて茨城交通のウェブページでお知らせがある予定だ。「ひたちBRT」については、市内の幹線バス路線を担う運行ルートとなるため、たバス路線の再編や地域公共交通(乗合いタクシー)との連携や地域住民との協働による利用促進を含めた公共交通ネットワークの構築など(令和3年度~令和5年度)の事業も計画されている。「気仙沼線BRT」と「ひたちBRT」は、国内自動運転バス実証事業の中でも注目度の高い事業だ。双方が成果も共有しつつ、独自の技術進化やサービス展開、地域連携などを進め、全国にその成果を横展開して欲しいと望む。「ひたちBRT」の復活の報が待ち遠しい。
自動運転フォークリフトとトラックが連携して待機時間を短縮 豊田自動織機など実証へ 他
9月22日 資源エネルギー庁には「AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金」なる補助金がある。ちなみに令和3年度の予算案額は、62億円(新規)とのこと。事業は運輸部門の最終エネルギー消費量が産業部門に次いで多いため、省エネの実施が急務である背景があり、急ピッチで進む。物流業界でのトラックドライバーやフォークリフトの運転者等の労働力不足も課題となっており、物流施設内での省人化、発着荷主間で連携した輸送の効率化が必要となっている。物流施設間の輸配送においては、物流施設の「入荷」と「出荷」のタイミングにトラック運行を連携させることで、待機時間の削減等の更なる効率化が求められている。物流施設内においては、荷物のピッキングや無人搬送車(AGV)など、工程の一部の自動化はなされているが、物流施設の「入荷」と「出荷」においては作業が複雑なため、未だ人手で作業が行われるのが現状だ。「AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業」の目標は、令和3年度~令和5年度までの3年間の事業により、令和12年度までに本事業及び波及効果により、運輸部門におけるエネルギー消費量を原油換算で年間、約156万Kl削減すること等。同事業の取り組みの内容としては、①新技術を用いたサプライチェーン全体の輸送効率化推進事業、②トラック輸送の省エネ化推進事業、③内航船の運航効率化実証事業、④ビッグデータを活用した使用過程車の省エネ性能維持推進事業の4つだ。トヨタ自動車織機、日立物流は9月17日から、物流施設におけるトラックの積み卸し自動化と待機時間削減へAIを搭載した自動運転フォークリフトを活用し、トラック運行と連携させる共同実証事業を開始した。実証には、大和ハウス工業、イオングローバルSCM、花王の3社も参加する。本実証では、物流施設内でAIを搭載したフォークリフト(豊田自動織機)等を活用、トラックと連携させ、荷役・物流の効率化と、省エネ化を狙う。本年度(~2022年3月)は核となるトラックの積卸しの自動化技術の確立を目指す。令和4年度(~2023年3月)には、共通システム(大和ハウス工業がシステム開発)との連携・荷卸しにおけるスワップボディコンテナ(車体と荷台が分離でき、分離中に荷役作業が実施できるトラックのこと)の有効活用、AIを搭載した自動運転フォークリフトの前後の工程にパレタイジングロボット(荷積み:パレタイズ/荷卸し:デパレタイズを行うロボット)を活用し、自動化の範囲を広げ、令和5年度には、AIを搭載した自動運転フォークリフトを活用した効率化、省エネ技術が広く普及するよう実証や検討を進める予定だ。花王は発荷主を、イオングローバルSCMは着荷主を務める。本実証が実用化されれば、現場の荷役作業が軽減され、またサプライチェーン全体での効率化と省エネ化が達成される。実証では、製品メーカーと小売り間の物流が実証モデルになっているが、本取組みの効果が明らかになれば、導入・応用したい業界、国は数多(あまた)あるのではないか。
「2021年 保険モニタリングレポート」の公表について 他
9月21日 9/10に金融庁から「2021年 保険モニタリングレポート」が公表された。同レポートは、保険会社や少額短期保険業者を取り巻く「諸課題」のうち、特に金融庁として課題と認識している主な事項について、昨事務年度のモニタリングによって、把握した実態や課題などを取りまとめて整理した事項を踏まえ、本事務年度の保険会社や少額短期保険業者へのモニタリングの方針を公表するものだ。レポート中では、①保険会社を取り巻く環境変化と②諸課題、更には③金融庁の今後の取り組みなどの方向性が示される。①としては、人口減少や、技術革新(例えば自動運転技術などの発達による自動車関連保険市場の縮小)、低金利の継続、デジタル化の進展、自然災害の多発・激甚化などの気候変動リスクの増大といった中長期的な環境変化、ポストコロナ対応が保険会社にも求められるなか、保険会社には、持続可能なビジネスのモデル構築、グループガバナンスの高度化、自然災害の多発・激甚化への対応、財務健全性の確保、顧客本位の業務運営、少額短期保険業者の体制整備といった課題が生じている。これら諸課題を抱える保険会社に対し、金融庁は「保険会社が社会的意義を将来にわたって果たしていくためには、環境変化へのフォワードルッキングな対応が不可欠であることから、金融庁としても諸課題を的確に把握した上で各社と深度ある対話・モニタリングを実施し、その取り組みを促していく」、事務年度ごとにモニタリング、レポート公表、PDCAサイクルを回すといった取り組みを実施している。ちなみに昨年度(2020年度)の損害保険会社の実績は、凡そ元受収入保険料が、90,000(単位:億円)、元受支払保険金が、50,000(単位:億円)弱である。自動車に関係する自動車保険の元受収入保険料は、2019年度と比べ、凡そ40,000(単位:億円)で横這い、自賠責は減少傾向にある。また、自動車保険の元受支払保険金は、2019年度と比べ、凡そ20,000(単位:億円)弱となり減少傾向、自賠責保険についても減少傾向だ。(*東京海上日動、三井住友海上、あいおいニッセイ同和などの11社合計を金融庁が取りまとめ)。各社では、コロナの足元の業績の影響については、大手・中堅とも国内事業では、海外旅行・物流棟の減少により、傷害保険や海上保険といった一部の保険種目の収入保険料は一定程度減少したものの、収入保険料全体としては、前年度比横這い、また「コロナの感染拡大に伴う外出自粛により自動車事故が減少し支払保険金も減少した」。一方、大手損害保険グループの海外事業では、興行中止保険、利益保険等においてコロナに起因する多額の保険金支払いが生じ、各グループとも昨年度は減益となったものの、こうした商品についてはその後に感染症を免責化しており、各社とも今後の影響は限定的と見込んでいるようだ。各社は前述の中長期的な事業環境の変化にポストコロナを追加、顧客ニーズに対応するため、以下のような取り組みを行っている。一つはデジタル化による経営効率化、デジタル化による非対面募集(販売チャネル戦略)、商品戦略としては、各社ともウィズコロナにおける顧客ニーズに対応するため、個人向け保険にはコロナを医療保険や傷害保険の補償対象に追加などし、企業向け保険には一契約当たりの支払限度額を設定するなどの保険引受リスク管理を行いつつ、ホテル・旅館、飲食店、介護事業者や医療機関等の業態ごとのニーズを踏まえ、コロナに起因する様々な費用や利益損失を補償する保険商品を新設する等、創意工夫を凝らしている模様だ。また大手及び外資系中堅を中心にポストコロナを見据えた商品開発を、既に進めており「テレワーク」に関連する情報漏えいや従業員の副業に関連する労務管理リスクを補償する保険商品等の働き方の変化を踏まえた商品の開発を行うとともに、サイバー保険の補償の拡充等、社会全体のデジタル化、オンライン化を見据えた商品開発を行っている。自動運転やMaaSに取り組む企業等の事業についても、保険の見直しを図る時期が訪れているものと推察する。**出典:金融庁ウェブサイト(https://www.fsa.go.jp/news/r3/hoken/20210910/summary.pdf)
ANA、ゼンリンら4社、車いす走行ルート等を表示する機能を運用開始 他
9月17日 DX(デジタル・トランスフォーメーション)が叫ばれて久しい。「データの力」はビジネス領域に限らず、私たちの日常生活の中で既知の課題であっても、抜本的な改善が難しかった分野においても日々少しずつ改善が進む。その一例として「バリアフリー情報」の発達がある。9/15にANAは「ANA空港アクセスナビ」の徒歩区間における「バリアフリー地図/ナビ」機能の運用を開始すると発表した(同社の取り組む「Universal MaaS」の一環)。一財)Wheelog、ゼンリン、ゼンリンデータコムが参画する。Wheelog(https://wheelog.com/hp/)は、東京都千代田区に本部を置く障害者や高齢者、ベビーカー利用者など移動に支援を必要とする方向けにバリアフリー情報を発信、社会全体のバリアフリーに関する理解の普及を目的とする一般社団法人だ。ナノコネクト社と共同開発する同社の「Wheelog!アプリ」は、車いす利用者が実際に走行したルートやユーザー自身が実際に利用したスポット(街中のバリアフリー施設やトイレなど)など、ユーザー体験に基づいた「バリアフリー情報」を共有できるバリアフリーマップのプラットフォームだ。2021年8月現在のユーザーは42,358人。アプリ上では、ユーザーが車いすで通った道の共有、車いすユーザーが利用できる施設や設備の共有、つぶやき(評価)、ユーザーが知りたいスポットのバリアフリー状況をリクエストしたりすることも出来る。今後の情報充実が期待される。また、二つ目の例として、観光地を持つ街中における、車による来訪者への「渋滞情報」の発達もこれに挙げられる。来訪者にとっては、データによる移動時間の改善、住民にとっては、生活移動への影響低減に繋がる。本田技研工業は、この8月から「旅行時間表示サービス」の有償提供を開始した。ホンダ車(370万台)のリアルタイム走行データを活用し、渋滞路・迂回路通過の所要時間を計算、道路上の表示器に渋滞路・迂回路通過の所要時間を表示、観光地などに向かう複数ルートの分岐点でドライバーに迂回を促し、交通量の分散、渋滞の低減を目指す。このサービスの提供を行うHonda ドライブデータサービスは、約370万台のホンダ車から走行データ・車両挙動データなどを活用し、渋滞対策や都市計画、防災、交通事故防止など社会課題解決を目指すデータサービス事業(https://www.honda.co.jp/HDDS/)だ。栃木県の日光市内の119号線の渋滞緩和を目的として行われた実証実験では、日光宇都宮道路の今市ICを下り、日光方面へと向かう車が頻繁に通行、渋滞が発生し易い春日町交差点付近の複数個所に前述した表示器を設置、日光山内入口までの最長所要時間を171分(2019年)から85分(2020年)の短縮に成功している。これにより最大渋滞長も3.7kmから、2.3kmまで短縮され、渋滞が解消する時刻も平均で2時間以上早まっている。ビッグデータが持つ可能性や影響力は、計り知れない。いかに収集し、いかに活用するか?メーカーや自治体、利用者である我々自身も各々の立場からアプリやWebサイトの「評価」や「コメント」機能を利用し、アイデアや開発者やサービス運営者に「なるほど!」と肯かせる気付きを発信出来るなら、その先により豊かな社会が生まれるのではないか。
JR東日本がNFCタグ乗車実験、MaaS事業強化とSuica等よりも低コスト導入を見込む 他
9月16日 JR東日本は 9/16(木)~11/30(火)まで、東京の品川・田町~お台場エリアを走るお台場レインボーバス(運行:kmモビリティサービス)で、NFC(近距離無線通信)タグを用いた料金の収受の実証実験を行い、MaaS事業の強化、現行のSuicaよりコスト削減を狙う。NFCは、SuicaやPASMOなどのICカードに用いられている技術で、元はソニーの「FeliCa」(非接触ICカード技術)だ。1枚のカードにICチップとアンテナを搭載し、対応するリーダー/ライターにかざすことで、カード内のデータの読み書きが出来る。カード内には、フォルダとファイルに相当する機能があり、1枚のカードに複数のサービスを盛り込むことが出来る。社員証の例を挙げるなら、入退室ID、PCログイン、電子マネーなどのサービス、公共交通などの乗車券や、飲食店や小売店などでは、ポイント・クーポンなどのサービスも付加できる。ISO/IEC 15408 EAL5+以上を取得。カード内のバリューや電子マネー、個人情報などの資産を悪質な攻撃から守る高いセキュリティーを備える。また「FeliCa」技術は、携帯電話やコイン型トークンなど、カード以外にも搭載可能でキーホルダーや腕時計などにも組み込むことが出来る。今回の実証実験では、JR東日本のMaaSアプリ「Ringo Pass」(をインストールしたスマートフォン)のNFCリーダーモードで、バスの運賃支払い箱上部に設置された「Ringo Pass」(s-Touch)マークにタッチすることで乗車が可能になる。「Ringo Pass」のアプリ地図上のバス停を選び、「タッチで乗車する」ボタンを押す。その後、乗車人数を選び、「タッチする」ボタンを押すと、前述のNFCリーダーモードが起動する。従来の交通系ICカードでは、1枚(1台)で複数人の乗車は難しかったが、本実証では1タッチ化され、乗車時間の短縮・バス運行ダイヤの定時制の確保にも貢献する。運賃の支払いは月2回、「Ringo Pass」に登録したクレジットカードから行う。NFC(近距離無線通信)技術は、6/22~1ヶ月間行われた京浜急行、京急バス、NTTドコモが横須賀・三浦エリアを訪れる観光客らを対象に行ったMaaS実証実験の「みうらよこすかMaaS」アプリ内で、デジタルチケット(「デジタルみさきまぐろきっぷ」)を購入すると、京急品川~三崎口間の全駅の改札や地域の参加店などで、非接触のキャッシュレス決済手段として採用されていた。NFCを利用したキャッシュレス化が広く、交通分野を含めた地域経済に普及してきていることを実感する。交通事業者にとっても、従来の決済システムより導入コストが削減でき、工夫次第では、地域経済との連携も視野に入れた様々なサービス付加し、自社のMaaSアプリの普及や、利用者の利用状況データなどの蓄積にも利用できる便利なツールとなるのではないだろうか。